第65話 「お見舞いメッセージを送ったら会話が続いて眠れない」
足首の捻挫は軽かった。
医師にも、数日安静にすれば大丈夫と言われた。
しかしアキラの問題は足首ではなかった。
夜、ミレイからメッセージが来た。
足は痛まない? 今日は早めに休んでね。
アキラはスマホを見つめる。
(心配されている。白鳥先輩に。これは回復効果が高い)
返信する。
大丈夫です。湿布を貼って安静にしています。心配してくれてありがとうございます。
数分後。
よかった。でも本当に無理はしないでね。
アキラは胸が温かくなる。
はい。白鳥先輩に心配をかけないようにします。
送信後、アキラは気づく。
(これは重いか? いや、でも本音だ)
すぐ返信が来る。
心配はするわ。黒瀬くんが怪我をしたら、心配するのは当然でしょう?
アキラはベッドの上で固まった。
当然。
ミレイにとって、自分を心配することが当然。
その言葉が強すぎた。
アキラは返信を打とうとして、何度も消す。
嬉しいです。
これは素直すぎる。
心配されると回復速度が上がります。
いつも通りだが逃げている。
白鳥先輩が心配してくれると、少し安心します。
かなり危険。
結局、アキラは最後の文を送った。
白鳥先輩が心配してくれると、少し安心します。
送ってから布団に潜る。
(やってしまった。これは距離感が近い。近すぎる)
返信はすぐ来た。
そう言ってもらえると、私も安心したわ。
アキラは眠れなくなった。
足首は痛くない。
しかし心臓が忙しい。
翌朝、トオルに言われる。
「お前、寝不足?」
アキラは頷く。
「回復イベントの副作用で眠れなかった」
「会長とメッセージしてたな」
「なぜわかる」
「顔がずっと告白前夜なんだよ」
◆オチ
姉のマドカが朝食中に言う。
「アキラ、寝不足? 夜更かし?」
アキラは真顔で答える。
「保健室イベントの延長戦」
マドカは手を叩く。
「よし、青春してるね」
アキラは青ざめる。
「青春判定が出た……」




