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6. 運命の出会い

ようやく街です。

そして、ようやくそれっぽい展開です。


僕たちは三人で、

タインさんの馬車に乗ってスタットという街へ向かっていた。


逃げていた荷引用の馬鳥――大きな鳥なのだが――は、

よく躾けられていたようで、

熊が倒れたあと自分から戻ってきた。


街へ向かう道すがら、

やはり話題は僕のことになる。


「聞いていいのか分からんですけど……それで、どうして全裸だったんです?」


「ん? なんの話だ?」


ライルさんが事情を知らなかったので、

タインさんがかくかくしかじかと説明する。


すると――


「ぶはははははっ!」


ライルさんが盛大に吹き出した。


「おいおい! こんな森の中で裸って死ぬ気か!?

 それとも特殊な性癖かなんかか!?」


そう言って肩をばんばん叩いてくる。


痛いって。


タインさんまで笑いながら、


「でもこう言ってはなんですが、

 なかなかご立派でしたよ」


「やめてください!?」


拷問だ。


「いってぇ……笑ったら肋骨に響く……」


ライルさんが胸を押さえる。


少しはバチが当たったらしい。


二人がひとしきり笑ったあと、

改めて事情を聞かれたので、

あらかじめ考えていた言い訳を口にする。


「実は、良さげな泉を見つけて水浴びしてたんですが……

 服を一式置いていたら盗まれてしまいまして。

 家宝の剣だけは肌身離さず持っていたので無事だったんですが……

 下着すら残ってませんでした」


「そりゃ災難だったなぁ」


ライルさんはまだ笑っていたが、

タインさんは真面目な顔で頷いた。


「マコトさんは命の恩人です。

 困ったことがあれば、なんでも言ってください」


「そう言ってもらえると助かります。

 本当に途方に暮れていたので……」


「そらそうだ」


また笑われた。


その後、

ラージグレイズラーベアーはかなりのレア素材らしく、

丸ごと高値で買い取ってもらえることになった。


タインさんはもっと礼をしたいと言ってくれたが、

とりあえず報酬として金貨一枚と銀貨二十枚を受け取ることにした。


金貨一枚あれば、

一か月は余裕で暮らせる額らしい。


まずは十分すぎる。


そうこうしているうちに、

スタットの街へ到着した。


交通の要衝らしく、

近くにはダンジョンもあるそうで、

この辺りではかなり栄えている街とのことだった。


タインさんは店の場所を教えてくれたあと、

おすすめの宿まで案内してくれた。


憩いの宿り木亭。


冒険者にも人気の宿らしい。


しかも――


「十日分、払っておきましたので」


「えっ」


「命の恩人ですから」


割引込みとはいえ、

朝夕食付き・十日分・最上階角部屋。


至れり尽くせりである。


本当に、

あそこで助けてよかった。


いや、

助けられてよかったのは向こうだろうが。


初めて建物の中で夜を過ごせることが、

素直に嬉しかった。


やはり、

野外で夜を明かすのは落ち着かない。


部屋に鍵がかかることを確認し、

レーヴァテインを壁に立てかける。


その後、

トイレを済ませ、

風呂代わりのお湯を受付兼厨房でもらって戻ってきた。


「ふう、ただいま……っと」


誰もいないはずの部屋で、

なんとなくそう呟いた、その瞬間。


「お帰りなさい」


聞き覚えのない声が返ってきた。


驚いて顔を上げると、


そこには――


見たこともないほど美しい、

赤髪の女性が立っていた。


「……えっ?」


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ここまでお読みいただきありがとうございました。


宿で一人のはずなのに、

返事がある時点でだいたい事件です。


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