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「じゃあ行こうか、少し広いところへ」
「はい、じゃあハンマまたね」
「気をつけろよ、そいつ煮ても焼いても食えないぞ」
「いやん、そんなワイルドなあなたに食べられたら困っちゃう」
「消え失せろ!!」
オッサンとともに[ヘファイストス]を出る。
そのまま東のゲートに向かうみたいだ。
「ちゃんと付いてこいよ」
「なんだったら抱えて行きましょうか?」
「はっはっは、男に抱えられても嬉しくない」
そりゃあそうだよね………!?
この姿で男だと分かったの!?髪型と体型少し変わってるのに!
「なんで男だと?」
「オッサン女の子の味方だから、分かるのさ。伊達に10年女の子助けてないさ」
「レッドみたいな人だ」
緋色は誰でも助けるけど、優先的に女の子を助けるからとても似てると思う。
「レッドが誰か知らんが、オッサン結構死線くぐって助けてるのよ。銃を欲しい理由もそれが1番使いやすいからだし」
「確かにあれは怖いですよね。コンクリートに普通にめり込むし」
「まるで見てきたように語るな?」
「僕も狙われましたし、レッドと一緒に」
「…嘘言ってる目じゃないな。最近の高校生はオッサンと同じことするのかい」
明らかに僕達とオッサンがおかしいだけだと思うけどね。
誰も森の中で銃を持った相手にゲリラ戦なんてしないだろうし。
「ならこの技は役に立つだろうな。なんせ俺がリアルで使っている技だ」
「それは…是非とも教わりたいですね」
何だろう?
バトルマンガにあるような武闘の技とか?
「ここぐらいならいいだろう、全部脱げ」
「え、装備を?」
「そうだ、そんな趣味ないから早く」
まぁ、特に問題ないよね。光の森に近いからウサギすらいないし。
ゲーム上外せない、壊せないインナーのみとなって立つ。
ちょっと恥ずかしいな。
「さて、今から教えるのは空間を把握する能力だ。その気になれば銃弾だって避けられるようになる」
「僕、リアルでは動き遅いんですけど」
「それでも拳くらいは避けられるようになるから、覚えて損は無いぞ」
「はい!」
早速何か渡される。
何かベタベタするクリーム状のものだ。
「まずはそれを全身に塗れ」
「は、はい」
なんだろうこれ、塗ったところで特に何も感じないけど。
「今から目隠しをしたお前に小石を投げる、それを音で感じ取って捕まえろ」
「え?そんなの無理じゃ」
「為せば成る、やるぞ」
目隠しをさせられて、小石が飛んでくる。
もちろん小石を掴むなんて出来ない。音で何となくの方向を分かっても、距離感が分からないから。
「んっ!いたっ、あっ!あ!」
「変な声上げるな!音に集中しろ!」
クリームを塗ってるとはいえ、当たったら少しは痛い。
一体どうしろというんだ!
右から音がしたので手を前に出す。指の先に当たった、凄い痛い!
もう1回右から音が聞こえる。さっきと同じタイミングで出すが、音が少し違ってた。またも指に当たる。
でも、おかげで何となく距離感を掴める気がした。
よく音を聞くと、石が近いときと石が遠いときの音は違ってた。
そしてその違った音と、手を伸ばした時の距離感を当てはめていけばきっと掴めるはず!
何回も何回も手を伸ばした。
そのうち違いを細かく聞き分けることが出来てきた。
そして何十回目だろうか。
パシッ!
「あ、取れました!」
「よしまだまだいくぞ!」
「はい!」
そこからは稀に取り損ねたけど、結構な成功率だった。
足元には掴んだ石が転がっていて、見てると達成感を感じた。
「よし、今日はここまでだ」
「あれ?まだあるんですか?」
「次は触覚だけで石を取る訓練だ。明日の5時にここで会おう」
「はい!」
今の時間は、げっ!?
あと5分で話合だ!
「それじゃあまた明日!」
出せる最高速度を出して町に戻るミーを、楽しそうに見つめるオッサン。
「面白い奴だな。俺でも一瞬間違えたかと思うほど女の子って感じだし、やたら足や動きが速い。そして俺でも3日掛かったアレを1日でほぼものにするなんてな。歳は取りたくないね、まったく」
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翌日、何とか話合いは免れた(忠告はされた)ので、宿題や洗濯を終え、3時にログインする。
約束の時間まで、かき氷機を作らねば。
失敗作をインゴットに戻して再び作り直す。
いよいよネジの所に差し掛かる。
《彫金》は必要なレベル10まで上げておいたので、[金型加工]を選択する。
すると一覧が表示された。バネやワイヤーなんかもある。
その中のネジを選択すると、目の前の選択した範囲に金属の箱が現れた。
しばらくして、箱が消えた時には特有の溝がちゃんと出来ていた。成功だ!
ついでに色々役立つ金型が沢山あったので、比較的簡単にかき氷機が出来た。
早速食べてみよう!
ガリゴリ、ガリゴリ
「〜♪」
よし、後はシロップを………
そう言えばシロップが無い!?
「そんな………」
ただの味気ない氷なんて食べたくないよ!
一体どうすれば……
「ハチミツだ!あとフルーツとか!」
そうと決まったら買い貯めているハチミツとブドウやイチゴ等を用意する。
それを絞り機で絞ったり、細かく切って載せたりして。
「完成!いただきます!」
冷たくて美味しい!
甘さもしっかりとあり、家でも作りたいくらいだ。
「これは皆に食べてもらおう。でも3人分くらいしかないや」
とりあえずオッサンにはお礼として持ってこう。
他はじゃっくとシーフィアさんでいいかな?
時計を見てみると、もう5時まであと僅かになっていた。
急いで昨日の場所に行かなきゃ!
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「ま、待たせてしまって、すみません」
「いや、別に気にしてねーよ」
オッサンは昨日と変わらず、石を構えて待ってた。
早速装備をすべて脱ぐ。
「それにしても、筋肉無いな。少しは鍛えとけよ」
「筋肉付きにくい体質みたいで………」
「なんかすまん」
別に筋肉なんかいらないし!
女子と腕相撲して引き分けとか気にしないし!
嘘です、やっぱり筋肉欲しい。
「じゃあ昨日言った通り、今日は目隠しと耳栓で視覚聴覚を塞いで、触感のみで石を掴め」
「はい!」
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そう簡単に掴めるはずがなかった。
もうすでに100は越える数を受けているだろう、だけどこれと言ったものは分からない。
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300を越えたのか、それとも400か?
もう皮膚がひりひりしてそれどころじゃない。
ひりついた皮膚が、更に痛みを与えられる気がした。
咄嗟に手を伸ばす。
パシッと、何も掴まなかった手のひらが何かを掴む。
やった!
ついに取れ!?
後ろに手を伸ばす、石を掴む。
右!左!前!まえ!うしろ!左右!
ゴン、と頭に石が降ってきた。
流石に耐えられず、疲れた僕は倒れ込む。めちゃくちゃ地面が痛い!?
「酷いです……取ったのに、連続で…」
オッサンは何も言ってこない。
と、目隠しと耳栓が外された。何も聞こえないわけだよ。
「よし、次に行くか」
「死んじゃう」
「大丈夫、お前ならやれる。俺より天才だし、くそ!」
悔しそうに地団駄を踏むオッサン。
もしかしてさっきの連続投球は、自分が負けたから腹いせにやったんじゃ………。
「ラストは全ての感覚を使って、攻撃を避けろ。これができたら恐らくスキルが取れるはずだ」
オッサンが石を投げてくる。
それを避けている時、今までとの違いが分かった。
今までは近づいて来たものに目線を合わせて、それから体を動かしてた。
だから拳を避けることは出来ても、次の行動は分からなかった。
でも今は、近づいて来たものに体が勝手に反応するから、視線を相手に合わせていられる。
なんだったらメモを取りながらでも近づいて行けるだろう。
そこまで考えてたら、オッサンがニヤリと笑った。
頭の中で警鐘が鳴り響く。
何を仕掛けた?何処に?いつ?何のために?
多分石以外の物だ。オッサンの視線の先。時間差で。オッサンが確実に当てるために!
背中に刺激を感じた瞬間、勢いよく足を蹴りあげ、飛び上がる。
そう、バク転をしたのだ。
そして通り抜けた棒を、思い切り前に蹴飛ばした。
棒はきっと当たるはずだった石を弾き飛ばして、オッサンの顔めがけて飛んでいく。
ズドン!
木に棒が当たり、棒が落ちる。
それをしゃがんで避けたオッサンがキャッチする。
「流石師匠!弟子に反撃に出られたくらいじゃ、何ともありませんね!」
「…おう、流石俺の弟子だ。もう免許皆伝だな」
あはははは、とお互い乾いた笑いを出す。
流石にあれにはイラッと来たからやり返したけど、やっぱり避けられちゃったね。
《スキル《空間把握》《思考分割》を習得しました!》
お、これが言ってたスキルかな?
「《空間把握》と《思考分割》が今回の目標だったの?」
「は?《空間把握》だろ?《思考分割》ってなんだよ?」
どうやら《思考分割》は偶然取れたらしい。
いったいどんなスキルなんだろうか?




