6-3・闇の声
「ぬぅぅっ!!」
ダークファントムが障壁を発して、僕が振り下ろした剣を防御する。
僕が剣から発した魔力電気は止められたけど、刃はダークファントムの掌に食い込む!
「障壁で防げるのは魔法の類いだけ!物理攻撃は防げない!」
物理攻撃の場合、ダークファントムは障壁防御ではなく回避をする。だけど、僕の剣が魔力を纏っていたのを察知して、僕が剣から魔法を飛ばすと誤判断したのだ。
真田さんやツィホーさんが魔力を飛ばしてくれるおかげだね。僕はそんな高等技なんて使えないのにさ。
「このまま押し込む!」
障壁に弾かれた魔力電流が、僕に逆流をする。だけど、僕が発する程度の魔力電流なんて、根性で耐えてやる。ダークファントムの掌を切断する余力くらいはある。
「貴方はもう詰んでいる!」
ダークファントムがこのまま魔力障壁を発し続ければ、ヤツの掌を真っ二つにできる。ダークファントムが回避に転じる為に魔力障壁を解除すれば、その瞬間に電流で動きを封じて、藤原くんの次の行動に託すことができる。
〈僕ノ邪魔ヲシナイデヨ〉
ダークファントムとは別の声が聞こえた。
「え?だれ??」
ダークファントムの掌に、魔力障壁とは違う闇が集まって、僕の剣を押し戻す!ダークファントムの掌を斬ることができない!
「まだ抵抗する?でも負けるもんかっ!」
直感が「離れろ」と催促する。だけど、ここで離れたら、せっかく追い詰めたダークファントムに逃げられてしまう。武藤さんの合成毒、陽ちゃんの機転、真田さんと藤原くんの苦闘、全部を無駄にしてしまう。
「くっ!」
逆流する魔力電気とは別のプレッシャーが僕を硬直させる。ダークファントムの漆黒のローブが闇化をして、僕に纏わりついてきた。
「これ・・・なんなの?」
〈寂シイナァ。僕ガ誰ナノカ解ラナイノ?〉
「わかんないっ!誰っ!?」
闇に包まれていく。
「これは・・・ダークファントムの底力?」
意識が朦朧として力が抜ける。
「もしかして、僕、死ぬの?」
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僕は真っ暗闇の中にいた。矛盾した表現なんだけど、なんにも見えない真っ暗な中で、沢山の真っ黒な人が僕を見ている。そのうちの一つ、妙に懐かしい雰囲気の真っ黒な人が、僕に近付いてきて手を差し出す。
「無理ヲスルノハヤメナ。君ハ コッチノ人ナンダカラサ」
「君は誰?僕を知ってる人?」
脳が考えるのをやめようとしているみたいだ。今の状況が怖いのかどうかすら解らない。
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「シッカリして、尊人くんっ!」
「尊人っ!後は任せろ!」
「えっ!?」
真田さんと藤原くんの怒鳴り声で我に返った。
「富醒!ルーラー!!・・・武装解除して手を上げろ!!」
僕はルーラーの干渉力に捕らわれ、剣を手放して降伏のバンザイをする。
漆黒のローブが剥がれたダークファントムもバンザイをしている。
〈部外者ガ余計ナコトヲ〉
僕とダークファントムが離れたので、剣を通じて僕に伝って来た闇が途切れた。
「やぁっ!」
次の瞬間、真田さんが放った魔法の火球がダークファントムに炸裂!直撃を受けたダークファントムが仰向けに倒れた!
ルーラーが解除され、僕は脱力をして床に両膝を付く。
「・・・闇が」
視線を上げて、僕とダークファントムから離れた闇を見詰める。闇は、空中に溶け込むようにして散っていった。
「尊人、大丈夫か?」
「・・・うん」
「尊人くんが、黒い霧に連れていかれるような気がして、焦っちゃった」
藤原くんと真田さんが気遣ってくれる。
僕も闇に飲まれて消えちゃうような気がした。冷静に考えると怖いんだけど、その時は怖くなくて、上手に表現できないんだけど、俯瞰で僕を見て「まぁいいや」って思ってる感じだった。
藤原くんがルーラーで僕とダークファントムを強制的に離していなかったら、ちょっとヤバかったかも。
「真田さん、藤原くん・・・助けてくれてありがとう」
「こっちこそ、オマエに助けられた」
「あの黒い霧、なんだったの?すっごいイヤな感じだった」
「僕にもわかんない。でも、多分・・・」
倒れているダークファントムからは、対戦中に感じた不気味さを感じない。
「倒れてる人より、さっきの闇の方がヤバい奴かもしれない。
ただの勘・・・なんだけどさ」
勝ったのか、逃げられたのか、それとも見逃してもらえたのか、よく解らない。
「解んねーことは、コイツを拷問して吐かせりゃいいだろ」
寄ってきた武藤さんが、メッチャ物騒なことを言う。
「拷問する気?もう少し穏便にいこうよ」
「口と鼻に私特性の超激辛香辛料を突っ込む拷問くらいならいいだろ」
「いつの間にそんなもんを合成したの?」
陽ちゃんが失神中のダークファントムを後ろ手に縛って拘束する。
「そう言えばツィホーさんってどうなっちゃったんだろう?」
状況を把握したいので、ダークファントムが意識を取り戻すまで待つことにした。拷問をする気は無いけどね。
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