運命を変える時
大分時間をおいて三人が戻って来た。まさかこの段階まで来て実は無理そうだとか言い出さないだろうなと心配していたがそうはならなかったようだ。
「うん、二人とも問題はなさそうだからみんなの心の準備が整ったら始めようか。
あんまり時間も残されていないようだし。」
「ママ、僕たちこれからどうなるの?」
二人には詳細伝えていないのだろう、いきなり現れた扉の中に連れてこられ混乱するのもしょうがない。
「大丈夫、その人があなたたちの病気を治してくれるのよ。」
「そうなの!また外で遊べる様になるの!」
かなえは何も言わずに首を縦に振ってその問いかけに答えた。
「それじゃあ、心太君と心音君そこのベッドに横になって。」
そう言われ二人は紫音とかなえに支えられベッドへと移った。御堂巌がそっと目の辺りに手を掲げると二人は静かに眠りに落ちていった。
「御堂さん、無理を言って申し訳ないのですがもう一つお願い事をして良いでしょうか?」
二人が眠りについたことを確認したかなえが申し出る。
「なんだい?」
「ここでの出来事なんですが、、、二人の記憶から消す事は出来ませんでしょうか?」
「出来なくもないけど、どちらにしろ他人の霊魂が入ることによって対象が子供の場合はその前後の記憶が曖昧になるケースが多いみたいだけど。」
その話を聞きながら自分が御堂巌のことを覚えていなかったのもそういったことが原因だったんだなと一人納得してしまう聡介であった。
「それでも、、、
それでも二人には私の命を使って生き延びたと言うことを悟られたくないんです。そんな重荷を背負って生きて欲しくないんです。」
「分かった、君の言う通りにしよう。けどそれは霊魂を移した後になるよ。」
「はい、お願いします。」
「それじゃあ、死神の君は心太君の隣にかなえ君は心音君の隣のベッドに横になって。」
紫音とかなえはその指示に従いそれぞれのベッドへと横たわった。いよいよその時が訪れるのだと思ったその時だった。
「今まで人間よりも長い時間を生きてきて、わがままを言って好きな人と一緒になって、大切な宝物を授かって、今その命を救うことが出来る。
十分過ぎる人生を送って来れたはずなのに、、、もっとこの子たちの成長を近くで見守りたいと願ってしまう。
今になって初めて気づいた、私ってなんて欲深い人間なんだろう、、、、」
静まり返った診療所にかなえのすすり泣く声だけが響き渡った。




