24話
準備をして森へ向かう。今日ははぐれオークの討伐を狙って森を歩く。当然道中の薬草などは採取するが他の動物や魔物はできるだけ避けていく。
普段で会ったらゴブリンやファングボアの痕跡を見つけていたであろう地点でオークの足跡を見つけた。近くで狩りでもしたのかわずかに血の匂いも残っている。周りをもう少し探ってみるとゴブリンの死体を見つけた。
ゴブリンの数は3匹でどれも体の部位が所々潰されており、相当な力で打撃を受けたのだろう。こんな攻撃を受ければ防具を着ている私でさえひとたまりもない。
それに加えゴブリンは腹から食い破られており、オークがゴブリンの肉と内臓でも食べたのだと推測できる。ゴブリンは酷く臭う上に人型の魔物なので食べるなんて私たちからすれば考えられないが、はぐれオークにとっては主食なのだろうか。
もう少しオークの生態を調べてくればよかった。今はまだオークの情報が少ない。舐めてかかっていい相手ではないので用心していたつもりだったのだが、今になってもう少し詳しく調べておけばよかったと後悔する。本当に最近私はたるんでいるな。このままでは私だけではなく、ミヤにさえを危険を及ぼしてしまうかもしれない。もっと気を引き締めなくては。
「ゴブリンの状態を見るに、オークがゴブリンを食べてからそんなに時間は経ってない。なんなら一時間も経ってないかも。近い。気を付けよう」
「うん、わかった」
そのままオークの足跡を追っていく。オークは食べながら歩いているのか、血や食べかすも落ちているので追跡は容易だ。いまではここら一体でははぐれオークが生態系の頂点にいるのもあってか、何も気にせず行動しているのだろうな。
オークはゴブリンなどよりも知能が高いという情報は得ていたのだが、これなら不意をついて有利に戦闘を進めることもできるだろう。
そしてようやく痕跡の主を見つけた。そのオークは食事をして眠くなったのか木に寄りかかってうとうととしていた。暢気なものだ。あまりにも痕跡が残されすぎているので罠も疑ったのだが杞憂だったようだ。
ただオークの姿は肌はくすんだ緑色で、顔は魔物としての悪意がそのまま表に出てきたのだろうかと思う程に醜悪、口からは大きな牙が出ており、胸や背中や手足首からは毛が深く生えている。そのうえで体も2.5mほどあるのだからこんな間抜けな姿をさらしてさえいなければ、こちらに恐怖や大きな圧力をを与えられたことだろう。
そんな強力なオークが今までいた森の奥地からここまで出てきた理由はわからないが、こんな大きな隙を晒しているであればありがたくその隙をつかせてもらおう。
「オークは今眠そうだし相当油断してる。隙を突くなら今」
「私が先に攻撃して注意を引くからその隙にハナビちゃんにとどめを刺してもらう感じでいい?」
「ん、わかった。ただ近づいてあまりにも隙だらけなら急所を狙ってミヤが勝負を決めちゃってもいい」
「わかった。でも安全第一で行くね」
私はオークの後ろ側に回り、ミヤはオークの横側へ行く。
完全に眠りこけてしまい舟を漕いでいるオークにミヤは起こさないようににじり寄っていく。そして攻撃が届く範囲内にたどり着く。ミヤは私に視線で合図を送るとスピアーで鋭い突きを放ちオークの胸を貫いた。
_____グオッ
当然の攻撃にオークはうめき声をあげる。オークほどの生命力があればこれではまだすぐに死ぬことはない。だがしかしオークが深い傷を負いながら立ち上がろうとした直前、私がその首を切り飛ばした。
「よし、うまくいったね」
「よかったぁ。ちゃんと心臓狙って刺したんだけど、まだ動くなんて。皮膚もすごくかたくて突くときすごく抵抗感じたし」
そうして狩ったオークの売れる部位だけをとっていく。オークは牙と体内にある魔臓という内臓が売ることができる。魔臓の中には魔石という魔物の体内の魔力が死んだ際に集約して固まったものがあるときがあるのだが、それが高く売れるらしい。それがなくても魔臓はいろいろと需要があるらしくそれだけでも金になる。
オークの体内をあさるのは臭いし気持ち悪かったが魔臓と牙を回収し、街に帰ることにする。今回の個体はたまたま大きな隙を晒していたのでとても楽だったが、あの屈強な巨体と正面からやりあうとしたらどうしようか。
ミヤはまだ防御力に問題があるので、私がタンクをしてその隙にミヤに火力を出してもらうのがいいのだろうか。それともミヤにリーチを生かして気を引いてもらい私がその隙に攻撃をした方がいいのだろうか。
まあ、それに関してはどっちも試してみてどっちの方が安全で効率がいいか確認するしかないのか。
街に戻ってギルドで換金を行う。素材はオークの討伐数が増えている関係で思っていたより査定は伸びなかったが、今はオーク討伐の常設依頼がでているのでその報酬ももらうことができた。
______ふぅっ
いつもの訓練を終えて鎧を脱ぐ。最近は少しずつ気温が高くなってきており鎧で激しい運動をするのは大変だ。加えて蒸れて気持ち悪いので困る。
そんな酷く気温が上がって猛暑になることはないらしいのが唯一の救いだ。あとはもうしばらくすると雨も増えてくるみたいなのでそこも気を付けなければいけない。
雨が降れば足元が不安定になるし狩りをするのにも危険が増してしまう。なにより雨の中で狩りをしようものなら水で剣が滑ってまともに振れないだろうし、空にも注意を向けて狩り中に雨に降られないようにしなければいけない。
これからしばらくは少し狩りに行く日が減りそうだ。貯蓄はそこそこあるのでお金の心配はないが、森にばかり行って過ごしてきたので休みが増えると何をすればいいかで困りそうだ。
この世界のオークは別に豚顔だったりはしません。見た目に関しては、ゴブリンを大きくしてよりいかつくしたみたいに思っていただければわかりやすいと思います。




