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第十章 泡と博士と子供たち

翌日、研究所の車が村に入ってきた。

荷台には金属製の機械が積まれており、村人たちが目を丸くする。

「おお……これが博士の新しい武器か!」

ブディが感嘆の声を上げると、子供たちも一斉に駆け寄った。


直樹は内心(いや、これ持ってきたのハリムだから……)とつぶやきつつ、必死に博士らしく胸を張った。


――


川辺に設置された装置のスイッチが入ると、水面に細かな泡がぶわっと広がった。

泥がふわりと舞い上がり、底に沈んでいた小さなプラスチック片が浮かび上がる。

それらはネバネバの海苔に吸い寄せられるように絡みついていった。


「見ろ、水が澄んできてる!」

「博士、泡でごみが上がってくるぞ!」


村人たちは歓声を上げ、子供たちは「お風呂みたい!」と泡に飛び込もうとする。

「こら!遊び場じゃない!」直樹が慌てて止めるが、泡まみれになった顔はどこか楽しげだ。

ブディが大笑いしながら子供を抱え上げ、村中に笑いが広がった。


泡が消え、川辺に静けさが戻った。

その場に立っていたのは、政府の研究所から派遣された検査官――ハリムだった。

無表情のまま器材を操作し、結果を読み上げる。


「……マイクロプラスチック濃度、設置前より三割減少」


その言葉に、村人たちが一斉にどよめいた。

「博士の海苔だ!」

「博士、やっぱり本物だ!」

歓声が上がり、子供たちは直樹を取り囲んで跳びはねた。


直樹は胃を押さえながら、無理やり笑顔を作った。

(いや、俺じゃなくて海苔と泡とハリムがすごいんだって……!)


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