第13話:「黒瀬アキラ、女子に連絡先を聞かれる」
アキラは放課後、昇降口で女子三人に囲まれた。
「黒瀬くん、連絡先交換しない?」
「今度みんなで遊ぼうよ」
「ゲーム好きなんでしょ?」
アキラは固まる。
(連絡先交換……これは高難度イベント。うかつに交換するとサブイベントが連鎖する可能性がある)
女子たちは悪気なく明るい。
しかしアキラは対応不能。
そこへトオルが現れる。
「お前、スマホ持ってるだろ。普通に交換すれば?」
アキラは小声で言う。
「普通が一番難しい」
女子の一人が聞く。
「黒瀬くんって、好きな人いるの?」
アキラは思考停止する。
(好きな人? 推しの話? 三次元? 二次元? 質問範囲が広すぎる)
アキラは真剣に答える。
「好きなキャラなら五十人ほどいます」
女子たちは笑う。
「そうじゃなくて、現実で!」
現実。
その言葉で、なぜかミレイの顔が浮かぶ。
アキラは焦る。
(なぜ今、生徒会長が表示された? 最近よく会うから脳内キャッシュに残っているだけだ)
結局、アキラは連絡先交換を先延ばしにして、生徒会室へ逃げる。
ミレイは話を聞き、少し表情を曇らせる。
「連絡先……交換したの?」
「いえ。処理能力不足で保留しました」
ミレイはほっとする。
「そう」
アキラはその顔を見て不思議に思う。
(生徒会長はなぜ安心した? 僕の個人情報保護を心配してくれたのか)
◆オチ
ミレイが小さく言う。
「必要なら、生徒会の連絡網に黒瀬くんの連絡先を登録してもいいわね」
リコが即座に言う。
「会長、それ私用連絡したいだけですよね」
ミレイは真顔で返す。
「生徒会としてです」




