The seventh day【C】
「貴方のお名前は?僕はエイトです」
「ホーリィ・トワイライト」
「そうですか」と、言うとエイトはホーリィに向かって刃のような風を投げ飛ばした。
その風の力はかなりのもので、地面はえぐられるように傷つけられた。
向かってくる風をホーリィは蝶のように飛んでかわすと業火をエイトへ向けて放った
「!!」
エイトがいた場所はほぼ炎の海と染まった。
「・・・もう終わりですか・・・」
つまらないという表情でホーリィは炎を見つめる。
炎の中からエイトが出てくる気配などない。
人影が見えることもない。
(死んだか・・・)
と、ホーリィが気を抜いたときだった。
「死んだと思った?死んでないよ?」
背後から声がしたと思い、ホーリィが振り向いたら
エイトはホーリィの背後にスッと舞い降りて吹き飛ばした。
(何?!)
ホーリィが気が付いたときにはもう地面がすぐそこに見えていた。
(この子供・・・魔法が使えないようだが、一体・・・)
「さぁ、ここからが本番です。僕を楽しませてください。」
そういったとたん、エイトの周りで小さい光がぽつぽつと現れだす。
そしてかすかな風が地下から吹いてくるようにエイトに不思議な力がこみ上げてくる。
(何なんだ・・・この子供は。ただの子供じゃない・・・)
「ディ オーディア スィテュン ヤ ワイル ウス バイレァ」
この世界で古代から現代まで使われている言葉とはまったく違う、聞いたことのないような言葉をエイトは発した。
すると二人のいる場所が氷のフィールドに変わるように、建物に氷が張り付いていく。
「これは・・・何故?魔力などまったく感じられないのに・・・エイト、貴方は何故魔法が使えるのです?」
「・・・【昌霊術】魔力を持つ昌霊と契約をして魔力をかりる術さ」
すると、エイトの後ろから氷の昌霊が姿を現す。
水色の肌に蒼い瞳。
冷たい存在。
『アンタ、エイトが普通の子供じゃないと分かっていたみたいだね。特別に教えてやるよ。
この子はね、この星の人間じゃないんだよ。消滅した惑星の唯一の生き残り。つまり、宇宙人なんだよ」』
(宇宙人?!この子供が・・・?どう見たって普通の子供・・・)
「やだなぁ・・・スノウ。別に言わなくたっていいではないですか。」
『いいだろ別に。最終的にばれるんだし』
スノウとエイトの水色と白い腕が絡まりあい、エイトの中にスノウが溶け込む。
「僕に力を貸して、スノウ」
『ほどほどにな』
エイトが完全にスノウを取り込むと、エイトの髪がだんだんと水色に変化していく。
そしてスノウとエイトは合体する
【融合】
辺りに霧が広がって行く。
冷たい冷気を感じながらホーリィはその中で二人を見た。
「・・・なッ・・・!?」
「さぁ、ゲームはこれからです」
冷たい目をしたエイトの腕は氷の刃へ変わっていた。
「行きますよ・・・氷牙真空波斬ッ!!」
エイトが氷の刃と化した腕をホーリィに向かって振り下ろす。
ホーリィはエイトの目にも留まらぬ速さに付いていけず、胸から腹にかけて血を噴出した。
「!!!」
「どうしました?腰が引けてますよ?」
痛みなどわからない
どうして切れているのだろうか?
―どうして?―
「あぁ・・・そうか・・・」
「・・・ホーリィさん?」
エイトがホーリィの様子がおかしいのに気が付いて動きを止めた。
どうやら正気に戻ったようだが、何かがおかしい。
「これは・・・」
―そう・・・あの時の・・・あの日の・・・―
『ホーリィ!こっちよ』
『ほら、いつまでもグズッてないで』
『見てみて!今回は上手く出来たんだ!ホーリィのおかげよ』
巡る 巡る 駆け巡る
記憶の中を走っていく
亀裂が走る トランプが散らばる
炎が燃える みんなが消えてゆく
『このノートを持って逃げて・・・』
誰だったかな
あの日僕にこのノートを預けた彼女は
名前が思い出せない
―――噛み切る―――