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【お陰様で3.5万pv】ハズレスキルで"最弱"霊獣ダンゴムシを引いた俺、実は"最強"霊獣だった件〜戦争を止めろ!王都の次は世界を救え  作者: タルトタタン
第四章 ダニエル救出編

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13 チェス盤の静かな戦い

 王城の一室。

 高い窓から柔らかな昼の光が差し込み、静かな空気が部屋を満たしている。


向かい合う二人の男。

盤上に黒と白の駒が整然と並ぶ。


「マルコ殿下、始めましょうか」


ヤコブの落ち着いた誘いに、マルコは薄く笑い、椅子に腰を下ろした。


駒が進む。

カチリ――と静かな音が広間に響いた。


しばらく駒を動かしたあと、マルコがぽつりと切り出す。

「そういえば、農業村リリン襲撃の報告書を読んだぞ。首謀者のユダはその場で拘束……今も拘束中、だったな?」


マルコは肩を竦め、駒を押し出した。

「素早い判断だな、ヤコブ……」


カチ、と駒を置いてヤコブが微笑む。


「いえ、事実は違います。霊獣使いリク=サクラを刺した危険な人物でしたので尋問し、本部で再度尋問しました」


マルコの手がピクリと止まり、持っていた駒をそっと置く。

「……そうかぁ。何か吐いたのか?」


「えぇ。フードをかぶった男に指示されたと」


ヤコブは淡々と駒を進めながら続ける。

「常に顔を隠し、偉そうに指示し、決行の日は目隠しされ、男達に何日も運ばれ、農業村リリンに運ばれ……」


 「『ただ言われた通り動いただけ』、その一点張りでした」

マルコは黙って駒を指で弾く。


「……何も知らないと……」

「……拷問したのか?」


「拷問の内容は伏せましょう。高貴な方が聞く事ではありませんから……」


ヤコブは顎に手を当て、クスッと笑った。


「ただ、ユダは何回もその男についてにこう語りました」

「なんだ?」


「態度だけでかく、常に慎重で小心者だった……とね」



マルコの表情が、一瞬だけ揺らぐ。


ヤコブは、その細微な変化を見逃さなかった。


「……そうか」

マルコは話題をずらすように新たな駒を進めた。


「そういえば、霊獣使いの一人が行方不明らしいな……霊獣[犬神]使いだったか……」


ヤコブの手が止まりかける。

「えぇ……」


「お前の部下らしいな。心配ではないか?」

「えぇ……心配ですよ。私が指示した案件でしたので……」


「……無事だといいな」

カチリ、とマルコが駒を滑らせる。


「えぇ……」

ヤコブも静かに駒を置く。


しばらく沈黙。


窓から差し込む光が、盤上を白く照らしている。


ヤコブがふっと笑みを消し、低く呟いた。

「まったく……ユダに指示をだしたその小心者の顔が見たいですよ……」


 「私も普段怒る事はありませんが……仲間が傷つけられるのは耐えれませんから」


駒を、強く叩くように置いた。

「そうだな……早く捕まえてこい」


ヤコブも駒を動かす。

「えぇ……証拠を突きつけ、拘束し……」


ヤコブの唇がゆっくりと持ち上がる。

「ユダと同じように尋問して見せますよ」


マルコの手が一瞬止まる。


その瞬間――


「──チェックメイトです」


ヤコブの声は冷え切っていた。

その瞳は氷の刃のようにマルコを真っ直ぐ射抜く。


「……ふっ」


マルコは両手を上げ、わざとらしく負けを認めてみせた。


「さすがヤコブだな……チェスでは勝てない……だが、次は負けない」


にやり、と挑発気味に笑う。


ヤコブは柔らかな表情に戻り、深く会釈した。

「ふふ、マルコ殿下もなかなかの腕前ですね……またお願いします」


しかし、その内心では――


(やはり挑発に乗りましたね……)

(黒幕はマルコ殿下。間違いない)

(後は証拠だ……)



───

 マルコ私室。

静かな部屋に、夕暮れの光が差し込み始めていた。

 マルコは独り、窓の外を眺めながら呟く。


「……やはりヤコブは危険だな……」


その微笑みは、静かに歪んでいた。



続く

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