秘密の庭
ここはどこだろう?
ついさっきまでいた場所と全く違う景色に彰人は戸惑うばかりであった。
聡が投げたボールは待ち構える彰人のいる方向とは全く違った方に飛んで行った、それを追いかけて茂みに入った所までは覚えているのだが、、、
急に目の前が真っ暗になったと思った次の瞬間、今まで見たことのない空の色をしたこの場所に立っていた。
「聡く~ん、近くにいるの~?」
大きな声で呼んでみても何の反応もない、涙目になりながらとりあえず視界に入る水槽の様な?装置に近づいて行く。近くに誰もいないであろう現状、元居た場所に戻れる方法を自分一人で探さなければならない。
装置に近づいた彰人は息を飲んだ、装置は想像していた以上に大きく二つの水槽の中にそれぞれに馬が一頭ずつ浮いているようであった。
この馬たちは、、、生きているのか?
周りを見回してみると同様の装置がこの地には点在していることが分かり、その中の一つの装置に向かって走り出す。
次の装置の水槽にはライオンがそれぞれ一頭、、、どうやらオスとメスが入れられているようだ。
これらは一体何なのだろう?水槽に手を触れようとした時に急に声を掛けられた。
「おやおや、人の子が迷い込んだみたいだね、空間のひずみにでも落っこちたか?」
彰人は驚き振り返ったがそこには誰の姿もなかった。
「え?誰?」
「下だよ、下。」
そう言われ振り返った先から視線を下ろすとそこには猫?のような生物がこちらを見上げており、彰人は思わず至極単純な疑問を投げかけてしまう。
「猫?がしゃべった?」
「猫と一緒にするな!儂はこの秘密の庭の番を任されている精霊だ。全く失礼な奴だ!」
「、、、、ごめんなさい。」
「まぁ、良い。人の子が儂の存在を知っている訳がないからな。
ついて来い、しょうがないから元の世界との境界まで連れて行ってやる。」
精霊はそう言って向きを変え歩き出したため、慌てて彰人もそれについて行くことにした。
無言の行進がひたすらと続く。何個目かの装置の横を通り過ぎた時に耐えられず質問してみた。
「あの装置は一体何なんなの?色々な動物が入れられているみたいですけど。」
「お前なんかが知らなくて良いことだよ。」
「、、、、そうだよね。」
「、、、、、、、」
「、、、、、、、ひょっとして人間もいたりする?」
「あぁ、もう少し原始的な状態だけどな。」
「どういうこと?」
「それも知らなくて良いことだよ。」
「、、、、そうだよね?」
その時点でこれまでの信じ難い光景たちは夢であると認定していた彰人は深追いをしなかった。
そしてその後また暫く無言のまま歩き続けると空の色がくっきりと変わっている場所へと辿り着いた。
「さぁ着いたよ、目を瞑って空の色が変わっている方向にお進み。」
「大丈夫、、、なんだよね?」
「恐らくな。」
「、、、、、」
「ここで見たことは誰にも言っちゃいけないよ。」
「言っても誰も信じてくれないよ。」
「確かにな。」
「それじゃあ、ありがとう。」
「もう二度と来るなよ。」
目を瞑り思い切って言われた方向に飛び込んだ彰人は次の瞬間、遠くで自分を呼ぶ聡の声が聞いたのだった。




