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転生王女の復讐劇  作者: たま


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3話 第一王子の違和感

数ある作品の中から本作をお選びいただき、ありがとうございます。

拙い部分もあるかと思いますが、最後までお楽しみいただければ嬉しいです。

3話 第一王子の違和感

禁書庫を出たあとも、私はずっと考えていた。

自分の体にかけられた魔法。

魔力封印術。

あれは確実に存在する。そして、おそらく今も私の体にかかっている。

問題は二つ。

誰がかけたのか。そして――どうやって解除するか。

私は自室の机に広げた紙を見つめた。

そこにはぎこちない文字で、いくつかの単語が書かれている。

・魔力回路・封印術・王血魔法・解除方法

前世では普通に字を書けたが、この身体はまだ五歳だ。ペンを持つだけで苦労する。

それでも書き続けた。

「封印魔法は……魔力を止める」

私は胸に手を当てた。

やはり、そこに違和感がある。

流れていない。

本来なら全身を巡るはずの魔力が、胸の中心で止まっている。

「つまり」

私は小さく呟いた。

「ここを開けばいい」

単純な理屈だ。

問題は――方法。

禁書庫の本には、封印術の説明はあったが、解除方法は書かれていなかった。

「意図的に隠している?」

王族の魔法ならあり得る。

危険な術ほど、情報は制限されるものだ。

私は窓の外を見た。

夕方の王宮の庭園が広がっている。

剣の訓練場では騎士たちが訓練していた。

その中央に、見慣れた金色の髪。

カイト兄様だ。

「……」

私は静かに目を細めた。

禁書庫でのカイトの反応。

あれは、明らかにおかしかった。

封印魔法を知っている顔だった。

でも。

物語の中のカイトは、そんな秘密を知らない。

優しくて真っ直ぐな王子。

陰謀とは無縁の人物。

だからこそ国民から愛される。

でもさっきの反応は――

「まるで」

私は小さく呟いた。

「知ってるみたいだった」

その時、扉がノックされた。

「エリオット様」

侍女の声だ。

「夕食のお時間です」

「わかりました」

私は紙を引き出しにしまった。

そして立ち上がる。

胸が少しだけ痛む。

ズキン。

でも前より弱い。

「……?」

私は首をかしげた。

さっきから何度か感じている。

痛みが、ほんの少しだけ軽くなっている。

禁書庫に入ったから?

それとも――

私は胸の奥を意識した。

その瞬間。

ほんの一瞬だけ。

魔力が動いた。

「!」

すぐに止まった。

でも確かに感じた。

小さな流れ。

まるで閉じた扉の隙間から、水が漏れるように。

「もしかして」

私は息を飲んだ。

禁書庫の魔導書には、強い魔力が宿っている。

もしそれが――

封印に干渉したとしたら?

「試す価値はある」

私は静かに呟いた。

夕食の席。

王族が集まる長いテーブル。

父である国王、母である王妃、そしてカイト兄様。

私はいつもの席に座った。

「エリオット」

王妃が優しく微笑む。

「今日は図書館に行っていたの?」

「はい、お母様」

「体は大丈夫?」

「元気です」

嘘ではない。

本当に、少し元気になっている。

国王がワインを飲みながら言った。

「カイト」

「はい、父上」

「最近は妹の世話ばかりだな」

カイトは苦笑した。

「可愛い妹ですから」

「勉強も大事だぞ。次の王になるのだから」

「承知しております」

会話は穏やかだった。

普通の家族。

前世では一度も経験できなかった食卓。

でも私は。

ずっとカイトを観察していた。

カイトはいつも通りだ。

優しくて、穏やかで、完璧な王子。

でも。

時々。

視線が鋭くなる。

まるで何かを警戒しているように。

そしてその視線は――

一瞬だけ。

私に向いた。

「エリオット」

突然カイトが言った。

「今日は禁書庫で何を読んでいた?」

フォークを持つ手が止まる。

質問は自然だ。

でも。

タイミングが不自然。

私は笑顔で答えた。

「魔法の本です」

「どんな?」

「王族の魔法」

カイトの目がわずかに細くなる。

「……そうか」

私はさらに言った。

「封印魔法ってあるんですね」

一瞬。

空気が凍った。

ほんの一瞬だけ。

でも確かに。

カイトの手が止まった。

王妃は気づいていない。

国王もワインを飲んでいる。

でも私は見ていた。

「どこで読んだ?」

カイトの声は穏やかだった。

でも。

完全に警戒している声。

私は無邪気に答えた。

「本に書いてありました」

「……そうか」

カイトはゆっくりフォークを置いた。

そして私の頭を撫でた。

「難しい本を読むようになったな」

「勉強してますから」

カイトは微笑んだ。

完璧な笑顔。

でも私は確信した。

この人、何か知ってる。

食事が終わり、部屋に戻ったあと。

私はベッドの上で天井を見つめた。

「おかしい」

物語と違う。

カイトはもっと単純なキャラのはずだった。

陰謀も魔法も知らない。

ヒロインに救われる王子。

でも今のカイトは違う。

何かを隠している。

私は静かに呟いた。

「まさか」

あり得ないと思いながら。

それでも。

頭から離れない可能性。

「……カイト兄様も」

私は天井を見つめた。

「転生者?」

もしそうだとしたら。

この物語は――

最初から壊れている。

その瞬間。

胸の奥で。

ドクン。

今までより強く魔力が動いた。

まるで。

何かが目覚め始めたように。

私は小さく笑った。

「面白い」

運命のヒロイン。

転生王女。

そして。

もし転生王子までいるなら。

この物語は――

誰のものでもない戦場になる。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

少しでも楽しんでいただけたなら、

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