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15、薬師は度胸が大事

 ジョブを薬師に変えたら、ザイレン草からAランク体力回復剤を作れた。初めの頃に感じていた青臭い匂いもしないし、これなら商品できるだろう。神様がジョブをAランクに固定してくれて本当に助かる。


「どうですか!」


「うん...まあ、スゴいな。」


「?」ちょっと反応は微妙だった。結構うまくできたはずだが、どうしたというのだろうか。


「あ、すみません。普通にスゴいんですけど...その、何というか。」商品が並んでいる棚の方を見ながら黙ってしまった。


「使えませんか?」


「使えるには使えるんだが、ちょっとな...。」言いたいことがあるなら、はっきりと言ってもらいたいものだ。じれったいのは好きじゃない。


「?」


「実は、店に置けるのはCランクまで、頑張ってもBランクまでが限界だな。」


「どうしてですか?」


「大抵のものは、高ランクになればなるほど、値段が上がるのは分かるね?」


「はい、直観的に。」調合室から商品を見てみると、確かにD、Eランクが目に付いた。Bランクは厳重に保管してあるのだろう。


「つまり、こんな小さな店でAランクは売れないし、置いてても盗まれて闇市に流されるだけだからね。」


「そうですか...。」折角うまく作れたのに、お店で売れないなんてがっかりだ。今回ばかりは、薬師ジョブがAランクなのがあだになってしまった。


「一応、売ることもできるんだが...。」


「本当ですか!」目の前に天使が舞い降りてきた。地獄に仏とはこういう事だろう。店長さんが言い淀んだのが気になるが、ただで仏様が助けてくれる訳も無い。


「ああ。」


「教えてください!」


「いや、でも...分かったよ。ここの都市に領主様のお屋敷があるのは知っているね?あの、中心部に見える大きいやつだよ。」


「はい。」


「他にもポーションを作って、門番経由であそこの私兵に売ることができる。でも、安く買い叩かれるかもしれないし、性能が悪過ぎると罰金もあるしで、今ほとんどは大規模の商会が取引しているんだよ。」


「つまり、その商会に勝つ必要があると?」


「いや、そうなんだが、それよりもリスクを教えたかったんだけど。」


「ではポーションを作り次第、いってきます!」


「ああ、頑張れ。」




 店長さんの話に夢中になりすぎて、いつの間にか店外に出ていた。調合室に駆け込んで、店長さんの教えるままにポーションを作っていった。外に出ると太陽が頭上まで昇っていた。さっと昼食を食べてから、領主屋敷に商談をしに行くことにした。


「すみません。」


「どうした?ここは庶民が来る場所じゃないぞ。」初対面なのに高圧的な態度。言い返しそうになるのを堪えて、笑顔のまま話すことにした。


「私、薬師をしていまして。」


「それで?」


「商談がしたいので、そういう役職の人まで案内して頂ければ。」


「薬師というとポーションか?」


「はい。」


「まずは毒見代わりに、1つくれないか?」


「では2万フェリルです。」店長さん(いわ)く、こういう時こそ強気にならないと、あとで色々タダで請求されるらしい。


「に...2万!こんな粗悪品に2万だとっ、ふざけるなよ!」


「でも、店長が半額まで値切られても2万フェリルになるって━━」


「そんな馬鹿な話があるかっ!」


1度は腰の剣に手をかけたが、私を一瞥(いちべつ)すると、チッと舌打ちして剣から手を離した。私が身の危険を肌で感じるのと同時に、門番がこっちに足を踏み込んだ。


「ちょ...何するのよ!」


「立場っていうのを教えようと思ってな。」


「っ!」


私の背中が城壁にしたたかと打ち付けられるのと同時に、ガッと何かが耳元をかすめた。右の方に恐る恐る目をやると、太陽の光できらりと光っている。門番の腰を見ると、(さや)しか付いていない。生まれて初めて、身の毛がよだった気がした。


「やめてよっ!」


「いつまで、強気でいられるかな。俺がくしゃみをしただけで死ぬんだぜ。」


「...。」


「おい、そこのお前!」矢のような声が飛んできた。真横に刺さっている剣に気を付けつつ、声が聞こえてきた方向に目をやると、立派な紺の服をきた青年がいた。


鋭い口調で門番を止めつつも、ゆっくりと確かな足取りで歩いてきた。左腰に剣に提げているのを見る限り、その青年は門番の上司であろうか。


「殿下っ、どうしてここに?」


「どうしてでは無い!今何をしているのだ。」


「いえ、ですから...庶民が屋敷に侵入しようとしていまして。」言葉に詰まりながらも、青年の問いに何とか答えていた。さっきまでの威勢は何であったのだろう。


「そうか。そちらのお嬢さん、何か言いたいことは?」


「私はポーションの商談をしに来たんです。ですから、そういう役職の人に取り次いでください。話せるまで、私帰りませんよ。」


「分かりました、では行きましょうか。そこの門番、次は無いぞ!」


「はい、殿下!」さっきまでだらしなく城壁に寄りかかっていたが、きっちり両足で真っ直ぐに立っていて、カメレオンもびっくりな変わりようだ。


「では、行きましょうか。」


「はい、ありがとうございます。」


「いえいえ、先ほどのご無礼をお許しを。」


「もう気にしていませんから。」


城壁の外から見ても立派だったが、近付くとより立派さが分かった。がっちりして大きな扉、真っ白な壁、きれいな庭、ほのかに香る花の匂い、私の理想のお家にピッタリだ。自分の家ではないが、どんどん想像が膨らんでいく。

さて、薬師の仕事をこなすことができるのでしょうか?


まだ初心者で改善点があると思うので、なにかあれば感想で教えていただけると助かります。

もし面白いなと思っていただけたなら、ポイントやリアクションもお願いします。

今後とも八咫烏をよろしくお願いします。

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