第49話 「テスト勉強会で会長に教わることになる」
中間テストが近づいていた。
アキラは理系科目と現代文は得意だった。
しかし、英語が苦手だった。
特に長文読解。
(なぜ文章なのに日本語ではないんだ)
トオルは言う。
「当たり前だろ、英語だから」
「言語設定を日本語に変更したい」
「人生に設定画面はない」
放課後、生徒会室でアキラが英語の参考書を開いていると、ミレイが気づく。
「黒瀬くん、英語の勉強?」
「はい。ラスボスです」
「英語が?」
「はい。長文読解という名前の迷宮です」
ミレイは微笑む。
「よかったら、教えましょうか」
アキラは固まる。
(生徒会長による個別指導イベント!?)
リコが横で言う。
「会長、勉強会という名の放課後デートですね」
ミレイは赤くなる。
「違うわ。後輩の学習支援よ」
勉強会が始まる。
ミレイの教え方は丁寧だった。
アキラがわからない単語を聞くと、例文を作ってくれる。
ただし、例文が少し天然だった。
「たとえば、“He opened the mysterious box.” は、『彼は謎の箱を開けた』という意味ね」
アキラは頷く。
「絶対に開けてはいけない箱ですね」
「そうなの?」
「だいたい災厄か古代兵器が入っています」
ミレイは真剣にメモする。
「謎の箱は危険、と」
「英語の授業から脱線しました」
しばらく勉強していると、ミレイが身を乗り出してノートを見る。
距離が近い。
アキラは英単語どころではない。
(近い。香りがする。これは集中妨害スキル)
ミレイが言う。
「ここは、主語を見つけると読みやすいわ」
アキラは思わず呟く。
「僕の主語も最近見失っています」
ミレイは首を傾げる。
「黒瀬くんの主語?」
アキラは慌てる。
「いえ、人生文法の話です」
リコが遠くから言う。
「黒瀬くん、だいぶ恋文法になってますよ」
◆オチ
勉強後、ミレイが聞く。
「少しはわかった?」
アキラは真剣に答える。
「英語は少し。生徒会長が近いと集中できないことはかなり」
ミレイが真っ赤になる。
アキラも、自分の発言に気づいて真っ赤になる。
リコが拍手する。
「はい、本日の最高得点です」




