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169. T の目撃

明けましておめでとうございます_(._.)_

投稿再開致します。宜しくお願い致します☆

「グェ……ゲホッ、オゥェ……」


ノリアスのもとへ走り出した俺を、竜王の奴が襟首を掴んで引き止める。


「説明願おう。」


さっきより怒りは落ち着いているようだが、『話すまで離さない』と言うオーラはひしひしと感じる。


「魔王と言ったな? 生まれたとは聞いていたが、まさかオナゴだったとは……」


「は? オナゴ? あぁ、可愛い顔してるけどノリアスは男の子だよ!」


そう言うと、ヒュッという音と共に竜王が目の前から消え、ブワッと風と共に目の前に現れた。手には何故かノリアスとイチカちゃん。


「うわっ! お、下ろして! 女の子をなんて持ち方するの!! イチカちゃん、ノリアス、大丈夫??」


手を貸してイチカちゃんとノリアスを立たせる。とノリアスはイチカちゃんを守るように一歩前へでる。と、イチカちゃんが大丈夫だよ。と優しく頭を撫でる。おぉ、なんかほんとの親子みたいだ……


「こやつが魔王か? それともこやつか?」


竜王がノリアスとイチカちゃんを順に指して言う。と、イチカちゃんが、竜王の手を持ち、


「ちょっと! 魔王って失礼な!! ノリアス君は良い子です! 私も魔王なんかじゃありません!! あと、指を指さない!!」


イチカちゃん、竜王相手に強気だなぁ……まぁ、『魔王』って言葉のイメージ悪いもんね……。なんとなく悪口っぽいし……って、そうか! ノリアスの事話してない奴等もいたっけ……あれ? でも、誰と誰が知らないっけ……??


「? 失礼もなにも、こやつの称号に『魔王』とあるが?」


「え……ショウゴウ?」


「お主にもある……が、はて?? これは何て読むのじゃ?」


「ショウゴウって称号か……私のは何て読むのか判りません!! それを知るために南に向けて旅をしてるくらいですから!! そんなことより、称号だけで魔王とか酷いでしょ!」


「何を言っておる……? この世界では、称号は己の証。竜王とあれば我が竜王、神とあれば、その冴えない男でも神なのじゃ。ならば、この小僧に魔王とあらば間違いなく、魔物を統べる王、魔王じゃろうて……」


イチカちゃんが驚いたように俺を見る。ノリアスの魔王だけじゃなく、俺の神もイチカにちゃんには言ってなかった……ッてか、冴えない男ってなにげに酷くない? 竜王さん……そして、イチカちゃんの視線が痛い……。


「ノリアス君は知ってたの?」


「……うん。でも、僕は魔王なんかなりたくないんだ……」


ちらっと見れば、しゃがみこんでノリアスの目線に合わせ、優しく話を聞くイチカちゃん。ノリアスの手を握りウンウンと頷いている。


「失礼……」


足下から声が……声の主は先程のスライム。プルプルと震えながらノリアスの近くに移動する。と、ノリアスの表情が抜け落ちたように無表情になった。……ちょっと怖いほどの変貌っぷりだな……


「……なに?」


感情が伴わない声。ノリアスの手を握るイチカちゃんは、何故か興味深そうにスライムを見つめている。案外好奇心旺盛のようだ……確かに変わった形のスライムだから気持ちは分からんでも無いが……


「ノリアス様、先程、神にも話しましたが、我々はあなた様の意思に従うつもりでおります。この地の者との共存があなた様の意思ならば我々は人族や獣人を襲うことはありませぬ。ですので、どうか、我らの道を示す王となって頂きたい!」


ノリアスはちょっと考える素振りをし、イチカちゃんに意見を求めた。


「スライム君が言うとおりなら、悪い話じゃないと思うけど……ホントに悪いことしない?」


スライムに話しかける。と、スライムがプルプルしながら


「『悪いこと』を教えて頂ければしなくなるかと。『悪いこと』がなんなのかが我々には判りかねます……奥方様。」


…………オクガタサマ?


「フンッ、やはりそうか……この女、魔王と同じ匂いがする……オマエ、何者だ? 称号も読めないなど、魔王より厄介な……」


「同じ匂いは、同じ宿に泊まって同じ石鹸使ってるからでしょ! それを言うならそこにいるタイラさんだって、マリアちゃんやフィル達も同じ匂いよ!」


いや、匂いってそういうのと違う気が……と、ここでフィルやドラド達が俺達のいる瓦礫の山を登って来た。そして、イチカちゃんを竜王から庇うように立ち、俺に向かって話をする。


「タイラ様、話が済んだのでしたら早めに移動してください。本土に帰ります! 人造の魔王を止めないと……」


「あ、そうだった……でも……」


ノリアスの足下でプルプルと震えるスライムを見る。と、その視線を受けてノリアスが、


「イチカ、このスライムが言ってたこと僕がやったら嬉しい?」


「そうだね、もしノリアス君が魔王で、魔物達を良い方に導けるのなら、そうしてくれた方が嬉しいかな。」


イチカちゃんが言うと、分かったといい、ノリアスがよく分からない言葉で話始めた。そして、イチカちゃんに近づくと手を伸ばして抱っこをねだる。


俺とフィルは嫌な予感がして止めようとするが、ドラドは何が起こってるのかは分からないが、抱っこくらい良いだろうとフィルを止め、竜王が黙って見てろと俺の襟を掴む。


抱き上げられたノリアスは嬉しそうにイチカの首に手を回し、そのままチュッっと唇にキスをした。


「「なぁーーーーー!!」」


ドラドとフィルが顎が外れたかと思う程口をあけ、叫びながら引きはなそうと手を伸ばした時、パァっとノリアスが光輝き、一瞬目を背ける。


と、目の前には艶やかな黒髪を尻まで伸ばし、切れ長の目を愛おしそうに細めてイチカ見つめながらお姫様抱っこする青年がいた。


「ほぉ、この女の穢れを吸って成長したか? 魔王よ……」


「イチカの穢れは僕が付けた傷では無いからね。番とするならちゃんと僕が付けた傷で穢れを纏って貰わないと……」


訳知り顔で竜王がノリアスに話しかける。いや、話が見えないんですけど? 穢れとかってなに??


「……もしやと思ったが、お主、交じっておるのか?? 純粋な魔族では無いな……」


え? そうなの?? って、そうか!


「……うん、交じったと言うより、生まれ変わったと言った方が正確かもしれないね。一応、女の腹を通って産まれ落ちたから……」


そうだった……ノリアスは他の魔物や魔人と違ってそれで魔力と知識を得たんだった……


「魔王を産むとは……(ぬし)の母は余程の魔力の持ち主か……」


「そうだね。最強の白魔導師と呼ばれていたそうだよ。」


『最強の白魔導師……?』ドラドが小さな声で呟き、ノリアスの顔をマジマジ見るとアッと小さく声をあげた。



読んで頂き、ありがとうございました。

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