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鳥籠の冒険譚  作者: ゆめすむ堂よっし
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ミイラになったミイラ取り

 桜に特別だと言われたものの、深海にはその言葉がまったくピンと来なかった。何故なら深海自身は自分のことを特別だなんて思ったことはただの一度も無かったからだ。桜のようにおかしな魔術を使えるわけではない。


(そうだ桜がどうやって僕をここへ閉じ込めたのかを聞き出さなければ)


 とりあえず深海は自分のことを聞くのはやめて(というより桜がこの話題になった瞬間にもごもごしてしゃべらなくなったからだ)、なぜこんなことができたのか聞くことにした。


「君はどうやって僕をここへ閉じ込めたんだい? 普通の人間にはこんなことできないはずだ」


 桜は話題が変わって、やや持ち直したようにこちらに向き直った。


「それは神崎家の家系に関わことなの。私の家はだいだいそういった魔術を扱ってきた。裏の世界ではちょっとした名家よ。だから、実は小学校も中学校も行ってないの。専属の家庭教師によって義務教育的な勉強と一緒に魔術の使い方を習ってきたわ」


 今度は深海が動揺する番だった。そんなことはあり得るのだろうか。思春期を拗らせておかしなことを言ってるだけだろうか。先程までは、まだ一応話の通じる相手だという認識で深海もしゃべっていた。しかし、この子と本当にコミュニケーションが取れているのか、今の会話で自信が無くなった。深海にとってはそれは想定外の話だったからだ。深海が疑いの目で桜を見ていると、不意に桜の方から口を開いた。


「私のこと、頭のおかしい奴だと思ったのかしら」


 桜はそれを読み取ったように少し自嘲気味に言った。


「そういうの、それなりに慣れてるから、別に責めるつもりはないけど、そういう目線にさらされて生きるのって、結構辛いのよ」


 その言葉からは、桜のこれまでの苦しみや絶望が垣間見えるような、そういう重みが感じられた。たぶん、この子は嘘を言っているわけではないと、深海は判断した。


 それに、そもそもこのおかしな状況に、現に深海は身を置いているわけだ。そういう意味では今更桜の言うことを疑うのもナンセンスだ。深海は考え方を少し切り替えて桜と接することにした。


「オーケー。君の言うことは全部本当のことなんだと思う。変な目で見て悪かった。謝るよ」


 その言葉を聞いて桜もニッコリ笑った。


「フフ、やっぱり優一君はほかの人とは違うわ。そういうところ、すごく素敵」


 桜の無防備な笑顔を見て、深海は思わず可愛いなと呟きそうになった。寸でのところで口には出さなかったが、そう思った自分に驚いた。どんどん自分の想定していた事態から離れていく。でも仕方がない。桜のトンデモ話も受け入れてしまったのだから、このあと悪魔が出てこようが、妖精が出てこようが文句は言えないだろう。何より、そんな状況下で桜が可愛いなどと思った自分が面白かった。頭がおかしいのは一体誰だ。そう思うとだんだん楽しくなってきた。


「いいね。なんだか面白くなってきたよ。もっと君の話が聞きたいな」

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