意外な提案
「紫音、二人をそっと見守ってあげてね。」
「お姉ちゃん、、、、、分かってるわ。」
絞り出された姉妹のそのやり取りをトリガーに御堂巌が立ち上がる。
「それでは始めるよ。」
「、、、、はい、お願いします。」
「あのぉ〜、すいません!」
突然聡介が手を挙げる。眠りに落ちた幼き兄妹以外の視線が聡介に集まる。
「どうしたんだい、聡介君」
「、、、、かなえさんの代わりに俺の命を使ってもらうことって可能ですか?」
「はぁ?何言ってんのよ、あんたには関係ないでしょ?」
「ここまで来て全く関係ないとも言えないし、、、」
「そんなこと出来ません!私たち家族のためにあなたの霊魂を使うだなんて!」
「例えば、俺とかなえさんの霊魂半分ずつ使うとか、、、」
「残念ながらそんな細かいコントロールまでは出来ないんだよ。それに複数の霊魂が混在してしまうのも拒絶反応の元になるしね。」
「そうですか。」
「絶対に駄目です。良子に顔向け出来ません!」
「そこなんですよね。前にも言ったかも知れませんが残念ながら子を想う親の気持ちってのは理解出来ないんですよ。
ただ、、、両親が側にいない子供の気持ちっていうのは痛いほど分かっちゃうんですよね、俺。」
「だからって、、、」
「もとより母からもらった命ですけど、誰かを救うために使うのであればきっと喜んでくれますよ。」
診療所に沈黙が訪れた。その沈黙を破るかの様に予期せぬ人物がゲートをくぐりその場に姿を現した。
「まさか、ゲートを通る条件が実体を伴っていることと霊界の道具を持っていないとうことだとは、、、我々が調査しようとしても出来ない訳ですね。」
死神日野天命の登場でその場が瞬時に凍り付く。
「ど、どういうこと?まさかあんた奴にゲートのこと話したの!!」
紫音が聡介を睨め付けるが一番驚いているのが当の本人であることが一目瞭然であったため、再びその視線を死神へと戻す。
「何故?俺は全然違う場所を伝えたはずなのに、、、」
「ふっ、あなたが自分の命可愛さに他人を売るような人間じゃないことなんて分かりきってますよ。この間お会いした時にしっかりと盗聴器を埋め込ませて頂きました。
あ、体に悪影響がある物ではないのでご安心ください。」
「くそっ!」
この状況は非常にまずいが先ほど彼が言っていた様に霊界の道具は持って来れていないはず、以前紫音が使っていた術みたいなのを上手く避けられればなんとか、、、、
そんなことを考えている聡介をよそに日野は飄々と続ける。
「ここで私から一つ提案があります。皆さんにとってきっと良い条件だと思いますよ?」




