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34話

 アイリーンとマリベルの二人と別れてから暇になり、とりあえずまた訓練場に行くことにした。


 今日はもうこれ以上予定はないので好きなだけ動くとしよう。


 まずは剣を振って肩や腕や手首などの筋力の強化と動きの練習をする。私が普段使っているバスタードソードよりも重い剣を使って様々な型を反復する。これは体に重りを付けて負荷を上げたうえで行う。突きや切り上げ、振り払いなど様々な動きを重心や姿勢を意識しながら繰り返していった。


 次に重りはそのままで重いハンマーなどの他の武器でも行う。ちなみにこの武器はギルドの倉庫から拝借したカイラスの武器たちだ。倉庫の扉の前には常に番がいるが、いつもカイラスの武器を取りに行くので今ではカイラスの武器を取るだけなら顔パスだ。


 それを終えると次は訓練場に置かれた大きく重い石を持ち上げて投げることを繰り返す。これもなかなかきつく、腕だけでなく腰や背筋にも効いてくるのだ。


 次は梯子の上り下りをしたり壁を登ったり、訓練場の端に一本生えている木に登ったりする。それを繰り返して終えるがまだまだ訓練は続ける。


 最後におまけで重りをもう少しだけ追加して基礎トレーニングだ。腕立て伏せにスクワット、パンチやキック、走ったり、後ろ向きに走ったりする。バク宙をしてみたりアクロバットな動きもしてみる。戦闘中に実際バク宙することはないだろうが、鎧を着て体に重りの付いた状態でも自由自在に動けるように訓練する。


 そうしてかなりハードなソロ訓練を終えた。いつも狩りのあとに二人でやっているものは時間の問題などもあってもう少し軽いが、今日は時間が有り余っているのでとてもハードなメニューとなった。


 もう昼過ぎでお腹もペコペコだ。流れる汗を手ぬぐいで拭ってから食事に速足で向かう。ギルドの食堂で肉やパンに齧りつく。大きなステーキに熱いスープ、チーズをのせたパン、生野菜にオイルと酢と塩がかけられたサラダをどんどんと口に運んでいく。傭兵は大飯喰らいが多いのでギルドの食事は一品一品の量が多くて助かる。


 しっかりと食べて腹ごしらえを終えた。次はどうしようか。カイラスの仕事が暇になれば実戦練習に付き合ってくれるのだが、まだ仕事が残っているようで忙しそうである。


 これなら二人と別れる前に待たせた詫びにと本をせびってやればよかった。まあそれは冗談で、実際そんなことをすれば印象が悪いどころではないだろうからやらないが。ただ詫びとは別に本を二人からもらえたらなあとは思う。


 暇つぶしがてら街の中をぶらぶらと散歩する。服などの日用品は十分にあるし特に必要なものはないので店の中に入ったりはせずふらふらと歩く。


 何をするでもなく歩いていているとふと名案が浮かんできた。


 この街にがいくつかのギルドが存在するがその中には薬師ギルドというのがあるのだ。一部のギルドは特権集団の様相を持ち閉鎖的であるのだが、薬師ギルドに関しては広く門戸が開かれているらしいのだ。


 知識の継承、そして研究開発のために門戸を開いているのだが労働力の多くが他のところに流れてしまうためにそれがうまくいっていないらしい。


 場所に関しては傭兵ギルドに近く把握しているのすぐに向かう。ギルドの建物に着き中に入る。


 傭兵ギルドと比べると建物がはるかに小さいので中もそれほど広くはない。


 受付っぽいところを見るが人はいない。なんだ誰もいないじゃないかと声を上げてどこかにしろいるだろう人を呼ぶ。


「誰かいないのー」


 すると受付の奥の方から物音がした。そこを見てみると、机の下から爺が出てきた。


 眠そうな顔をしておりこの爺は昼間から机の下で寝ていたというのだろうか。なんといい加減な爺だろう。


「おはよ」


 「お、おお。お前さんは・・・・・・誰じゃ?」


「ハナビ。ギルドに登録しに来た」


 「ほう!そうかそうか。それはいい。いまから受付をしよう」


 そういって嬉しそうに爺はこちらに寄ってきた。


 傭兵ギルドの要領で登録を行い登録を終えた。


「登録してこれからどうすればいいの」


 「まあそうじゃな。まずは薬師初鑑という書物をここで買うといい。メジャーな基本の薬草の採取地や薬効、そしてそれらを使った薬の作り方が書いてある。これは薬師ギルドで写本したものだ。値段は150万ギルだ」


 高い。このせいで薬師というのが少ないに違いない。まあ金さえあれば人脈もなく学べるのだからある意味安価と言ってもいいのか。


「ん、ちょっと待って。傭兵ギルドでお金引き出してくるから」


 手元にはそんな大金はないので急いでおろしてきた。


 「ほう、本当に払えるのか。じゃあこれが薬師初鑑じゃ。大切にするのだぞ」


 受け取ったそれは結構分厚く、中身をのぞいた感じ詳しく説明も書かれていてなかなかいいものそうだった。なんだかんだ初めて本を手に入れた。


 あとはこれをカイラスが暇になってやってくるまで訓練場の木陰で読んでいることにしよう。


 薬師初鑑はこの周辺だけでなく他の地域でも採れるような広く生息している薬草の情報などが載っていた。もちろんキナ爺から教えてもらった薬草についても多く載っており嬉しい気持ちになった。


 そうして暇つぶしをしていると訓練場にカイラスがやってきた。


 カイラスとはまずは格闘での訓練を、次に剣をもって実戦練習を行う。そうして時間を潰してとうとうミヤが帰ってくる時間になる。カイラスはまた忙しくなる時間なので仕事に戻る。


 訓練場でまた本を読みながら待っているとミヤがやってきた。


 「ただいま、ハナビちゃん」


「おかえり」


 「どうだった二人は?」


「アイリーンがヒールで来てて森の前で撤退した」


 「ふふっ、そうなんだ。それは前途多難だね」


「うん」


 「じゃあ、魔法の実験してみる?」


「ん、始めよ」

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