25話
今日も狩りに向かう。最近は狩りに向かうためより体力が必要なので、食堂の料理人の元へ肉を出して焼いてもらっている。そのおかげで毎日朝でも元気いっぱいだ。
キナ爺にも少しだけ肉をおすそ分けして3人でご飯を食べる。ミヤもキナ爺と打ち解けたみたいで今では毎日談笑しながら朝ごはんを食べている。
「あっ、そういえば。キナ爺さんって薬草採取で毎日たくさん稼いでるのにずっと傭兵を続けてますよね?何か理由があるんですか?」
「そういえば、ずっと気になってた」
「ああ、ハナビにも話してなかったけか。ただ毎日賭博やってスっちまってるだけよ。それでいつまでもこんなこと続けてるってわけだ」
「なにそれ・・・・・・じゃあ昔のことももしかして・・・・・・」
「ハナビや、これ以上の追及はいけねえ。俺の感動的な話が野暮になっちまう」
「あきれた」
「え?なんの話?」
ミヤだけ少し置いてけぼりになりつつ朝食を食べながら会話を楽しみ、おのおの稼ぐために森に入っていく。
「ミヤ、今日もはぐれオークを狙うけど昨日みたいにオークが油断してて簡単にいくなんてことは流石にないと思う。だから気を付けて」
「うん、わかった」
「とりあえず今日はミヤがオークの注意を引き付けて私が攻撃をする感じでやってみよ」
二人で軽く話し合いながらオークを探す。どれだけ話し合ってもオークに出会わなければ意味がない。集中して足跡を探す。
しかしなかなかオークは見つからずもう昼を過ぎるかという時間になった。ということで二人で軽く昼食をとる。昼食といっても干し肉や森で取れた果実を食べるくらいなのだが。
そうして昼食を食べている途中二人が進んできた方向から気配を感じた。
「ミヤ、後ろから何か来てる。音が少しする。まだ距離があるけど警戒して」
「わかった。オークかな?」
「結構体のサイズは大きそう。オークかも。多分匂いでばれた」
「意味ないかもだけど隠れて奇襲仕掛けてみる?」
「それがいいかも」
そうして二人が進んできて道を挟むように分かれて、草木の陰に隠れる。
しばらくして予想通りオークが現れた。においを辿ってきたとはいえ、詳しい場所までは特定できていないのか姿の見えない私たちに回りを警戒しているようだ。
そのオークは見た目は昨日のオークとそう差異はないが武器に剣を持っている。はぐれオークが自ら武器を作ることは難しいだろうから、おそらく森に来た傭兵を殺して奪ったのであろう。
オークが森の浅いところまで出てくるようになったこともあって、オークに殺されるようなレベルの傭兵は森にあまり入らないように警告されてはいるのだが、そのレベルの傭兵はその日暮らしの者がほとんどなので森に異変があったとしても危険を承知で入っていくしかない。そして運悪くオークに遭遇して殺されたのだろう。
こん棒よりも殺傷能力の高い武器を持つオークに警戒心を強めながらも、ミヤに目で合図を送って狩りに行く。
合図と同時に手斧をオークに向かって投げる。手斧は狙い通オークが武器を持っていた右の肩口に突き刺さる。
___グォッ
突然のダメージに驚いて剣を落としてしまったオークだったが、肩口に刺さった斧を抜いてこちらに向かって投げつけてきた。肩には確かにダメージがあったはずなのに右手で投げてきて驚くが、投げつけられた斧を盾でいなす。
私に注意が向いているうちにミヤが接近してオークの左の腱を切りつけた。遠心力の乗ったスピアーでの切り払いによって、ミヤの力と技術もあってかオークの左足は半ばほどまで断たれた。
左足によってたてなくなったオークは膝をつく。そこに加えて右肩に追撃を与える。もともとダメージのあった右肩に強力な剣での攻撃を入れたことにより、右腕は完全に肩から離れてしまう。
そうして成す術がなくなったオークにとどめを刺して勝負を終えた。
オークに投げられた手斧を拾って素材を剥ぎ取る。
「おつかれさま」
「おつかれ、今日も無事狩れてよかった。ただ投げた斧が利用されるのは考えてなかった。これからは気を付けないと」
「あのときは私もヒヤヒヤしたよ。ハナビちゃんはかっこよくいなしてたけど」
「ただ戦い方は今回みたいに私が最初にオークからのターゲットをもらった方がよさそう。オークは体が大きいからスピアーのリーチの長さを生かして安全に戦うなんてことは難しそう。だから今は防具がそろってる私がタンクをした方がいい」
「そうだね。私もその方が安心できるし、ハナビちゃんも結果的に安全に戦えることにつながると思うから。明日も頑張ろうね!」
「ん、じゃあ帰ろう」
ギルドで換金をしながらカイラスと話す。
「お疲れさん。今日も無事狩れたみたいだな。オークについての情報だがまだ少しずつ森の浅いところに増えてきてるみたいだ。これだけ来てるんじゃあ、森の奥でオークを狩ってた奴らも一緒に流れてくる可能性もある。流石にそいつらを相手するのはお前らでもきついだろうから気をつけろ」
「ん、わかった」
「でもなんでこんなにオークは浅いところまで来てるんでしょうね?」
「もう少ししたらこの街のBランクとAランクとかを集めて調査隊を森の奥に送る予定らしい。なんだったら最奥も調査することもあるかもしれない。今までこんなことはなかったからな。まあ、あったのかもしれないが文書として残ってる分には前例がない」
「まあ、可能性として考えて一番あるのは森の奥で森の上位者が暴れててそれから逃れてこっちまで来たってやつだな」
「まあ、気を付ける」
「相変わらずマイペースだな。あとはこれ、二人ともDランクに昇格だ」
そうしてカイラスから金属のバッジを受け取った。
「今まではぼろい使い古された羊皮紙を門兵に見せて街を出入りしてただろうが、これからはこのバッジを使え。これからはランクごとに違うバッジを渡してそれで傭兵を管理するからな。まあまだDランクだからこれだけだがCランクにもなれば傭兵ギルドからもいろいろサービスが受けられるようになる。だから頑張れよ」
「ん、わかった」 「頑張ります!」
その後いつものルーティーンをこなして宿で休んだ。




