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鳥籠の冒険譚  作者: ゆめすむ堂よっし
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急転

 おかしな状況にも慣れてきた深海は、もう少しゆっくり桜と話をすることにした。


「せっかくだから珈琲を入れるよ。君は砂糖とミルクはどうする?」


「待って。さっきから優一君は私のこと『君』って呼んでるけど、桜でいいわ」


「わかった、桜。砂糖とミルクはどうする?」


「急に言われると照れるわね……。砂糖とミルクはいらないわ」


 深海は台所に珈琲を入れに行った。母親はどこかへ出かけたようだ。深海がお湯を沸かしていると、桜も台所に降りてきた。さっきと様子が違う。何かしらの緊張感が桜から伝わってきた。


「優一君、想定外の事態だわ。誰かが結界の中に侵入しようとしている」


 それってまずいことなのか、と深海は思った。侵入できるということは、もしかしたら出られるのかもしれないと思ったからだ。


「何かトラブル的なことなのか?」


「えぇトラブルもトラブルよ。結界に入るなんてこと普通の人間には決してできない。だってそもそも普通の人間にはこの空間は認識できないもの。でも相手はどうやら意図して結界に干渉してきているようなの。それってどういう意味だかわかる?」


 普通の人間には認識できないはずのものに意図して干渉してきている。それはつまり、相手は普通の人間ではないということだ。


「相手も魔術が使える人間か、あるいは人間でない何者かの仕業、ということかな?」


「そういうことよ。相手の意図がわからない以上、このままでいるのは危険だわ」


 深海はあまり、驚かなかった。何故なら深海にとって、桜も十分その類だったからだ。今更もう一人増えたところで大した差はない。そう思っていた。その時だった。パリィィィン!! ガラスが割れたような異様な音が遠くで聞こえた。


「チッ、入ってきた。優一君、とにかくここを離れましょう」


 桜が深海の手を引こうとした時、不意に部屋の中に、こだまするように笑い声が聞こえてきた。 


「せっかく来てやったのに、駆け落ちでもする気か」


 桜と深海は慌てて声のする方へ目を向けた。そこには朱色のローブを羽織った、金髪に褐色の肌という風貌の男が立っているのだった。


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