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【第4部】勇者参上!!~勇者マストダイ! 不適格勇者を直ちに排除せよ!!~  作者: Bonzaebon
第2章 勇者マストダイ!!【誕生、勇者2号! ……逃亡中だけど。】
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第189話 うちの大将は少々無鉄砲なところがあってな。


「誰が許さないんだ、コラァ!!」


(ドゴッ!!!!)


「うわっ!? イツキが不意打ちをかけちゃったよ!」



 スレイブが煤けた体で爆炎の中から現れたと思っていたら、何者かが助走をつけて体重を乗せた両足蹴り(ドロップキック)で吹き飛ばした! 犬の魔王一味の狼小僧だった。その攻撃は仲間たちにとっても意表を突いた攻撃だったらしく、それに続けとせんばかりにスレイブの方へと向かっていく。打ち合わせ等相談もなしでここまでの連携行動を取れるのは見事としか言えなかった。



「一気に叩き込め! コイツに反撃の機会を与えるな!」


「なんだか、一方的だけど強そうだから別にいいよね?」


「タンブルがいない分は俺たちが頑張らないといけないんだぁ!」



 怒りにとらわれている隙に攻撃を叩き込まれたため、悪魔と言えど反撃に移れないようだった。出鱈目とはいえ犬人たちの力任せの攻撃はカラクリ騎士の動きを封じるだけの勢いはあるようだ。今まで非力な娘どもや魔術師を相手にしていたのだから調子も狂うのだろう。だが、この攻勢がいつまでも通用するとは思えぬが……、



「下級魔王の下僕風情がぁ!!」


「うわっ!?」


「起き上がってきた!?」


「電撃魔法に気を付けろ! 一旦散開だ!!」



 スレイブは痺れを切らし、反撃に転じて犬人たちを吹き飛ばした。ここでまたチェイン・ライトニングを放とうとしたが、犬人たちに警戒され有効範囲から逃げられてしまった。あの狼の小僧は中々出来る。瞬時に敵の攻撃を見極めた上でその範囲から仲間を含めて逃れる事に成功している。伊達に魔王の仲間を名乗っておらぬようだな。



「下等な獣人の割には頭が回るじゃないか。あのオモチャどもが食らった攻撃を警戒するとは大したものだ。」


「フン! うちの大将は少々無鉄砲なところがあってな。横にいる俺が歯止めを効かせてやらないと命がいくつあっても足りないのさ!」


「タンブルはすぐに思い付きで行動するからね。よく振り回される!」


「そこがいいところでもあるんだヨ。僕たちの絆を甘く見ない方がいいよ!」


「下等風情が良い気になるなよ!!」



 スレイブはイツキとかいう狼の小僧に狙いを定め、槍による猛攻を繰り出していった。回りの雑魚を相手にするよりもリーダー、司令塔ともいうべき者を倒すべきだと判断したのであろう。


 恐らく頭だけではなく戦闘能力も一番優れているのあやつだ。最初の蹴りを見ただけでもそれは良くわかった。あのような攻撃は下手に打てば自滅すらあり得る。それの使い所や技を放った後の体勢を建て直す身のこなしを見ただけでもかなりの戦闘訓練受けていると推測できるのだ。



「徒手空拳で私に勝てると思うな! 先程の蹴りは奇襲であったからこそ通用したのだ!」


「おうおう! その奇襲が大分体に堪えているようだな? 俺が全力で放てば石像くらい簡単に粉々に出来る威力はあるんだぜ?」


「残念ながらこの体は石像ではない! 全身金属の塊、素手で壊そうなどと考えないことだ!」



 イツキという小僧は石材程度の強度なら易々と破壊する程の威力を自負しているようだな? スレイブはカラクリの体を使っているとはいえ、それなりに損傷を被っているのではないか? 少し槍捌きの速さが鈍っているようで、イツキには体捌きで全てかわされている。フットワークを駆使した無駄のない動きで槍をすり抜け、徐々に間合いを詰めていっているではないか!



「その体格でよくもちょこまかと!」


「アンタがトロいんだよ! ポンコツになってるんじゃないか?」



 瞬く間にイツキが間合いを詰めたかと思うと、流れるような動きで背後に回ってスレイブを羽交い締め(フルネルソン)にした。両の腕を相手の脇から通し、首の後ろで手を結び逃れられないようにしている。その状態で跳躍し背後に反り返りながら上下まっ逆さまに落下させようとしている。これは体術の裏投げ(バックドロップ)ではないか!



「コイツで終わりだ!!」


「ああーっ! イツキの必殺技ウルフハウリング・スープレックスだぁ!!」


「やったね! これで俺たちの勝ちだ!!」


「こんなものが通用すると思うなよ!」


(ビビビーーーーッ!!!!)



 スレイブの脳天が地面に叩きつけられようとしたその時、一筋の閃光が奴の体から発せられビタリと動きが停止した。逆さまの状態で空中に静止しているのである。まるで時間でも止まっているかのようだったが、イツキは力を込めて動こうとしているのがわかる。しかし、それでも状態が変化することはなかった。



「なんだ、この!!」


「フフフ! 運がなかったな。私が雷撃の使い手でなければこのまま倒しきれたものを。」


「雷ぐらいで何が出来るって言うんだ!」


「雷だからさ。雷には物を引き付けたり、逆に弾いたりする力を制御できる能力があるのだ! これを雷磁力(マグネット・パワー)という!!」


「なんだとぉ!?」



 そうであった! 忘れておったわ! 雷電の付加価値として、引力・斥力を生じさせる力があるのだった! あの侍が使っていた能力と同じだ。魔術師の間でもこの能力を使いこなせるのはわずかで、一般にはまだ知られていない効能でもある。知っていたとしても使い道がまだ未発展なため滅多に使われることはないが……この悪魔はその力さえ使いこなしているようだ。

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