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35話

 初めての魔法だ。まだ使えるのかは確認していないが理論はもうわかったし、なにより実質魔法の一つと言える魔力操作は今まで嫌というほどやってきた。きっと使えるはずだ。


 ようやく使えるのだと思うとやはりワクワクしてきてしまう。


 「まず、どんなことしてみる?危ないしそんな派手なこととか規模が大きいことはできないけど」


「ん、私は身体強化したい。ずっとやりたかったから」


 「それもいいね。やってみよ。魔力が求める現象を起こすように変質させるために強くイメージをすればいいんだよね?」


「うん。だから筋肉とかに魔力をまとわせて魔力に筋肉を強化するように念じればいいはず」


 「よし。じゃあ、せーのでやってみよ?」


「うん」


 「「せーの」」


 _____ボキッ______ブシャアッ


 するとハナビは足の骨が折れ、ミヤの腕からは血が噴き出した。


「「_____うわあああ」」


 突然強烈な痛みに襲われ二人は叫び声をあげた。


 万一のために用意しておいた高級なポーションを苦しみながら口に運ぶ。なんとか飲み干して二人横に並びながらしばらく寝転がる。


 怪我自体はそこまで重いものでなかったようでしばらくしてようやく動けるようになった。もっと重症であったならば明日までこのままだっただろうから助かった。


 「い、痛かった・・・・・・」


「でも・・・一応強化はされたみたい。でもなにがだめだったのか・・・・・・・・・」


 二人でもう少しだけ横になりながら考えに耽る。


「強化したのが筋肉だけだったのがだめだったのかも」


 「筋肉の動きに骨とかが耐えられなかったのかな」


「たぶんそう」


 「それなら他の部位も強化すればいいわけだから、これで解決だ」


「正解かはわからないけどね」


 「・・・・・・・・・でも今日は身体強化の実験は終わりにしとこう。痛かったし」


「ん、名案」


 「じゃあ次は炎出してみたりする?定番じゃない?」

 

「やってみたい。かっこいいかも」


 二人立ち上がり、腕を的に向けてみる。正直イメージと魔力のみで完結するのなら腕をわざわざ向ける必要はないのだろうがこれは雰囲気だ。


 体の中の魔力の一部を腕を通して外へと流し、炎を強くイメージする。するとみるみると体の外に出た魔力が炎に変わっていく。あまり大きくなられても困るのでこぶし大でとどめ的に向かって放つ。


 炎はまっすぐ的まで飛び見事命中した。


 魔力はスムーズに炎に変質していっていてアイリーンの魔法のように放つまでに長時間要することはなかった。ミヤの方も私ほど早くはなかったがそれでもそんなに時間をかけることなく魔法を完成させていた。


「せいこう」


 「わあ、すごいよハナビちゃん!これなら戦闘にも使えそうだね」


「うん、戦術の幅が広がる」


 そうしていくつかの属性を試しどれも成功したので、満足して宿に戻ることにした。身体強化魔法はまた明日だ。


 ____________________


 今日はアイリーンたちと森に行く予定はなくミヤと一緒に狩りに行くこともできるのだが、せっかくだから二人のお守りが終わるまでの期間は日中はソロで行動しようと言われてしまった。寂しいが仕方がない。


 いつも通りミヤは朝早くから森に出かけてしまった。私は今鎧がないので森で狩りを行うのはストップをかけられてしまった。


 だから1日街で過ごすしかないのだが今日はどう暇をつぶそうか。


 とりあえず午前中は昨日同様弓を射ってから休憩を挟んで戦闘訓練を行う。


 大量にかいた汗を風呂で流してさっぱりしてから昼食にする。


 昼食もギルドの食堂で済ませてしまおう。


 午後には欲しいものが一つ見つかったためそれを買いに行こうと思う。


 街の中心部には領主ての邸宅と教会はもちろん、その他にも高価な商品を扱う商店が並んでいる。


 その中の一つ宝石商の中に入っていく。


 店の者に案内されて応接室に入る。


 さすが高級商店といったところか一客人の私にも丁寧な対応だ。


 まあVIPみたいなものになればもっといい部屋で対応されるのだろうが。


 そんなこんなで店の在庫をいくつか見せてもらう。


 その中で一つ目についたものがあった。それは真紅のガーネットだった。


 私の瞳はオックスブラッドに近い色味だが、ミヤはカーマインのような鮮やかな色味だ。そんな私達二人の瞳の色と同じ赤系統のカーマイン。


 ひと目見て気に入って購入することに決めた。


 宝石は宝飾品としての価値だけでなく、魔法の触媒として利用されることもしばしばあるので需要が高く。値段も相応に高い。


 しかし私にはこれまでオークやファングボアを狩ってきて貯めたお金があるうえに、そこまでお金を使うことがなかったので購入をすることができた。


 店を出てカーマインの入った箱を大事に持ちながら、ガンズに紹介してもらって彫金職人のもとへ行く。


 そこでこのカーマインを装飾品として加工してもらえるよう頼んできた。


 その後は薬師初鑑を読んで、カイラスと実戦練習を行って暇を潰した。


 ミヤも帰ってきてまた魔法の実験を二人で開始する。


 「今日こそは身体強化成功させようね」


「ん」


 昨日は強化したのが筋肉だけだったため他の部位が耐えられずに失敗してしまった。再びあんなダメージを負うのは嫌なので今度こそは成功させたい。


 魔力を筋肉だけでなく骨や皮膚などにもなじませて強化することを念じる。

 

 そして藁の束に向かって拳を突き出してみる。


 するといつも以上の速さで動くことができ、鋭い突きが出る。


「成功だ」


 「わあ、これでもっと強くなれる」


「ん、これ、かなりいい」


 強化した体はいつも以上に軽く、そして力強く感じる。今ならオーガ相手に苦戦することもないんじゃないかと思えてしまう。


 ただ身体強化で戦闘能力の底上げができるとはいえ、技術や基礎体力を疎かにするのは良くないので、その後他の魔法の訓練も行った後ミヤと二人で戦闘訓練も行った。

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