表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【お陰様で4万pv】ハズレスキルで"最弱"霊獣ダンゴムシを引いた俺、実は"最強"霊獣だった件〜戦争を止めろ!王都の次は世界を救え  作者: タルトタタン
第四章 ダニエル救出編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

82/83

17 蜘蛛の糸とモールス信号

 古城は、闇の中に沈んでいた。

風が、やけに静かだった。リクたちは木陰から様子を窺う。

 

「……見張りは正面に変わらず一人か……」

 エトが小さく呟く。

 

「俺が先に侵入して、見張りを拘束する。その後、リク達は来てくれ」

「わかりました」


 エトは近くの木へと駆ける。

選んだのは、森の中で最も高い一本。

 

 するすると登り、枝の上へ。

 

 そして――

 

 サスケの糸を、夜の空へ放つ。

 

 細く、張り詰めた一本の道。

 

 エトはそれを踏む。

 

 まるで地面のように。音もなく、空を渡る。

 

 見張りの背後へ。

 

 ――一瞬。

 

 喉元に糸が絡み、体が沈む。

 

 声も出させず、そのまま拘束。

 

 音は、何も残らない。


エトは周りを見渡す。

 

(……コウモリが、一匹もいない?)

 

 エトの眉がわずかに動く。

 

 本来なら、この古城には必ずいるはずの監視。

 

 それが――いない。

 

(妙だな……)

 

 だが、時間はない。

 

 エトは糸を軽く弾く。

 

 ――『来い』

 

 振動の合図。

 

(……来た)

 

 リクが息を呑む。

「ダンさん!い、いくぞ……!」

 

 ダンさんが小さく言う。

「なぁリク……この糸細すぎないか!?」

 

 サスケの糸は、人一人が渡るにはあまりに細い。

 「エトさんじゃなきゃ渡れないよ」

「だから……俺等は」


 リクは糸を太い枝をかける。

 

「えっ……リク何してんの?」

ダンさんは胸ポケットの中でカタカタ震える。


「滑って降りるから、掴まってて」

「えっ!!」


 リクは勢いをつけて滑車のように滑り降りる。

 

「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」

 ダンさんの情けない声が夜に溶ける。

 

「落ちる落ちる落ちる!!」

 

「落ちない!!多分!!」

 

 リクも叫ぶ。

 

 

 ――シュッ!!

 

 

 無事、着地。

 

 二人とも、若干腰が引けている。

 

 

 その様子を、少しだけ離れた場所でエトが見ていた。

 

(……緊張感がないな)

 

「こっちだ」

 低く呼ぶ。

 

 

 そのとき――

 

 白い影が、ふわりと舞い降りた。

 

 アベルは迷いなく、古城の裏手へと導く。

 

 足元。

 

 地面に埋め込まれた鉄柵。

 

「……ここか」

 

 

 エトが膝をつき、覗き込む。

 

 

 だが――

 

 暗い。

 

 深い。

 

 中は、ほとんど見えない。

 

 

(……中に見張りがいたら厄介だな)

 

 

 エトはサスケの糸を、静かに垂らす。

 

 

 ゆっくり。

 

 ゆっくりと。

 

 

 闇の中へ。

 

 

 数秒。

 

 

 ――ぴくり。

 

 

 糸に、わずかな反応。

 

 

(……掴んだ?)

 

 

 エトの目が鋭くなる。

 

 

(ダニエルさんか……?)

 

 

 エトは、糸を通して指をトントンとモールス信号を送る。

 

『救出に来ました。見張りなし。こちらは?』

 

 

 一瞬の間。


 そして――

トントンと糸を通して振動が返ってくる。


『二人共に無事。見張りなし』

 

 

 エトの口元が、ふっと緩む。

「……ダニエルさんっ!」

 

 

 抑えきれず、小さく声が漏れる。

 

 

 すると――

 

 

 闇の底から、声が返る。

 

「エト! ありがとな!」

 

 

 その一言で。

 

 張り詰めていた空気が、わずかにほどけた。

 



続く


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ