第25話 前の世界の出来事を思い出してみた
浮遊車はなぜかハリネズミを連想させたので〝ハリー〟って名前をつけた。
ハリーを走らせて、途中町があると寄っていろいろ仕入れる。
金ならあるぜ! 主にドークリー氏の慰謝料だけど。ワハハハハ!
賠償金の他、結果保管は出来なかったけど、それでも古代遺跡物を無事運び調査できたってことで臨時報酬ももらったし、なかなかに懐が暖かい。
魔法を使わなくていい家(浮遊車)を手に入れたので、もうこのままこの国に永住してもいいかなって気がしてきた!
俺が消えたことで、じいさんが心配している可能性はあるが、他のクソ家族どもはいつものように「卯月はお兄ちゃんだから大丈夫でしょ」って言ってカケラも心配していないだろう。ドークリー氏が向こうに行ってるから事情を説明するだろうしな。……自分の失敗を隠蔽しなければ、だが。
現在の俺、借りてる上に車とはいえ水道光熱費無料の住居持ちで、そこそこ金を持ってて、さらに高給取りっぽいトコに就職出来て、旅に出て古代遺跡物を持って帰ってくればボーナスも出るってな待遇だ。
向こうでの境遇を考えたらこっちのほうが断然いい。
じいさんは俺に遺産を譲るっつってたけど、あのクソ家族どもが黙って引き下がるとは思えないので絶対に泥沼の遺産争いになる。それを考えるとますます戻りたくないな。
……ってくだらないことを考えていたら、ゼロエロに声をかけられた。
『どうしたのじゃ? 人を食い殺そうとしているような顔をしておるぞ』
「オイ、俺は鬼かよ」
とんでもないことを言い出したゼロエロにツッコむ。
俺は伸びをすると、首を鳴らして気分を変えた。
「こっちでうまくいってるし、無理やり向こうの世界に帰るのもな〜、って考えてたんだよ」
『どうしてそれで人喰い鬼みたいな顔になるのじゃお主は』
どうして俺が人喰い鬼みたいな顔をしてるって言うんでしょうかねこのポンコツ剣は。
……ま、いいか。思い出したら殺人鬼みたいな顔になるような不快なことは思い出さないに限るな。
気を取り直し、立ち寄った店で生活用品をバカスカ買ってタロウに詰めていく。
なんかよくわからんけど勝手に連結したみたいで、タロウに入れたものはハリーのボックスとつながって勝手に仕分けされるらしい。
タロウに入れたものはハリーのボックスから取り出せるしタロウからも取り出せる、ってことなので、気にしないことにした。
「こんなもんか?」
たぶん、一か月くらいなら山にこもっても大丈夫かな。
俺、元の世界で一ヶ月くらいじいさんと山ごもりしたことあるけど。
ただ、あっちとは植物とか動物の生態系が違いそうだからなぁ……。
ふと見たら、肉が売られていた。
「あれ? 肉が売ってる」
って思わずつぶやいたら店の主人に笑われた。
聞いたら、小型の魔物は罠の魔道具で捕獲できるらしい。
また、攻撃魔法を持っていれば安全に倒せるとのこと。役所に持っていけば褒賞金がもらえるが、解体魔法が使えるなら自分で処理して売ったり食べたりした方が得なのだと教えてもらった。
いいことを聞いた。しとめたら食おう!




