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深夜の蹂躙


 剣や棍棒を持った三人組の屈強な男達は、深夜の平原でとある少年を追いかけ回していた。


「コイツ強ぇぞ! 本当にレベル0なのか!?」

「ステータス開示したのをお前も見ただろう!? 」

「じゃあコイツのこの強さは一体なんだってんだよ!!」

「知らねぇよ!!」


 男達はケツを狙ったホモではないしバイでもない。

 彼らはギルドに登録したばかりの少年がクソ雑魚と知るやいなや、その身を攫って奴隷商人に売ろうと画作しており、少年がギルドに受け入れられない低レベル低ステータスで、失意の内に町からトボトボ出て行く少年の後を付けて凶行に打って出たのだ。

 男達のレベルは平均5Lv。

 これは中々高く中堅に位置するレベルだ。並大抵の輩にはちょっとやそっとじゃ押しも押されぬ強さを誇る。


「クソッ! 移動速度を上げるスキル使ってんのに全然距離が詰めらんねぇ!」


 ――――が、読みが甘かった。

 少年は確かにレベルは0、ステータスもゴミカスだった。だがステータスがゴミカスだったのは、ステータスを読み取る水晶が少年の真の力を読み取れなかったバグが起きたからである。

 なんと少年は、バック走しながら凄まじい速度で平原を逃げ回っていた。

 それも諸手を挙げて逃げるだけではない。両手で体に見合わない大きな銃を抱え持ち、銃口を男達に向けて砲弾をポンポン撃って


いるのだ。曲芸師も真っ青な芸当である。


(この世界はレベル制なんだ……クッッッッッッッッッッッッッソツマンネー)


 少年はよくある異世界転移という奴に巻き込まれてこの世界にやってきた口だ。

 普通の異世界転移と違うのは、現実世界で遊んでいたゲームのキャラクターになりきっていることだろうか。

 しかも少年が遊んでいたのは《レベル制》のMMOではなく、《スキル制》のMMOという点も異端か。これがステータスを読み取る水晶にバグが起きた原因となっている。

 少年は中国や韓国発の有り触れたレベル制のネットゲームをやり尽くし、最早レベル制のゲームは食傷気味なのである。


 さて、レベル制ではなくスキル制のゲームというのは珍しいだろう。

 スキル制について軽く説明をするとこうだ。


《例1》

 プレイヤーが敵に殴られる。

 殴られた側のHPや防御力のスキル値が上昇し、ガードに成功すればガードのスキルが上昇する。


《例2》

 敵を素手で殴る。

 殴った側の筋力やHPや持久力などのスキル値が上昇し、素手のスキル値も上昇する。


《例3》

 回復魔法を使う。

 使用者のHPやMPや魔力のスキル値が上昇し、回復魔法のスキル値も上昇する。


 御覧のように、レベル上昇に伴って力・魔力・スキルのようなステータスが上昇するのではない。敵と戦うことによってステータスが上昇していくのだ。

 よって最後にトドメを刺して経験値を横取りだとか、パーティを組んでいるメンバーに経験値分配するパワーレベリングなどは行


われないのもスキル制ゲームの特徴だろうか。


「……終わり?」

「ま、待て、話せば分かる! 悪かった、出来心だったんだ!」


 三人組の男性はあっという間に壊滅させられ、気づけば剣を放り投げてへーこら命乞いをする男一人になっていた。

 少年はたった一人で三人の男達を蹴散らしたのだ。そう、バック走しながら銃をバンバカ撃ちまくって。

 少年が転生する以前は《HP》《防御》《力》の基礎的なステータスに加え、《銃》《補助魔法》のスキルも上げており、一人で最強効率の金策をこなせるスキル構成をしていた。

 その内金策だけではなく、レイドボス以外のボス戦も一人でこなせるようなスキル構成になっていったので、御覧の通りたった一人で中堅クラスの男達をねじ伏せることができたのである。

 彼のように物理一本や魔法一本に絞るのではなく、様々なスキルを覚えてオリジナルのキャラクターを作り出せるのが魅力の一つだ。


「許してくれ……! 見逃してくれ! 頼む!」

「……じゃあ僕も、出来心ってことで、バイバイ」

「ま、待て! 金か! 金ならやる! 裏にコネもある! だから頼む! たの――――」


 ズドォン!


 男の命乞いも虚しく、心臓よりも重い銃弾は脳天に向かって放たれた。

 かくして男は血と脳漿をばらまいて死んでいった。

 少年は人を殺すのに抵抗はない。何せこの世界はファンタジーゲームの要素が含まれた現実世界なのだから、蘇生魔法があるだろうと踏んでいるからだ。


(まぁ……どうせこの世界は切った張ったの世界なんだろう。だったら別に罪に問われないだろうしいいか)


 ドライな思考を持った少年は銃をバックにしまうと、自分のステータスでも受け入れてもらえる町を目指して歩き出した。深夜の平原を、眠たそうに目を擦りながら。



「凄い……」



 それを遠巻きに見ていた女性に気づかずに、少年はただ歩く――――。



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