102. T とノーム
「と、止まれ!! これ以上は森を迂回するか、許可証の提示を!」
ホントだ! 黒い棒だと思ってたのは人だった! 全身、それこそ顔まで黒く塗った、身長が140、50位の、男性にしては小柄な人。槍も身長に合わせてかそんなに長くない。
「許可証とはなんだ? ここはノースキー王国、子族が統治するカピクール領内。首領の許可があれば良いのか? それとも国王の許可が必要か??」
黒塗りの顔で、目だけが白くギラギラとこちらを見る。
「……我々の国の許可証だ。」
「国? ノースキーの国が発行した許可証?」
「違う!! 我等は地底人。再建した地底国が発行した許可証がなければこの先には進めん。この先にある入り口を迂回してもらえれば、これ以上あなた方の進行を妨げるつもりはない。」
ノーム? 地底人?? ゲーム内ではさらっと過去の話として出てきたけど、また国を再建したの?? おー、凄いじゃん!!
等と感動してる場合ではなかった。何故かリベルとフィルが臨戦態勢です。
「国王とカピクール様には了承を得た上での建国だろうな?」
「我等の領土は地底。地上の者達の許可がなぜ必要か? 出入り口とて、こんな魔物の出る森の奥にわざわざ繋げたのだ。それくらい目を瞑っても良かろう!! そもそも、貴様にその様な事を言われる筋では無いわ!!」
そうか。と呟くと、珍しくフィルが言俐の準備をし飛ばした。どうやらフィルの親父殿に宛てたらしい。が、ノームは?を頭に浮かべ、ポカンと文字が作った鳥を見送った。
「我はノースキー王国、宰相、グリン・ド・ウリーボ公爵の三男、フィルソン。亥の人獣の印持ちとして、この北の地を守る任についている。この国内、ひいては帝国の地下とはいえ、許可もなく国を名乗る集団がいれば、その内情を知るのも仕事の内。」
あー、厳しい顔をしていてのはそういう事ね。うーん、正直、お国同士のイザコザとか全く興味が無いわ。でも、地底国は見てみたい! とワクワクしていたら、顔に出ていたのか、
「タイラ様、自重して下さい。」
フィルに、厳しめに窘められました。 シュンと小さくなっていると、ゴゴゴゴ……と地響きがする。見張りが立っていた場所から大分離れたところの岩肌が、自動ドアのようにゆっくりと開いていく。場所違うじゃねーか! っと思ったが、わざわざ隠し扉の前に立つバカは居ないか……と思い直した。
「ホッホッホッ……イヤイヤ。これはこれは。亥の印持ちの方とな? ウンウン。いや、なに、……………なんだったか? うん、まぁ、ここではなんですから中へどうぞ。」
「長老!!」
開いた扉から出てきたのは、髪も髭も真っ白、顔も手も色白で、黒いローブを纏ったお爺さん。門番が呼んだように長老なのだろう。
長老は、門番の2人が止めるのも聞かず、ホッホッホッと笑いながら奥へ奥へと進む。なんだ……諸国漫遊しながら、悪代官達を懲らしめる副将軍のドラマを思い出す。ばぁちゃんが良く見てたっけ……。
迷路のような道を、年寄りとは思えない程のスピードですたすたと進む長老の後を付いていけば、突然大きな空洞に出た。地上の曇り空程の明かりがあり、俺のイメージとは全く違う地底国がそこにあった。
「ここが地底国? 凄いねー! 思ってたより広ーい! おじいちゃん、入れてくれてありがとう!!」
ノリアスが目を輝かせ、キョロキョロしながら長老にお礼を言う。長老は一瞬驚いた顔をしたが、 いやいや、ホッホッホッと満更でも無さそうだった。
「して、なんだったか……。あんた達は……」
長老、大丈夫か? と心配していると、長老の脇に2人の青年? が立つ。
「じい様、お食事がまだですよ。あちらで食べてしまって下さい。」
1人が長老の手を引いて出ていってしまう。どうするのかと見れば、もう一人の青年がため息混じりに頭を下げた。
「……長老が失礼致しました。年を召して少々記憶が混濁するようでして……この度は、遠いところよくお越しくださいました。亥の印の保持者、フィルソン様、リベル様。……それと従者? の方々も。私、この地底国の外交を担当致しております、アンジャと申します。」
「外交? ここは国として国交を結んでいる国があるのか?」
「……いえ、正確に言えば、まだ国としては機能しておりません。が、他国と交易はしております。……少しお時間を頂いても?」
フィルとリベルが頷くと、アンジャは大戦後の地底国の歴史を話始めた。大戦後、散り散りになったノームを集め、集団で暮らせる地底空洞を探しだし、ここに皆で住み始めた。と、最近になって、王族の子孫の母子を見つけ、その人たちを柱に王国を再建しよう! と周りが騒いでいる。ザックリ言うとこんな感じ。ノリアスは途中で飽きて寝てる始末。
ただ、その2人が柱になる為の条件が、このノームの神殿に、封印され、奉られている、戌族の若者。英雄ハスキスとの婚姻。それとハスキスが王になること。
ん? ハスキスの都合は丸っと無視する感じ??
「我々は、代々伝わる魔法、氷の柩を解いて彼に掛けられた魔法を調べました。調べた結果、失われた魔法のリプタイムという魔法と、リストアという現状回帰の魔法でした。」
うん。正解! それをマリアが解いて、対象者としてピックアップ出来るようになるからね。ん? でも、ここってまだカピクール領内だぞ? ハスキスは戌の領内でのイベントだったはず……なんでだ??
「その魔法の解除方を探してる途中で、英雄ハスキスの肉体が盗賊に持ち去られてしまいました。なので、国王も女王もおりません。ですので、まだ国を名乗るには時期尚早。一部の者は先走って地底国復活!! 等と騒いでおりますが、現状はそんな感じです。」
ハスキスが戌の領内に移動したのはそれでか!! あっさり謎は解決したものの、寝たきりの英雄を持ち去る盗賊って……使い道なんてあるのか??
「……わかった。こちらも感情的になって済まない。先程父に送った文を後で訂正しよう。」
「ありがとうございます!! ところで……」
なにやらアンジャはフィルとリベルに向かい、政治の話をし始めたのでソッとその場から離脱。 無駄にデカイソファーの端にいき、これからの物語の内容を思い出していた。
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