使者との遭遇
スリンザ湖がある国についてから二日が経ち、天明の語学力を頼りにある程度の情報が入手出来ていた。
空港を占拠していた過激派組織は軍により制圧されたが空港の被害も大きく当面は使い物にならなく、海路についてもまた過激派組織の残党が逃亡しないようにと閉鎖されている状況であった。組織の拠点があった都市については現在も厳戒態勢がとられているようで外国人が好き勝手に出歩けないようであったが、幸いにも湖に隣接する都市には拠点が見つかっていないとのことであった。
ホテルの一室に集まった三人は迫る約束の日についての最終確認を行っていた。
「外から侵入出来ないというのはラッキーでしたね。観光客がどんどんと入ってきたらそれこそ目も当てられない。」
「しかしこの辺含めいくつかの都市は我々が出歩いていても目立たない程度には外国人がいそうですね。」
「でもさぁ、そもそも神様の使いって人間のかっこうしてるのかな?」
「と言うのは?」
「鳥の形とかしてたらどうにも出来ないよね?」
「細小路氏いわく、恐らくは人間と同様の形をしているはずだとのことです。過去の事例からその時々の最も反映していた種族の形を取っていたようです。」
「じゃあやっぱり後はどこから湖に例の箱を投げ込むかってことですかね。」
「そうですね、、、これもまた推測になってしまいますが被害をより早く、大きくするためにも少しでも火口の真ん中に投げ込みたいはずです。この状況下で船の運航が停止されているのはこちらとしては好都合でしたね。」
大きな湖であり周囲にいくつかの都市が点在している。それぞれの都市から観光のための遊覧船や都市間を移動するための連絡船が発着しており全てを監視することなど三人ではとても無理であったであろう。今回の一連の騒動が霊界によって引き起こされたのであればこの点については逆効果であったと言える。
「もう、覚悟を決めて山を張るしかないですかね、、、」
「現時点集めれる情報からですと、残念ながらそうするしかないですね。」
「みんなバラバラで待機する?」
天明はしばらく何かを考えこんでいるようであった。
「いえ、みんなで同じ所で待機しましょう。」
「では、どこで?」
「隣の町にあるこの大桟橋です。」
観光客向けに整備された大桟橋は絶好の撮影スポットということで日々多くの人間でごった返しているのだが、日付が変わった直後のその時間には照明も消され静寂に包まれていた。三人は息を殺し橋に近づく者がいないかを警戒していた。
張りつめていたものも二時間も経つと緩んでいき、紫音は大きなあくびを繰り返していた。そんな状態でも天明は注意を怠らず、ついにその時は訪れた。
「来ました。向こう側から二つの影が近づいて来ています。」
「ビンゴですかね?」
「それは分かりませんが、行きましょう。」
天明と聡介が飛び出し、紫音がその後に続く。二つの影が橋の入り口に到着する前にその様子が次第に見えて来た、、、一人の人間と白い大きな狼。狼は聡介が知っているそれとは足の本数が異なり、しかも羽根の様な物が生えている。そして人間の首には赤く光る箱が掛けられている。やはりビンゴだ!




