1日目 漂着
つたない文章で読みにくいと思いますがお手柔らかにお願いします。
周りの生徒達は、プールで遊んだり、船内をくまなく探索したり、いつでも自由に飲み食いのできるレストランで食事をしたり、中には自室の部屋で読書をしたりと、それぞれ自由に行動している。
その中で健治は外のデッキに出て、物思いにふけている。今回の修学旅行は彼にとってただの修学旅行ではないのだ。長年想い続けてきた幼馴染の渡辺莉奈にこの一大イベントを利用して告白しようというのだ。
莉奈とは昔から家が近く、親同士も仲が良くて小さい頃から互いの家を頻繁に行き来し、遊んでいた。
その頃はそれで良かったが中学に上がると同時に、彼の中で莉奈に対する気持ちの変化が訪れるのだが、この関係を壊したくがないため、今日この日まで変わらぬ関係性を維持してきた。
しかし、この修学旅行が終わり、3年になれば受験が待っている。卒業の前に気持ちを伝える手もあるが、周りでは莉奈に対して好意を示すライバルが多いのだ。なんせ彼女は地域では評判の美人で有名で、スカウトの名所では訪れるたびに声を掛けられるくらいだ。周りが黙っているわけがない。
それも踏まえ、告白するには今回しかないと密かに鼻息を荒くし今に至るというわけだ。
「一一莉奈は俺の事、ホントはどう思ってんのかな……」
思わずボソッと本音が出る。
すると、突然後ろから頭を平手打ちで軽く叩かれた。
「イテッ!」
「何ボケーッとしてんの? 莉奈探してるよ?」
後ろから平手打ちを食らわしたのは、莉奈の親友の松岡葉月だ。
彼女は莉奈と中学から同じクラスで、莉奈を狙う周りの男達からガードしてきたボディーガード的存在である。なんせ彼女が所属する部活はボクシング部で全国大会に出るほどの腕である。
そして何より、彼女自身も飛び切りの美人であるが、ボクシング部であり、話し掛けづらい雰囲気のせいか、友達が莉奈以外ほとんどいない。
「てっきり二人でまわってるかと思ったんだが……」
「んなわけないじゃない! あんたも薄々莉奈の気持ち気づいてんでしょ?」
「直接聞いた訳じゃないだろ?」
健治は自信無さげに言うが、莉奈が自分を想ってくれていることを薄々気付いていたのである。しかし、本人に確認した訳でもなく、これが健治にとって初めての恋愛なのもあってか、中々踏み出せない日々を送っていたのだ。
「そんなグズグズしてたらさ、他に取られちゃうよ?」
葉月はイタズラにそう言う。
「ついこの間だって莉奈、1組の田中に口説かれてたしね。」
「田中って、田中智のことか?」
「 うん、でもアイツ、女癖めちゃくちゃ悪いから追い払ってやったけどね!」
おそらく、葉月は相手が健治以外だったら全員追い払っているだろう。
「アンタのためにアシストしてやってんだから、早く覚悟決めなよ? 残り少ない学園生活の為にもね!」
「そうだな、時間無いよな」
すると、突然辺り一面霧がかかってきた。少し奇妙さを感じる程の霧である。
「なんか肌寒くなってきたね。莉奈と部屋戻ってるね。一一来る?」
葉月はニヤけながら言った。
「そういや、陸上部の奴らとまわってたんだわ。とりあえずそっち行くわ! んじゃ!」
そう言って健治は船内へと慌てて走っていった。
「一一今私と話してた事、理解してたかな?」
葉月はかすかな疑問を持ちながら莉奈の元へ向かった。
その頃、操舵室では船長と複数の船員たちがこの突然の濃霧について議論していた。
「船長、とりあえず予定のルートをこのまま進めば、目的地の長崎には着きます。九州辺りでこの霧も晴れるでしょう」
「そうだな、予定通りこのままの航行ルートで行く。これほどの濃霧だ。恵比寿山高校の皆様の為にも安全第一で行こう。スピードは落として行く」
船内の客室では陸上部で集まった面々と健治が、この濃霧に不安を募らせていた。
「健治、この霧晴れたら外出て皆でランニングしようぜ! 」
「修学旅行来てまで走りたくねーよ」
「何言ってんだよ、こういう時にこそ他の奴らと差をつけるチャンスじゃんか! 」
健治はその言葉に理解出来ず、深く呆れる。健治にとって部活よりも今は莉奈との今後のことのほうが重要である。修学旅行の時まで部活の事など考えてなどいられないのである。
「一一霧、濃いね。」
「そうだね、健治君どうしてるかな…… 」
「あれ?何考えてるかと思えば、やっぱ莉奈の頭ん中は健治でいっぱいなんだねー? 」
「そ、そんなことないよ! ただ、ちょっと心配で」
葉月のからかいに慌てふためく莉奈。
「あいつなら今、陸上部の奴らと一緒にいるよ。この霧晴れたらさ、3人で舟まわろ!」
「うん!そうだね! 」
「にしても、この霧すげー濃いな。ほんとに何も見えねー」
辺り一面霧が船を覆う様にかかっていて、数センチ先も見えないくらいの視界の状態になっていた。そして、今度は突然波が荒っぽくなり始める。雨が降っているわけではないが、嵐が近づいているかの様な荒波が巨大な船を襲う。
「えっ! ちょっとこれ大丈夫!? 海の気候ってほんとすぐ変わるんだねー」
葉月の言葉に不安げな表情になる莉奈。
船内は突然の荒波に揺られ、気持ちの悪くなる生徒やパニックを起こす生徒が出始める。
「船長! こんなことって!? 」
「一一濃霧に突然の荒波……、 まさかそんなはずは!? 」
船長の頭に嫌な予感がよぎる。
「すぐに救助要請を出すのだ!これはまずいかもしれん! 」
万が一の為に、船長はすぐさま救助を要請する指示を出した。
「一一おかしい、あの事故の海域までは全く問題の無い場所のはず。それがなぜこんな事に…… 」
荒波に押され船はどんどん流されていく。
「出来るだけこの位置から離れるな!船を停泊させるのだ!」
「船長!舵が利きません!! 」
「くっ!」
荒波に揉まれる事30分、霧も薄くなり波も穏やかになり始め、ほっと一息着いた船の乗客達。
しかし、操舵室では重苦しい空気が流れていた。
「船長、今私達がいる位置の航路図が出ません!」
「みんな聞いてくれ、最悪の事態になってしまったかもしれん 」
一一船員に緊張が走る。
「ここは、消息不明の漂流事故が多発している海域に私達は漂流してしまったかもしれん 」
一人の船員が通信機器を必死に操作する。
「あの嵐を抜けてから通信機器が反応しない!? でもさっき救助の要請は間に合ったから、僕らは何とかなりますよね!? 」
「まだなんとも言えん。さっき通ったとこを見てみろ 」
濃霧と荒波を抜けた方向に目をやると、晴れたはずの霧が全く消えていなかった。ただ単に濃霧の場所を抜けただけなのだ。これでは救助要請を受けても最悪、霧が晴れるまで断念してしまう可能性が高い。
「船長! 島が見えます!」
船員が突然声を上げた方向に目をやると、そこには緑生い茂る巨大な島が現れたのであった。
まだ島に漂着してなくてすいません。長々と……




