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【第4部】勇者参上!!~勇者マストダイ! 不適格勇者を直ちに排除せよ!!~  作者: Bonzaebon
第1章 勇者マストダイ!! 【勇者なのに……〇〇されました。】
34/55

第34話 実際、隠し味まで判別できちゃうレベルなんですよ?


「おもしれぇな! この旅芸人の娘と今から死刑になる犬っころに同じ匂いを感じるだなんてよ!」


「ハハッ、バカ言ってんじゃねぇ。俺とその娘が同じな訳……、」



 スミスはイツキと着物娘に同じ匂いを感じると言う。ギリーもそれに同意して二人を怪しがり、交互に睨みを利かせて観察するような素振りを見せている。特に何も共通点もない二人が? それはちょっと無理があるんじゃないか?



「ちょっと無理があるんじゃないかい、スミスさん? 見ず知らずの二人が同じ匂いなんてするわけが……、」



 刑務所の囚人と女の子が同じ匂いって事にするなんてあまりにも失礼なんじゃないのか? 気になるのはイツキのリアクションだった。今までふてぶてしかったヤツが焦りを見せているのだ。あの娘を気遣っているだけだと思いたいが……、



「なんでぇ、勇者? お前、スミスの鼻がおかしいとか抜かすのかよ? てめえの頭ほどはおかしかねえよ。スミスの鼻は料理の使った食材の特定どころか本の少ししか入っていない隠し味すら特定できる程なんだぜ?」


「はは……そりゃ、料理人泣かせだね……。」



 犬っていうかコボルトってのはそこまで鼻の感覚の精度が良いのか? そりゃとんでもない。それじゃ人混みのなかに紛れ込んでても容易に発見できるレベルじゃないか! もしかしたら、イツキもその事がわかっているから焦っているのかもしれない。でも、なんで? 焦るような事なんだろうか? 着物娘が言いがかりを付けられて捕まってしまうとでも思ったのだろうか?



「そろそろ種明かしした方がいいんじゃないか、お嬢ちゃん? お前ら、旅芸人一座が仕込んだドッキリの種をな?」


「その娘は関係ないだろ! お前らの狙いは俺たち死刑囚だけだろうが! さっさと刑の執行をしろよ!!」


「まあまあ、焦んなよ? 楽しいショーの前には前座ってのが不可欠なんだ。こいつらの仕込んだ一大ドッキリネタを見てからでも遅くはないだろ?」



 旅芸人たちは何か仕込んでいる物がある? その公演を途中で中断させたお前らが何を言うのか。まだとっておきの芸は残しているだろうから、それは間違いないと思う。でも、イツキと同じ匂いというのがどういう風に関わってくるのかわからない。



「明かすような物はありません! そういうものを見せたら私達の仕事が出来なくなっちゃう!」


「そうかい、そうかい。だったらその気にさせてやんよ!」


(ズンッ!!)


「うぐっ!?」



 ギリーは突然、イツキの肩をナイフで突き刺した。あまりにも唐突な行動に俺は呆気にとられた。こんなことをして何になる……と思っていたら、着物娘の様子がおかしい。イツキが刺されたのを見て明らかに動揺しているのだ。まるで知っている人が傷つけられたかのような反応を見せている。目の前で痛ましい光景を見せつけられたとか、ただそれだけではない感情が入っているのは目に見えて明らかだった。



「おやおや? これから死刑になる囚人をちょっと痛め付けただけなのに、どうしたのかな?」


「犯罪者とか関係ありません! 無益に人を傷付けるのが信じられないと思っただけです! どうしてそんなひどいことを……、」


「ヒドイ? 勘違いしちゃあいけねぇよ? 俺は特別に刑の執行を許された役人だ。だから罪人をどう扱おうが素人に意見される筋合いはないのさ。」


「だからって……、」


「めんどくせえな? いちいち罪人ごときに同情してんじゃねえよ! コイツらは人間の屑だぜ? カミサマに逆らった身の程知らずよ! その罪の重さをしーーっかりと自覚させた上で、あの世へ送り届けるのが俺らの役割なんだぜ!」


(グリッ!)


「ぐぅぁっ!?」


「ああっ!? もう、やめてぇ!!」



 ギリーはイツキの肩に指したままのナイフを抉り込むように捻って見せた。イツキは必死に声を出すまいとするが、堪らず唸り声にも似た嗚咽を漏らしていた。耐えがたい苦痛に違いない。それは見せつけられている着物娘も同様だろう。近くにいる彼女の仲間たちも苦しげな顔をしていたり、顔を背けるようにしている。



「お前らも強情なのな? ここまでやっても白状しやがらねぇ。そんなに苦しけりゃあ、さっさとゲロっちまえばいいのに?」


「何も隠してなんか……、」


「隠して? 俺はお前らが隠してるなんて一言もいってねぇぞ? ちょっとお漏らししちゃったみてえだな? あと少しかな?」


(ポンッ!!)


「なっ!? 花だぁ……!?」



 ギリーがナイフに力を込めようとした瞬間、ナイフが一輪の花へと姿を変えた。これは……耐えかねた着物娘が自らの魔法で花へと変化させたに違いなかった。その証拠に着物娘が凛とした表情で竹箒をギリーに向けている。これはさすがにただでは済まされないぞ……。



「姉ちゃんよぉ、面白いことしてくれんじゃねえか? お前がやったんだろ……ってことは職務執行妨害の罪を働いたことになるねぇ?」


「もう許しません! 悪いことをする人はお仕置きしないといけないんだよ……。」


「はいはい、お仕置き……って俺がお前にヤるんだよぉ!!」



 着物娘が仕出かした事にギリーは激昂し、別のナイフを抜いて今にも飛びかかりそうな姿勢を見せた。だがそれと同時に黒い影が地面に写し出された! 物凄い殺気を感じ上を見上げると、大木の様な物を振り上げた黒い影がそこにいた……。

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