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105. K 、再始動

哀愁漂う幼馴染みの背中を見送った後、もう一度地元に戻り勤め先に顔を出す。


妹が倒れたと言う理由で、3日間の有給を貰っていたが、もしかしたら足りないかも知れない。と、言うことで、有給の延長を申し込みに来たのだが、許可がおりない。


権利だと主張して、強硬に休んでも良いのだが、俺が抜けたら仕事が滞るのは明白。何故なら、俺の先輩にあたるSEでは捌けない量の仕事が来ているから。


狙っていた受付嬢が、俺の方がタイプだと言ったという、八つ当たり的な思考で、散々嫌がらせやら、手柄の横取りをしてきた結果、そこそこ仕事が出来ると認識されたらしい。(もちろん、自分の分も手を抜かずにこなしていたので、評価は奴より上)


仕事を受ける→俺に丸投げして出来上がった成果を奪って行く→評価は変わらず。だったのだが、俺が休んだ途端、仕事が遅い、ミスが多いと攻められっぱなしらしい。会社としてもこれ以上仕事が滞るのは困ると踏んだのか、どうしても休ませて貰えないなら、自宅勤務で! と提案したところアッサリ通った。


帰り際に先輩が何やら騒いでいたが、


「無能と罵っていた俺が出来たんですから、賢い先輩なら余裕ですよ! 最近、車を購入したそうで……ボーナス下がらないと良いですね。 では!!」


顔を真っ赤にした先輩をその場に残し、必要最低限の物を持ち帰るために机を整理する。


先程から視線を感じる。女子社員だろうか……いつもの事ながら鬱陶しい……庶務の子に大きめの紙袋を融通して貰い、しばらく自宅でのやり取りになりますと関係者に声を掛ける。


あのぉ~……と甘えたように話しかけてくる女子社員を交わしながら、出口までたどり着くと、急いでイチカの病院に戻り、親にしばらく勤務先が変わると言って新幹線に乗り込む。時間は午後4時30分。ハルさんの会社に着くのは6時頃か……。


車内でホテルを予約し、仮眠を取る。


◇◇◇◇


スマホのアラームで目を覚まし、新幹線を降りると、予約したホテルに荷物を置き、ハルさんの会社に向かう。


話は通っているらしく、受付の子がそのまま会議室まで通してくれた。朝、出掛けたときのままだ。


「仕事が片付き次第、顔を出すので先に始めてて下さい。分からないことは内線6番、ハチヤって言う、岡本の後輩が居るのでソコにかけて聞いて下さい。話は通してあります。……と社長から。あと、プロデューサーから、今日はちょっと会議が入ってるので、合流は遅くなりまーす!! とのことです。」


「……ハイ。ありがとうございます。」


物真似だろうか……伝言を声色を変えて伝えられた。正直、2人とも言う程話していないので、似ているかどうかの判断が難しい……凄い似てますねと言うべきか、そのままスルーするべきか……


戸惑っていることを感じ取ったのか、受付嬢は咳払いをすると、内線の使い方を説明して、失礼しました。と出て行った。


途中、コンビニで買った栄養剤を飲んでからゲームをスタートさせる。中断セーブを解除すれば、森の中からのスタート。一瞬、これから何をすべきか考える。そうだ、『雨色の小瓶』をとりに行かねば……


思いだし、攻略本を片手に物語を進める。が、数歩進んだところで、突然、ネズミ? がテロップの上にちょこんと覆い被さるように顔を出した。


なんだこれ? と攻略本の索引を探し、引っ掛かりそうなワードを探す。


テロップにはバリー&ダンと表示され、このネズミが話しているかのようにつらつらと文字が表示された。


「眷属達が、奴隷商のアジトじゃないか? と言ってきた洞窟がこの近くにある。眷属の目を借りて見たが、どうやら子供達だけが集められているようだ。見張りは私が見たときは居なかった。ってことで、確認よろしく!!」


バリーで索引したところ、眼鏡をかけたインテリ系のイケメンキャラクターが出てきた。攻略対象者の一人。子族・カピクール家の養子で、印持ち。スキルを生かし、北の国では情報管理と天創人の選別の役職を担っているらしい。


だいぶ姿が違うが……? それに&ダンとはなんだ?? ダンについての記述は無いぞ??


と、本を動かした拍子に、触るつもりの無いコントローラーのボタンに触れてしまった。


「こやつが案内する。」


テロップの文字の後、可愛らしいリスが画面中央にちょこんと鎮座していた。


もう一度ボタンを押せば、readyの文字とレースのシグナルのようなカウントダウンが始まり、ポーンとスタートを知らせる音と共文字が左に流れる。Go! と一瞬表記が出た後、リスが走り出した。追えということか? と、急いでコントローラーを手にし、地面を走ったり、木に上ったり、木の枝を飛び移ったりする小さなリスを必死で追いかける。


これは、あれか? ミニゲームってやつか?? 3Dを駆使した追いかけっこは悪くないと思うが、慣れないと酔うな……


Goalと言う文字が出て、追いかけっこの画面が切り替わり、煽るような音楽から、何故か戦闘音に切り替わった。


リスの代わりに現れたのは、グリズリー。


なんで? Goalって出たよね?? 子供達が集められてる洞窟に向かってたんじゃないの?? リスのやつ、行き先間違えてない?? 頭の中でハテナが乱舞する。


と、どうやら攻略本には無いイベントだったようで、結局、『雨色の小瓶』は原料から作る事になったらしい。


報告案件だな。と子供達を馬車に乗せた設定でシープスの街に戻る。錬金術師の天創人3世が街に居るらしく、瓶も薬もその人が精製してくれた。


宿に戻り一泊。ベッドの横に立つと通信の有無を聞かれる、と聞いていたが、今回は普通に休みますか? のコマンドだった。


画面が暗転から明るくなると、宿の部屋に使いが来た。ディアンが回復し、会いたがっているので屋敷に来てほしいとのこと。もちろん向かう。


攻略対象者の1人、ディアン・ヘブ・シープス。見た目は白?銀?の髪色で長髪の優男。にこやかに百合の花を持ったキャラクターが描かれている。


神力を練り込んだ糸を受け継ぎ、戦場では、一歩も動かず敵、味方を糸で操って闘う。その際の動きが、オーケストラの指揮をしているように見えるため、『戦場の指揮者(コンダクター)』と呼ばれている。とある。


「戦場の指揮者ねぇ……」


フンッと鼻で笑いながら、彼の部屋の扉を開けた。

読んで頂き、ありがとうございました。

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