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「料理の時間だ!!」
今日は沢山作るぞ〜!
アイテムボックスに入れておけば何時でも作りたてだからね!作り置きしとこう。
ようやく料理人のジョブの見せどころだよ!!
ステーキしか作ってないから凝ったヤツを作りたいな♪
まずはハンバーグ!
を作りたいけど、調味料が少ないんだよね。
塩コショウ、砂糖にお酢、この4種と料理酒、赤ワインしか売ってなかった。
その割にトマトやタマゴはあるから、作れってことかな?
まずは鳥系のガラを煮込んでコンソメを作る。
ガラを水で洗って血溜まり等を取り除く。水から煮込んでいき、玉ねぎ等の野菜も一緒に煮込む。
アクを取ること2時間。
ガラや野菜を取り出し、味見する。
うん、美味しい。
今は深淵の1番大きいサイズにして煮込んでいる。
なんと、僕の身長より大きい。高さ155cmの僕より、高い………ま、まだまだ伸びるよ、きっと。
直径は180cm、このサイズじゃないと鶏ガラの処理が足りないんだよね。いくら何でも鳥出過ぎだよね。まだお肉は300近くの数があるし。
「本当はずっと煮込んで乾燥させるんだろうけど、《濃縮》《分離》」
一部はスープとして取り出して、《濃縮》で旨みを濃縮して、《分離》で水分のみ取り出して粉末にした。
コンソメのかんせ〜い!!
次はトマトケチャップを作る。
トマトの皮を剥いて、包丁で細かくしていく。
目が細かいザルに入れてヘラで押し出して、種を取り除く。後で植えてみようかな?
そして細かくした玉ねぎ、塩、砂糖、油と一緒に炒めていき、水分を飛ばしたら完成だ!
最後に、マヨネーズを作る。
卵と塩、砂糖に少しのレモン汁 (搾りたて)を、泡立て器で手早く混ぜる。
その後、油を分けて入れながらかき混ぜて完成!
これだけあればしばらくは何とかなるかな。
「次こそハンバーグを作るぞ!」
ヌシの肉をひき肉にして牛乳に浸したパン粉や玉ねぎを混ぜ込む。
塩コショウを少しかけて、中が焼けるまで焼いてく。
ケチャップをかけるのは後でいいよね。
とりあえず完成!
残念ながら米は見つかってないので、炊き込みご飯が作れない。
醤油も味噌も無い。どっかに醤油の泉とかセミそとか出してくれないかな、運営さん。
無いものねだりはやめて、次は唐揚げでも作ろう。
醤油が無いので、さっきの鶏ガラスープやごま油、塩、砂糖を少々、マヨネーズも少し入れて、鳥肉に絡めていく。
薄力粉片栗粉をまぶして、油を多めにひいたフライパンを傾けて揚げていく。深淵以外の鍋も買っとこう。
唐揚げも完成!
流石にお肉ばかりなので、サラダも作る。
野菜類は豊富な種類が出回っているので、結構沢山のバージョンを作る。
後はキャベツやにんじんを肉と炒めた野菜炒めだね。塩コショウのみの簡単な味付けだけど。
ふと、アップルパイが食べたくなってきた。
何故かリンゴは探しても無かったんだよね。レモンぐらいしか無かった。(種は勿論植えておく)
「あせりんごが有るけど状態異常はなぁー」
美味しいけど、食べたら焦るなんて嫌だね。
落ち着いたティータイムとかで食べたい。
でも、前に食べた時凄い美味しかったんだよねぇ。
ワンがらしも辛旨って感じだったし。
もしかして状態異常系は美味しいのかもしれない。
なら、
「状態異常を消して料理出来る様にしてやる!!」
まぁ、今日は研究は止めとこう。
4時間は料理してたしね。ちょいちょい味見してたから、今回は倒れなかったし。
「そうだ!折角だからシーフィアさんにおすそ分けしよう!」
喜んでくれるかなぁ。シーフィアさんの暖かい笑顔は見てるとポカポカしていい気持ちになるしね。
料理は他の人に食べてもらって、喜んでくれた時が1番嬉しいよ。
早速[アラクネの糸]に着きました。
「シーフィアさんお腹空いてませんか?」
「あらミーちゃん、女子会でもするの?ちょうどじゃっくが来てるからお話しましょうか?」
「だから僕は男ですって!料理作ったので感想聞きたくて」
何時ものやり取りをしていると、
「りょ、料理!?」ガタガタ!
「どうしたのじゃっく!?何で真っ青で震えてるの!?」
「私を殺す気か!!」
「何故に!?」
一体全体どうしたって言うんだ。
杖を構えても、町の中はダメージ与えられないから!?
「うんとね、じゃっくも私もβテスターなんだけど、昔ね、あるプレイヤーさんが料理を作ったの」
「それがどうかしたんですか?」
「ボス討伐の宴で皆食べた時、目の前が真っ白になって町に戻っていたわ」
「え?」
「[毒][麻痺][焦燥][混乱][恐怖]人によっては[忘却]や[窒息]極めつけに[即死]が付いて皆死に戻りしたみたい」
「ええええぇぇぇぇえええ!!!??」
何それ、超怖い!!
普通に毒作るよりヤバいもん出来てるよ!?
状態異常アイテム料理出来るか不安になってきた。
「βテスターはNPCの料理が普通でも喜んで食べるのは、この事件のせいね。《料理》は殺人スキルなんて言われて、誰も取らなかったわね」
「魔女のサバト事件のせいで私NPCの料理しか食べられなかったもの」
「あれ?でも、じゃっく前に僕の作ったステーキ食べてたじゃない?料理作る約束したし」
あれはむしろねだってたよね。
凄い美味しそうに食べてたけど。
「あ、あれは、お腹空いてたし、あまりにも美味しそうだったから………ミーの作ったものだし(ぽそっ)」
「?じゃあ僕の料理食べてもらっていいの?」
「も、勿論!ミーの料理なら食べ、食べる、よ!」
少し震えてるし、真っ青な顔で、何ていうか、
「凄い食べさせづらい!」
「だ、大丈夫。ミーなら信じられるから。さっきのはただの条件反射だから」
「私も食べていいかしら?」
「勿論です!シーフィアさんに持ってきたものですから!」
「私は!?」
じゃっくにはパーティー組む時にでも一緒に食べようと思ってたからね。
一緒にいるってことは2人は仲良しなのかな?
2人はどこか緊張した顔でハンバーグに手を伸ばす。
そして、2人の口の中に入っていき、
「「美味しい!?」」
「いや、だから普通に料理したから問題無いって。リアルでも家族のご飯作ってるから、食べられるレベルだよ」
それから2人は本当に美味しそうに、味わいながら食べてた。
「美味しいわ、ありがとうミーちゃん」
にこっと、花がほころぶ様に笑うシーフィアさん。
何か、そんなに嬉しそうにされると少し照れます……。
「む〜!!ミー鼻の下伸ばしてだらしない!このムッツリ!!」
「何で罵倒!?もう、じゃっくはどう思ったの?」
感想は皆に聞いて反映させたらより気に入ってもらえるからね。
「ん、まぁ、その、凄い美味しかった。ありがとう」
「どういたしまして♪」
うん、やっぱり褒めてくれると嬉しいよ。
僕は褒められて伸びるタイプだね。
と、なにやらじゃっくが話しかけてくる。
「ねぇミー、少しお願いがあるんだけど」
「ん?なに?」
「現実で弁当作ってくれないかな。私の両親が共働きで、たまに手作りが食べたくなるんだよ」
「ん、いいよ」
「だよね、そんないきなり言われても困る、って、いいの!?」
引き受けたら何故か驚かれた。
何で頼んだ側が了承されて驚くの?
「本当に良いの!?迷惑じゃない?」
「別に4人分の弁当作ってるから1つ増えるくらい変わらないし、前からじゃっくのご飯の偏りが気になってたから」
「あら?2人はリアルでも友達なの?」
シーフィアさんが尋ねる。
「そうですよ」
「え!?」
「え!?違うの!?ごめん、友達面してウザかった?」
「違っ、じゃなくて、その」
じゃっくはうつ向いて声が小さくなっていく。
と、その時、シーフィアさんが、
「じゃっくは照れて高圧的になるから、友達が出来づらいって嘆いてたのよ。友達ですって、良かったわねじゃっく」
「い、言わないでよ!」
「僕は友達って思いたいけどダメかな?」
照れて真っ赤なじゃっくに聞く。ちょっといじってみたくなったから。
「………友達から、お願いします」
「うん、親友になれる日も近いといいな」
「…鈍感」ぽそっ
「え?何か言った?」
「あらあら」
ここで断られたら、心がポッキリ折れてただろうね。
それにしても、最後は何て言ったんだろう。
お茶を飲み、ログアウトぎりぎりまで楽しくお茶をしていた。
明日からは、異常系料理の研究だ!




