7
外を眺める。
相変わらず日曜の朝の喧騒を破り車が慌ただしく通り過ぎていく。
いったい何が起きてるんだろう?
この子は何かを知っているかも。けれどこんな状態の子に聞くわけにもいかないしな。
テロか何か? それとも戦争?
そんな現実離れしたアホな妄想が頭によぎるほどに今の状況は何とも異質だ。
まるで夢のよう。
しばらく待っていると交番の前の道を通る車も減ってきた。
何が起きたのかわかんないけど事態が収束しつつあんのかな。
おっとそろそろバイトに向かわないとやばい時間だ。
「あのさ、俺、バイトに行かなきゃなんねーんだ。一人で待ってられる?」
「あの」
「何?」
「バイトってどこへ行くんですか?」
「駅前のパン屋。知らない? シマウマハウスっていうんだけど」
答えると女の子が空洞のような力のない目で床を見つめながらつぶやいた。
「きっと……もう無い」
「え? 何?」
訊き直すと外からガタンと音がして、音につられて見てみると、パトカーが交番の敷地内へ入ってきて無造作に駐車した。
そして停まるやいなや運転席のドアが開いて血相を変えたお巡りさんが降りてくる。
「何をしてる?」
交番に入ってきたお巡りさんが険しい顔を俺に向けるがすぐに女の子に気がついておびえた表情に変わった。