二人が向かう先
左後頭部の辺りに寝癖が出来ている、いつも通りに焼いたつもりなのにパンが焦げている、、、朝のルーティーンでそんなことが起きた時は何かしらの面倒が起こってしまうと言ったジンクスをいくつか自覚している。
その日はそのジンクスのうち3つがまとめて起きたものだから今日は最悪な一日になるだろうなと聡介は覚悟を決めていたのだが、想像していた以上に早くその最悪は訪れた。
仕事に向かおうと家の玄関を開けると目の前に先日一緒に亡き者にされかけた死神が立っていたのだった。
ほら、やっぱりね、、、、
「何しに来たんだよ、俺はもうお前に関わらないと決めたんだ。死にたくないし。」
「そう言わないで、あんただけが頼りなんだから。」
「あのなぁ、あの日野って死神に釘刺されただろ?ヤバいって、何する訳じゃなくても俺らが二人揃ってる時点で。」
「大丈夫!あの人は今出払っていていないから。来るときも細心の注意を払ってきたから。」
「いや、そうじゃなくてさ、、、、」
「お願い!とりあえず今から一緒に行って欲しい所があるの、そこでまず話だけ聞いて!」
「今から?俺これから仕事行かなくちゃいけないんだけど。」
「そこを何とか!時間がないの、有休たくさん余ってるでしょ?サラリーマン働き過ぎだよ。」
衰え知らずの理不尽。
そのままふざけるなと無視してしまっても良かったのだが、先日からの紫音の必死さから何か重要な案件を彼女が抱えていることは明らかであり、渋々今日一日だけ付き合ってみることにした。
紫音の後につき電車を乗り継いで移動する間に会社へ休む旨の連絡を入れる。急に熱が出てしまったので休みますと言った聡介に対して本気で心配してくれる鈴木の優しさが身に染みる。
「今どこに向かっているんだ?」
「、、、、お姉ちゃんの所。」
「へぇ、そうなんだ。」
全く予想していなかった回答になんとも間抜けな相槌を打ってしまった。
「ん?お姉ちゃんはこっちにいるのか?」
「その辺も着いたら説明するわ、今はまずあの人に見つからないように辿り着くことが先決なの。」
「行先の住所とか教えてくれれば現地集合の方が安全だったんじゃないか?」
「あんただけだと霊界の監視システムとかに引っかかっちゃうかもしれないでしょ!」
移動中の紫音が周囲の様子をしきりに気にしているようだったのはそのせいか、と思う反面ちゃんとした監視システムがあるんだったら死神補佐の様な仕事はしなくても良いのでは?と思ってしまう聡介であった。
そんな隠密行動をしばらく続けていた紫音がごくごく普通の一軒家の前までくると、まるでそこが我が家であるかのように躊躇いもなく中に入って行く。
「何してんの、あんたも入って。」
「あ、はい。」
家の玄関をくぐり綺麗に整頓された玄関で靴を脱ごうとしていると一人の女性が近づいて来た。そっくりな顔立ちからして紫音の姉であることは間違いがないようだが、紫音とは大分年齢が離れているように見受けられる。
「如月さんですね?紫音の姉です。申し訳ありません、あの子が無理を言ってしまったようで。」
「いえ、何かお困りごとがあるようでお力になれるかはわかりませんがお話だけでもと思いまして。」
「そうなんです、、、、まぁ、こんな所では何ですのでどうぞこちらへ。」
そう言って中へと案内された。
紫音と同じ顔でまともな対応を受けると違和感を感じてしまう。
同じ環境で育っただろうに、、、、何が奴をあんな風にしてしまったのだか、、、




