第47話 「風邪をひいた会長にメッセージを送るだけで一大事」
ある朝、ミレイからメッセージが来た。
今日は体調不良で学校を休みます。生徒会の資料はリコに預けています。
アキラはスマホを見つめて固まる。
(生徒会長が休み……?)
胸の奥がざわつく。
ただの風邪かもしれない。
でも心配だった。
返信しようとして、手が止まる。
お大事にしてください。
普通すぎるか。
いや、普通でいい。
でも冷たいかもしれない。
何かできることがあれば言ってください。
重いか。
いや、でも心配している。
回復アイテムを送れなくてすみません。
これはだめだ。
トオルに相談する。
「風邪の先輩に送るメッセージが難しい」
トオルは言う。
「普通に『お大事に』でいい」
「普通が一番難しい」
「恋する中学生か」
「高校生だ」
「そこじゃねえ」
結局、アキラは送る。
お大事にしてください。無理しないでください。必要なことがあれば言ってください。
送信後、アキラは机に突っ伏す。
(重くなかったか? いや、軽すぎても心配していないように見える。メッセージ難易度が高すぎる)
数分後、返信が来る。
ありがとう。黒瀬くんのメッセージを見たら少し元気が出ました。
アキラはスマホを落とす。
(元気が出た!? 僕の文字列に回復効果が!?)
その日、アキラは生徒会室に行っても落ち着かない。
ミレイの席が空いている。
それだけで、部屋がいつもより静かに感じる。
リコが言う。
「黒瀬くん、会長いないと寂しそうですね」
アキラは反射的に否定しようとして、止まる。
「……少し、寂しいです」
言ってから、自分で驚く。
リコも少し驚いた顔をする。
「お、進歩」
アキラは小さく呟く。
「生徒会長がいないと、生徒会室の意味が半分くらい減る気がします」
リコはにやりと笑う。
「それ、本人に言ったら一発ですよ」
「一発?」
「会長が倒れます」
◆オチ
その夜、アキラは追加でメッセージを送るか悩む。
結局、送った。
明日、元気になっていると嬉しいです。
ミレイからの返信。
私も、明日会えたら嬉しいです。
アキラは布団に倒れ込む。
「風邪は向こうなのに、こっちが熱い」




