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ゴゴゴゴゴと地面の奥底から不気味な音が湧いてあまりの揺れに立っていられなくなった俺は三上と一緒に地面にへたり込む。
景色の全てがブルブルと縦に震えて、そこらじゅうから悲鳴が聞こえて、けれどその悲鳴もますます大きくなる轟音にかき消された。
震える視界にアスファルトが裂けていくのが見える。そして車が地面にのまれていく。
山の斜面が木々とともに崩れ始め、たったの数十秒で世界が変わっていく。
振動の中を必死に這ってきた宇崎さんが横に並んで俺のシャツをつかみ三上と一緒に前へと移動しようとする。
何か変だと思いながらも転がるようにして移動しながら後ろを見た時、トンネルの入り口が潰れていた。
中にいるはずの田中さんの顔を思い出して恐怖でいっぱいになった。
震動はなかなか止まず、俺は宇崎さんと三上とくっついて団子虫のように丸まりながら地面に横たわっていた。
体に力を入れていないと地面に跳ね飛ばされるような恐ろしい揺れも徐々に収まってきた。
まだ揺れの余韻がじんじんと残る中、宇崎さんと目が合ってお互いの無事を確認すると安堵の息を吐く。
「余震が来なきゃいいけど」
揺れている間、全身に力を入れていたからか体がぐったりと重たい。
それでも地震が止むにつれて耳に聞こえる悲鳴や叫び声に辺りを確認せずにはいられなかった。