滅びのシナリオ
驚く三人をよそに細小路貞行は続ける。
「神の使いが世界各地で起こった厄災のエネルギーをその箱にずっとかき集めてきている、約束の日のために長い年月を掛けてね。
それを湖、、、火口に投げ入れることによって大噴火が発生し噴き上げられた灰や硫黄が空を覆うことになり、全世界から光が失われる。」
「溶岩とかが全世界に降り注ぐわけじゃないんだ。常に暗くなっちゃうくらいなら滅亡することは無いんじゃない?」
「いえ、光がなくなれば植物が光合成により酸素を創り出すことが出来なくなります。雨は酸性雨となり植物だけではなく、生物の命も奪っていくでしょう。最も恐れるべきは大地が凍る、氷河期が急速に訪れるというシナリオでしょうね。」
事の重大性を理解できていなかった紫音のあまい観測を天明がピシャリと否定した。
「いろいろと準備を整えていれば全ての種族がとまではいきませんが生き残れた可能性はあるかもしれませんが、あと十日でどうにかなるレベルではないでしょう。」
「箱が投げ込まれた時点でアウトってことですね、、、」
「よし、スリンザ湖のある国に連絡して箱を持った使いを止めてもらおう!」
「だから誰が信じるんだよそんなこと。そもそも今過激派対応でそれどころじゃないだろ?」
「、、、、、、」
情報は入手出来たが結局その場に行けないことにはどうすることも出来ない、それが分かっただけであった。残された時間を悔いなく過ごすしかないとみな諦めかけていたが再びの細小路からの発言により希望の光が差した。
「もしもまだ運命に抗おうと思っているのであれば一週間後の同じ時間にまたここに集まりなさい。私がスリンザ湖の近くまで送ってあげよう。」
「、、、何故あなたがそこまで、、、神の決定を無事に遂行させる立場にあるはずのあなたが。」
細小路貞行は視線をそっと聡介の方に向けた。
「何もしてやることが出来なかった孫に、一つくらい祖父らしいことをやらせてくれてもいいんじゃないかな?」
「あ、その、、、、、ありがとうございます。」
「まだ運命が変えられると決まった訳ではないし、危険が伴う可能性も十分ある。それでも行くかい?」
「はい、もちろんです!」
「私も同行させて頂きます。」
「私も!!」
即答する聡介に天明と紫音も続く。紫音が残るようにと説得する天明であったが最終的には天明が折れ、かなえにはこのことを伝えないことを条件に三人でスリンザ湖に発つこととなった。
「それでは一週間後この場所で!」




