第22話 二人を乗せてみた
町のみんなが呆けた顔でこっちを見ているが、俺としてはファンシーなお椀がプカプカ浮かびながら優雅に移動する世界で、何を驚くことがあるのだと言いたい。
局まで乗りつけて、ドアを開けた。
「よう。戻ったぜ。まず一つ、古代遺跡物の配達だ!」
慌てて飛んできたラクシャリーさんに向かって言った。
ビーネさんも飛んできた。
「これは……! またすごいな……。ここまで動かしてきたのか?」
「そう。俺、こういうの初見で動かせるタイプだから。どこに運ぶ?」
俺が尋ねると、ビーネさんは
「大型の物を転移させる部屋があるので、そこに運んでほしい」
と言った。
「オッケー。……んじゃ、ついでに乗ってく?」
「「ぜひ!」」
軽く言ったらビーネさんだけじゃなくラクシャリーさんまで同意した。
乗った二人はゼロエロなんか目じゃないくらいに大はしゃぎだった。
「すごいわ! 動いているわ!」
「乗り心地もいい! これは快適だな! さすが古代遺跡物だ!」
何言ってんだろ?
「いや、フツーにこういう乗り物あるじゃん」
あのお椀型のヤツ。
俺が二人にツッコむと、むしろ俺が何を言ってるんだみたいな顔を二人からされた。
「ありませんよ?」
ってラクシャリーさんが言う。
「お椀型の……」
って俺が言うとさえぎる勢いで否定された。
「全然違いますよ! そもそも形も大きさもまるで違うじゃないですか!」
確かにそこはそうだけど。
「浮いて移動する」
「それだけなら、なんでもそうですよ! 魔法で浮かせて動かせばすべてが一緒になるじゃないですか!」
ってラクシャリーさんが憤った。
あれは魔道具だけど、魔法で操作しなくてはいけないし、一人用でスピードも出ない乗り物らしい。ちょっと急ぐときに使うと便利~くらいで、だいたいが転移魔法を使うそうだ。
うーん、自転車? あるいは車椅子か歩行器みたいな感覚なのか。
「こんなふうに人を乗せて魔法を使わずに運ぶ道具はないのよ。だから、驚いたわ。さすが古代遺跡物ね!」
「うむうむ! 古代遺跡物のすごさがまたひとつ知れたぞ!」
ウキウキと言う二人。
……これを聞くと自動車のある向こうの方が便利なのかって考えるんだが……いや騙されるな。転移魔法がないから、やっぱり向こうの方が不便だろ。
ビーネさんは車の中でも魔法で羽ペンを走らせていろいろ記録していった。
「うーむ……認証は謎だが、そこさえクリアすれば誰でも使用できるのか……」
『我すら持てぬお前たちが操作できるわけがなかろうが。ドアすら開けられぬのではないか?』
ビーネさんが唸ったら、ゼロエロが即ツッコんだよ。
……まさか。ドアが重くて開けられないとか言わないよな?




