表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢商人  作者: 庚至(かのえいたる)
夢商人と夢を見ない少女-2-
PR
10/18

序章

やー、久しぶりの投稿ですねぇ。最近資格試験の勉強やら応募用の小説の執筆やらで忙しくて合間合間に書いていたせいですっかり遅くなってしまいましな。続編を楽しみにしてくれていた人(はまあ、いないと思いますけど)申しわけありませんでした!

 目が覚めるとそこは、知らない場所だった。

(どこだ、ここ……)

 少年は口には出さず、心の中でそう呟くと軽く身を起こす。目にかかる、無造作に伸ばされた赤茶けた髪をかき揚げ、辺りを見渡す。

「――!?」

 すると、辺りから突然、鼻を刺す嫌な臭い。否、突然と言う訳ではない。この場所は最初からこの嫌な臭いはしているのが常だ。ただ、今の今まで寝ぼけてその悪臭に気付かなかっただけだ。

 少しずつ意識がはっきりとしていき、少年はここがどこかを思い出した。

(ああ、いつものあの糞垂れたた場所か)

 自分がいつも寝起きする、スラム街の一角だった。

「――ッ!」

 ガバッと勢いよく体を起こす。そして、緊張気味に首を動かし周りを見る。ここは、自分のような年端のいかない子供には危険すぎる。ここに住む大人に見つかれば、比喩表現でなく、物理的に、食い物にされてしまう。

「……」

 そして、辺りに誰も居ないことを確認して、ふう、と溜め息を吐く。

 

「ねえキミ、こんなところで何してるの?」

 

 唐突だった。見計らったかのように、誰もいないと安心したまさにその直後、間近で声をかけられた。

「――なッ!?」

 少年は、そのあまりの唐突さに驚き、身を硬直させる。恐る恐ると言った風に、体ごと声のした方へと顔を向ける。

 そこには、こんな場所には縁もなさそうな小奇麗な格好をした少女がいた。

「?」

 少女は、あどけない笑みを浮かべ、可愛らしく小首をかしげる。歳は自分と同じくらいだろうかか、腰まで伸びる黒く艶やかな長い髪は絹のように綺麗で、少したれ気味な目は敵意や悪意と言った物が欠片も感じられない。少女は、生地の薄い、水色のワンピースを着ており、こんな場所には余りにも似つかわしくない、それどころか危なっかし過ぎる服装だろう。

「……ん、なっ」

 目の前にいる、こんな薄汚れた場所とは余りにもミスマッチすぎる少女に、少年は再度驚愕の声を漏らす。

「? どうしたの? お腹でも痛いの?」

 そんな少年の内心も知らず、彼女は心配そうに顔を覗く。

「いや、そういうのじゃない……けど」

「そっか、それはよかったねっ!」

 少年の答えに少女は、先程とは一変し、嬉しそうに破顔する。少年は、そんな少女が浮かべるその優しい、暖かな笑顔に見惚れていた。

「それより、お前は誰で、何でこんな所に居るの? もしかして、このへんに入って来た新入りの人間?」

 今しがた少女の向日葵のように暖かな笑顔に見惚れていたが、ハッと我に帰ると、質問を投げかける。

「私? 私は、この都市に、学校の修学旅行できたの。だから、このへんに住んではいないよ?」

 話しかけられたのが嬉しいのか、少女は屈託のない笑みを浮かべ、嬉しそうにそう答える。

「しゅう……?」

 言葉の意味が分からず、少年は不思議そうに首を傾げる。

 少女は、そんな少年の反応に首を傾げる。

「……? あっ。修学旅行っていうのはね、学校で、上級生が〝学問〟を修めた〝証〟としていく旅行なんだよ?」

 少年がなぜ不思議そうにしているのかに気付くと、少女はそう補足する。

「……ふーん」

「ふーんって、興味なさそう?」

 少女は、少年のその反応に傷ついたのか眉をハの字に寄せる。

「そんなことより、アンタは誰なのさ? 学生さんなら何でこんなとこにいんのさ?」

 邪険にするように少年はもう一度問いかける。

「? 私はねえ――――」

 

 

 

 

 

 ××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××

 

 

 

「おい、起きろ。そろそろ着くぞ」

 その言葉と共に強めに肩を揺さぶられ、司は目を覚ます。

「ん……ゅ?」

 まだ寝ぼけているのだろう司は、口をまごつかせながら目をこする。ハッキリとしない意識で、何故自分が座ったままの体勢で、不規則な振動に揺られながらに眠っていたのかを思い出す。

 今、自分はキョースケの知人である御剣の運転の下、都市『降峰』を出て、旅をしていたのだ。その最中、車に――正確には、幌の付いたトラックである――揺られ、いつの間にやら微睡の中へと誘われていたようだ。

 左隣を見ると、自分を起こした男が、大きなハンドルを握りながらこちらを一瞥する。

「ふわぁ……御剣さん、おはよ、う?」

 御剣と呼ばれた男は前を向いたまま、その言葉に軽く頷く。

「おはよう、司。何故疑問形なのかはまあ聞かないが、そろそろ国に着く、城壁が見えるだろう?」

 言われて前を見ると、地平線の上に、灰色をした長方形の突起物が見える。

「…………ああ、ホントだ」

 目を凝らして良く見ると、その突起物が城壁であることが分かった。それは、近づくにつれてだんだんと大きさを増していった。

「それで、お前の隣りで寝ている『夢商人』を起こしてくれ」

 御剣の言葉に司は右を見る。確かに、『夢商人』ハルが自分の肩に頭を乗せて、すやすやと寝息を立て気持ち良さそうに眠っている。

「あ、うん。分ったよ」

 司は頷くと左手で数回、ポンポンと軽く頭を叩く。

「おーい、ハルー。起きろー」

 しかし、どうも眠りが深いようで、ハルは一向に起きようとしない。司は、一向に起きない少女にムキになり、叩いていた手で今度はハルの頬を抓まんて引っ張る。

「起―きーろー。ハルぅ――」

 餅というよりは、マシュマロに近い感触のハルの頬を、むにむにびよーん、と無遠慮に抓っては引っ張ってを繰り返す。

 むにむに、びよーんびよーん、むにむにむにむに、びよーんびよーん、むにびよーんむにびよーん……。

「いひゃひゃひゃひゃ。ひはい(痛い)、ひはひふぇす(痛いです)。ふぁんふぁんふぇすひゃーっ(なんなんですかーっ)?」

 突然、頬に走る痛みにハルは目を覚まし、悲鳴を上げる。

「ふはひゃひゃん(司さん)、ひはいれす(痛いです)、ひゃへへふはひゃい(やめてください)!」

 ハルの訴えを理解したのか、それとも起きたのでもういいと思ったのか、司はハルの顔から手を放す。

「もぉ、何なんですかー?」

 少し赤くなっている頬をさすりながら眉をハの字にして文句を言う。それに対して司は、ンと、自分の左隣を指さす。

「そろそろ国に着くんだって。それで、起きろって」

「え、もうですか? 都市『降峰』を出てまだ一日も経っていませんよっ?」

「んー。まあ、降峰には半日あれば着く距離に三つ、国があるからね」

「……そんな近距離に、国が三つも!」

「そ、戦争なんか起きたらひとたまりもないよね。まあ結構平和なモンで、学校の修学旅行なんかはその三国の内どれかに行く事ができて、たのしいものだけどね」

 驚愕するハルと対照的で、司は当然と言いたげに答える。

「私としてもその方がありがたい。長時間の運転なんざ、ただ神経をすり減らすだけだからな」

 御剣も、司同様落ち着いた様子だった。むしろ、現状に感謝すらしている。

 他国から近いという理由でハルが驚いているのはある意味当然だ。国や都市同士の距離は、基本的に車などで飛ばして行っても二日以上かかる。

 何故、そんなにも距離があるのかは、まあ色々と理由はあるのだが、一番大きなものとして、互いに干渉したがらないからである。

 先の大戦で過去に存在した国の大半が崩壊し、文明が退化した傷跡、とでも言うのか、建て直された国々は、規模は小さく、かつ大きな城壁で覆われている。

 それに比べ、降峰という都市は港を設け、半日もあれば行ける距離には他国が存在する。これほど型破りな都市はそうそう存在しないだろう。否、都市だからこそ、存在しうるのだろう。

「あれ、キョースケと響は? あの二人は荷台でまだ寝てるの?」

 ふと思い出して、司は御剣に訊ねる。あの二人は起こさなくてもいいのかと。

「気になるなら、自分で後ろを見れば良い」

 御剣は素っ気なく答える。

「……」

 余りに無関心な答えにムッとした。しかし、文句を言っても仕方がない為、司は後部の窓ガラスから二人がいる荷台を見てみる。

「うあー……。やばい、これはやばい。凄く……暑い」

「幌ってなんのためにあるんだっけ……」

 キョースケと響がそれぞれ仰向けと俯せになりながらずっと同じ言葉を繰り返していた。

「……」

 司は、何も言わずに座席に座り直す。窓越しのため、二人が何を言っているかはまったく聞こえないのだが、彼らが流し続けている汗の量を見ていると『今のは忘れよう』と思えてしまった。

「まあ、大人しくていいんじゃないかな。一応、起きてもいるし……大丈夫だよね」

 力強く頷く司。アレは大丈夫と呼べるのだろうか。

 

 

 しばらくすると、視界いっぱいに大きな城壁がそびえ立つ。

 そのまま城門の前でトラックを停めると、エンジンを切り、御剣はトラックから降りる。

 少しして、大きな門の隣にある小さな関所から、門番がやって来て、御剣に話しかける。

「今日は! 旅人さんですか?」

「ああ、人数は五人。三日ほどこの国に滞在したい。構わないか?」

「旅人さんの条件次第ですが、可能です。それでは皆さん、関所へ入ってください」

 門番に促され、司たちもトラックから降りて、関所へと向かう。

 その後、軽く国内の法律などを口頭で説明され、武器等の所持、有している武器の種類について訊ねられる。最後に、入国する際に必要な手続きとして、御剣が代表して手渡された書類にサインをする。

「それでは、内側のモノに連絡をして門を開けさせますので、外に出て待っていてください!」

 五人は、言われた通り外に出る。数分経つと、地鳴りのような低く大きな音と共に、大きな城門がゆっくりと開いて行く。

 城門が開き切ると、先程の門番がやってきて、入国者たちに歓迎の言葉をかける。

「ようこそ、我らが『フェアトラオエン』へ!」


 六月二日に電気工事士の筆記試験、その後すぐに体育大会や部活の大会があったり中間試験があったり、悪い意味でリア充ですよホントもう!

 だれか代わってくれぇー!


 ……まあ、冗談はさておき。今回は司の話の続きです。何故旅をするようになったかは、一章でわかる事になると思います。

 それではまた次回(いつになるかの予定は未定)をお楽しみに!






ご感想・ご意見を切にお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ