硫黄島決戦 中 上
米軍は、一向に進まない戦線に業を煮やし、
遂に、大部隊を一列に並べ、しらみつぶしに地下壕を破壊し、
戦車で蹂躙し、火炎放射器で焼き尽くす、
という壮絶な「ローラー作戦」を実施に移した。
しかし、圧倒的な戦力差にもかかわらず、
日本軍の頑強な反撃に遭い、
一時間に一〇メートル程しか進めなかった。
アメリカ軍の指揮官達はしきりに
「敵の本拠地まであとたった数キロメートルだ、頑張れ!」と
兵たちを励ましたが、その数キロメートルが遠かった。
だが、進撃速度こそ遅いものの
アメリカ軍は着実にその占領範囲を増やしていった。
第二混成旅団は敵に甚大な被害を与え続けていたが、
火力・兵力その他全てにおいて圧倒的に凌駕しているアメリカ軍を
防ぎきるのは不可能で、徐々に後退を余儀なくされ、
屏風山・玉名山・二段岩等の重要拠点は次々と陥落した。
当然、やすやすと陥落をゆるした訳ではない。
特に、玉名山の戦闘は、日本軍が五度奪い返し、
アメリカ軍が六度奪い返す、という激烈なものだった。
だが、先述の通り、戦力の差はどうしようもなかった。
むしろ数倍以上のアメリカ軍に対して、
その戦闘能力を半分に削ぐほど熾烈な抵抗を続けた
日本軍を評価すべきであろう。
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