悔しさとゲン担ぎ勝負メシ
今日は、大きなレースがあった。
三歳牡馬クラシック――生涯で一度しか出ることの出来ない舞台。
競馬好きの一人として、今日のレースを楽しみにしており、朝からどこか落ち着きはなかった。
応援している馬がいた。去年の八月から見続けてきた一頭だ。
距離が長い、右回りが合わないだの、様々な不安の声を何度も目にしてきた。それでも私は、そのすべてを否定するように、ただ応援し続けていた。
レースが始まる。
その馬は、最初から最後まで一番手の馬に食らいついていた。二番手でひたすらに追いかけ、絶対に勝つという思いを胸に走り続けた。
結果は二着。
レースが始まった時は、まだ普通に大声で応援が出来ていた。
だが、レースの序盤からすでに声は掠れ始め、泣いていた。それでも、応援する声だけは止めなかった。その馬と騎手に特別のレースで勝ってほしかったから。
馬券は当たったが、私の胸はぼっかりと穴が空いていた。悔しいという気持ちで、終わってからまた泣いた。
レース後、ジョッキーカメラの映像を見た。騎手の目線で映し出される、数分間。
その中で、二つほど印象に残ったシーンがある。
一つ目は騎手がその馬をあだ名で呼んでおり、コメント欄ではとある料理名を食べようとみんなが言っていたこと。
二つ目は騎手がレース後に放った一言。
その料理名とは、ニンジンシリシリ。馬が好きなニンジンと、その馬が呼ばれていたあだ名をくっ付けた料理がちょうどあり、私も作って食べた。
その馬が走る前日に、私は必ずその料理を作って食べるゲン担ぎ勝負メシと心の中で決めた。
二つ目の騎手がレース後に放った言葉は「あー、クソッ」のたった一言。
けれど、その一言に、すべてが詰まっていた。
私たちファンも勝つ姿を見たかった、それは騎手も同じであり、その思いは誰よりも強かったと私は思う。
その思いが、画面越しから伝わり、私はまた泣いていた。
そうして動画投稿サイトにファンが挙げた動画に行き着いた。
ファンたちが労った言葉を掛けていく中、一際目立った言葉。
「ダービーで待ってるぞ!!」
見にきていたおじさんが放った言葉。それを聞いたとき、私はまた泣いてしまいました。
彼らが次の舞台へ立つとき、私は相も変わらず、彼らのことを応援している。今日見せてくれた素晴らしい走り、心から感謝したい。




