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「来たぞ!」

「終業式が?」

「違う!いや違わないけどニューパラのイベント告知だよ」


そう、今日で学校は終わりなのだ。

何故かここ最近隣のクラスにばかりいたせいでクラスの皆のことも曖昧に………


「今日で2人の絡みも見納めね…………」

「だからこそ今日はしっかりと見るんでしょ!?ほら!もうそろそろで耳に息がかかるわ!」

「天野ファンクラブはー!今日で学校での活動を一時休止するがー!町でもしっかりと天野を遠巻きにー!決して邪魔しないように助けるようにー!」

「「「「「押忍っ!!」」」」」

「最近隣のクラスの美少女ツートップと良くいるから小説書いてみた」

「「「きゃー!オールジャンル先生の新作よー!!」」」


「………うん、忘れられそうにないね」


なんか前より不穏な空気のような気がしてきた。

新学期大丈夫かな。


「御使、今日お前の所に行くから飯よろしく」

「「「よし、これで夏休み生きていける」」」

「むしろこれが無かったら生きて行けなかったの!?」

「「「「「「「「「「「「「うん」」」」」」」」」」」」」

「……皆なの?」

「その引いた視線かなんとも」

「もう嫌だこのクラス」


皆いい人だけどこんなに濃ゆいのは勘弁してほしかった。

そんなこんなで僕達は夏休みを迎えるのだった。


-----------------------


「御使い今日は6時までには戻って来なさいね、さもないと夏休みはゲームも休みか話し合い6時間コースだからね?」

「ヤダナオカアサン、ボクチャントパーティーノヒクライハヤクオワラセルヨ」

「大分カタコトだけどそれならいいわ。お母さんの手料理なんて今日しか食べられないかもね」

「楽しみにしてるよ」


家のルールというか、区切りの時はお祝いをするのが定番となっている。

終業式や仕事の納期なんかの時もこんな感じで皆でパーティーをしているのだ。


そして最近ハマってる僕に注意が来たんですね分かります。

今日は絶対に早く終わろう。


-----------------------


「さて、じゃっく達は今日来るらしいから料理でも作るかな」


とりあえずヌシの肉や骨を処理、もとい消費しよう。

3体分もあると解体効果で結構な量が集まっているからね。


骨は豚骨スープの変わりに(ヌシの骨や肉は割と臭みが無かった)、肉はボタン鍋にしよう。


深淵を使ってスープを大量に作ったり、ボタン鍋を大量に作ったりして、皆が来るのを待つ。


ついでに鍛冶スキルを上げるために作ったアクセサリーでも渡そうかな?

あと状態異常回復ポーションとか!


ミーの大判振る舞いを止める人はいなかった。


-----------------------


私は唖然としていた。

ヨミもそうだったし、レッドはうんうんと頷いていた。


「ここがそうなんですか………」

「なんというか、その……」

「うん、ボロいわな。アイツはそこがいいとか言ってたけど」


ミーの店に着いたのはいいけど、こんな所で商売なんて出来るのかしら?

私はこんな店初見で入ろうとは思えないわね。


「おーいミー!来たぞー!」

「あー、皆入って入ってー」


中からミーが呼ぶので、中に入る。ここがミーの家なのね……

扉の向こうに棚が、コンビニや本屋のように並んでいた。


ポーションやよく分からない薬、アクセサリーや矢も置いていた。

弓使いは矢で金欠になるって聞いたけど、ミーはそんなこと無さそうね。


「いらっしゃい、奥の方で話そうか。まだ開店してないとはいえ店汚れたら困るしね」

「そうね、綺麗な店が印象いいものね」

「ですね」


扉を開けて奥に進むと、大きなテーブルと椅子がいくつか、洗い場に釜戸と階段がある。

床は板張りで特に気にするところはないわね。


「なんか以外だわ、ミーなら食虫植物や爆弾くらい飾ってありそうと思ってたけど」

「じゃっくは僕をなんだと思ってるのさ…」

「変なもの作る友人」

「間違ってないな」

「間違ってないんですか?」

「皆の評価が酷い…とりあえず約束の物を渡すね」


そう言ってミーはアイテムボックスを弄る。

すると床に骨の山が出てきた。私の背より高いんだけど!?


「これだけあれば足りるかな?」

「明らかに多いですよこれ!普通のなら10は作ってまだ余裕ありますよ………」

「お前死霊使いでもないのに、なんでこんなに骨が集まってるんだよ」

「解体があるからかな。出汁取った後だし使い道思いつかないから全部貰ってね」

「さすがにこれはお金出しますよ……貰うなんて厚かましいにも程がある量ですし」


あ、ヨミが項垂れた。

初心者にゴールドは必要不可欠だしね、しばらくは手伝ってあげよう。

bossも単独で倒せるから要らないかもしれないけど。


「でね、皆にプレゼントがあるんだ」

「おい待て、それってまともなもんだろうな?」

「僕が使い辛い物を渡すなんてないよ」


ミーが心外だと言わんばかりの顔をするけど、私の杖を見る限り予想の斜め上をぶっちぎるものを持ってきそうで怖いんだけど。


「じゃん!先ずは状態異常回復ポーションでーす。まだ全部揃ってないかもしれないけど」

「おい、早速おかしいぞ……」

「なんでNPCの商品より効果がたかいのよ!?」


今ニューパラには状態異常の敵は弱い。

強いのはせいぜいダンジョンの敵ぐらいなのだ。

それゆえ未だに状態異常の回復アイテムはNPCの店売りで、高い割に効き目が薄いものばかりなのだ。


「作り方ポーションと同じだしいくつでも作れるから、気に着しないで」

「そんなわけ無いでしょ!材料も集めないといけないし、買取にお金かかるでしょ?」

「僕状態異常植物全部育ててるから、材料費タダだよ?」

「「「え?」」」


育ててる?薬草以外も?

たしか畑が売りに出されていたけど、結構高いので損をすると聞いたけど?


「何だったら見てみる?」


ミーはいつの間にか鍵を持って、部屋の隅に行く。

床に取っ手が付いていて、南京錠がかかっていた。


ミーは鍵を開けると蓋を開ける。

そしてすぐさま飛び込んだ!


「ほら、受け止めるから早く降りてきなよ」

「はぁ!?な、な、何言って!?」

「ほら、恥ずかしがってないで早く行ってください。積極的に、ですよ」


なんかヨミがニヨニヨしてる!

人事だと思って!しょうがない、覚悟を決めて飛び降りる。


「よいしょ、うわっと!?」

「きゃ!?」


ミーはお姫様抱っこで受け止めてくれた、けどバランス崩して落ちそうになった。

しっかり支えなさいよ!それとも私が重いの!?


「ごめん、STRにはあまり降ってないから耐えられなかった」

「もう!驚かせないで!」


せっかくお姫様抱っこしてもらったのに、あまり楽しめなかったって!?私何考えてるのよ!?


「ミーはもう少し残念な感じをどうにかして欲しいな」

「ありがとうございますレッドしゃん」


レッドの後ろにヨミがおぶさっていた。

それより、今のはミーと同じスキル?


「あんた、それがあるなら私も運べばあんなことにならなかったんじゃ」

「いや、それだとミーにくっつけなくて残念がるだろうなと思ってな」

「……」


なんだかんだ言ってそうかもしれない。

嬉しいか嬉しくないかで言ったら嬉しかったし。


「凄い綺麗ですね………」

「でしょ?僕のお気に入り」


いつの間にかヨミとミーが話している。

何がそんなに綺麗なの、かし、ら…………


そこは地下に降りたとは思えないほど、光が満ちていた。

そして赤いレンガに囲まれた所には薬草が、虹の色と同じように並べられていた。


「綺麗………」

「ミー、なんだこれは」

「だから畑だよ、地下状態異常植物園」

「…もうあなたが何してもあなただからで済ませてしまいそうよ」


訳がわからないわ、本当に。

ミーは本当に常識に縛られないプレイをしている。

そんな所が、きっと人を惹きつけるんでしょうね。


「そうだ、今日は料理作ったから皆食べてみて!」


どうやら今日はまだ驚かされるようだ。


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