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11. 今度こそ冒険者登録

ようやく冒険者登録です。


ここまで長かった気もします。


「剣の頂点に位置する私の持ち主でもあるマスターは、

 すべての剣に愛されるだけでなく、

 剣の存在そのものを引き上げることができます。

 性能が足りず、未熟な剣ではその負荷に耐えられません。

 マスターが使うべき剣は私が管理します。

 浮気はダメですよ」


「ワタシガ イシヲ モッタノモ

 アネサンノ オカゲ。

 アネサンニ シタガウベキ」


手に持ったミスリル剣――セトが、

レーヴァを持ち上げている。


ちなみにセトという名前は、

工房のドワーフ――ガンツさんの一族名から取ったらしい。


……若干頭が痛い。


だが、

先ほど起きたことの意味はだいたい理解できた。


どうやらインテリジェンスソードは世界でも数振りしか存在せず、

家宝級どころか国宝級らしい。


ドワーフと人間では寿命が違うため、

僕の死後に返却することを条件に、

貸与という形で決着した。


とはいえ、

タダで借りられたわけではなく、

レーヴァが相当な額を積んだらしい。


さらにガンツさんからは、

色々と装備まで見繕ってもらった。


ただ、

サイズ調整や最終仕上げが必要とのことで、

受け渡しは後日になるらしい。


特に、

守り手甲という魔法の籠手は

ぜひ用意したいと二人が盛り上がっていたので、

少し楽しみではある。


何にせよ、

これでようやく剣が手に入った。


……いや、

そもそもレーヴァがいたはずなんだが。


ともあれ、

僕たちは今、冒険者ギルドへ向かっている。


レーヴァにはナビ機能でもあるのか、

街中をまったく迷わず進んでいく。


今日のレーヴァは、

身体にぴったりと沿う鎧に身を包み、

腰に剣を帯びた騎士のような格好だ。


対する僕は、

剣だけ立派で服は一般人そのもの。


並んで歩く姿は――


恋人同士というより、

騎士に連行される村人である。


「着きました」


目の前には、

剣と盾の紋章が掲げられた立派な建物。


冒険者ギルドだ。


少し緊張しながら扉を開ける。


そこには荒くれ者たちが――


いなかった。


人っ子一人いない。


広いホールにはテーブルと椅子が並び、

まるで食堂のよう――

というか、食堂なのだろう。


だが誰もいない。


カウンターにすら人影がなかった。


「マスター、こちらです」


横を見ると、

階段のところでレーヴァが手招きしていた。


「一般に冒険者ギルドの一階は食堂です。

 この時間に人がいないのは普通ですね。

 二階の施設は営業しているはずです」


そう言ってレーヴァの後を追う。


……短めのスカートから覗く白い太ももが目に毒だ。


しゃがめば見えてしまいそうで、

正直目のやり場に困る。


今日は人が少なくて助かったが、

今度もっと長いものを買わせよう。


二階へ上がると、


「冒険者登録の方ですか?」


奥から声がかかった。


「あ、はい」


「それではこちらへどうぞ」


案内してくれたのは、

二十代前半に見える、

落ち着いた雰囲気の眼鏡が似合う女性だった。


「こちらへは初めてですか?」


「はい。

 どうして分かったんですか?」


「ふふ。

 この時間に来られる方は大体そうなんですよ。

 それに、お二人は初めてお見かけしますし」


なるほど。


その後、

受付嬢――タニアさんが、

冒険者ギルドについて丁寧に説明してくれた。


冒険者には階級があり、

基本はF級スタート。


ただし、

最低限の実力を見る実技試験があり、

結果次第ではE級から始められるらしい。


クエストの受注方法、

報告方法、

納品の流れ、

施設利用、

冒険者割引――


ひと通り説明を受けたあと、


「今後は私が担当になりますので、

 何かあればお気軽にご相談くださいね」


とのことだった。


担当制なのか。


ありがたい。


「それでは、

 こちらの用紙にご記入をお願いします」


……しまった。


文字が読めない。


困っていると、


「代筆いたしましょうか?」


タニアさんが優しく声をかけてくれる。


だが、


「いえ、私が書きますので」


レーヴァが即答した。


……若干声が低い。


どうやら嫉妬対象は剣だけではないらしい。


必要最低限の相談を挟みつつ、

レーヴァが記入を進める。


設定上、

僕は東の島国から来たおのぼりさんということになったらしい。


東の国には、

僕のような容姿の人間も多いそうだ。


……いつか行ってみたい。


「それでは、

 実技試験へ移りたいと思いますがよろしいですか?」


「はい、お願いします」


実技試験か。


……一体どんなことをするんだろう。


now loading......


ここまでお読みいただきありがとうございました。


今度こそ冒険者になれそうです。

たぶん。


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