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無残だった。
美しかった緑の山々は汚く山肌を露出し、崩れた土砂が並んでいた車や人たちを飲み込み、あるいは大きく裂けたアスファルトへと流し落としていた。
そして田中さんがいたトンネルはもうぺちゃんこ。
恐ろしさに涙も出ない。
「小野寺さん、宇崎さん、あれ」
ふらつきながら立つと三上がよろよろと町の方へ歩き出す。
俺もそして宇崎さんも無言で立ち上がり、やっぱりよろよろと進んで三上の横に並んだ。
十メートルほど先から向こうが無かった。
こんなことがあるのか?
現実味の無い現実。
ゆっくりと近付いていくと、俺たちの町は巨大なすり鉢状にべっこりと凹んでいた。
俺たちはその縁にいた。
はるか遠く、すり鉢の最深部、中心に向かって家々やビル、ショッピングモール、車、田んぼ、電柱、川、つまり町自体が瓦礫だらけのメチャクチャな状態で落ち窪んでいたんだ。
「この世の終わりってこんな感じじゃね?」
誰かが言って笑い出した。
変わり果てた街のいたる所から煙が立って、土煙や塵が舞っていた。
あそこにはきっとまだたくさんの人がいたはずだ。
俺もさっきまであそこにいたんだ。目にするリアルな情報に体が震え出す。
三上が手をつないできた。
三上の震えが伝わった。恥ずかしかったけど、恐怖に耐え切れずその手を握り返した。
そして一人でも多くの人と繋がりたくて宇崎さんの手を握る。
宇崎さんの手も震えていて、でも力強く握り返してくれた。
足に振動を感じた。
また地震が来る、と身構えたけど振動は立っていられるほどの軽いものだった。
けれど収まる様子が無い。
長々と継続して砕けたアスファルトの破片が地面でカチカチと音を立てていた。
その時だ。
すり鉢の中心部の瓦礫が轟音と砂塵と共に高く宙に舞った。
戦争映画でミサイルを打ち込まれたような映像で、おそらく数十キロは離れていると思われるのにここまで衝撃が伝わってきた。




