22話
昼過ぎになってようやく二人は目を覚ました。
「おはよ。えへへ、今日はたくさん寝ちゃったね。それにしてもハナビちゃんも寝坊なんて珍しいね」
「ん、いつも通りの時間に起きたんだけどなかなかミヤが起きないから、つられてまた寝ちゃった」
「あー、ごめんね。昨日の夜夜更かししちゃったから起きるのが遅くなっちゃった。もうすっかり明るくなったころに私も一回起きたんだけど、ハナビちゃんが寝ててまた寝ちゃった」
「そうなの?毎朝ミヤは私に合わせて起きてくれてるけど、ほんとはもっと寝たいのに無理して我慢してくれてるんじゃないかって思ってたんだけど・・・・・・」
「んーん、そんなことはないよ!私が朝弱いのは事実だけど、無理も我慢もしてないよ!ハナビちゃんが気にすることはないから、だいじょーぶ!」
「ん、そっか。ありがと」
二人の間のちょっとした誤解を解消できたあとは、一緒に遅い朝ごはんを食べに行く。今日はこの前たまたま見つけて一緒に行こうと話していた店に行く。そこにはパンケーキが売っておりかなり値は張るが追加ではちみつもかけることができる。
当然二人ともはちみつをかけて食べる。このはちみつは大森林にいる蜂が作る蜂の巣からとれるものでとても貴重だ。とても高価で採取の難度も高いこともあってこのはちみつを採取する専門の傭兵がいるほどだ。
この世界では高価でなかなか味わえない甘味を味わって店を出る。そして今日の狩りを休みにした真の目的である注文していて防具の受け取りに向かう。ガルクの店について店の女中に呼んでもらう。
「来ましたか。必ず満足できるような品になっておりますのでこちらで一度ご試着ください」
「わかった」
着てみるとそれは頭部以外の部位はある程度覆われており、関節部は革ひもでつなぐようにできいる鎧だった。関節部が空いているので機動性がよくかなり動きやすい。ただその分関節部が弱点になりえるがその狭い部位を的確に狙えるほど器用な魔物は、魔物の大きさや体の構造ゆえにそこまで多くはいないだろうからそこまで大きな弱点にはなりえない。
そして左のガントレットは丸い盾が一体となっており、より防御性能が高くなっている。
「うん、すごくいい。防具によって動きが阻害されてる感じもほとんどないよ。これならほぼいつも通り動けると思う」
「それなら良かったです。初めはもう少し守る部位を削ってより軽くしようかと思っていたのですが、師匠からあなたは重さはそこまで問題にならないと聞きまして。実際鎧の重量をものともせず動けているので師匠の言う通りでしたね」
「ん、ありがとう。お金が貯まったらこのミヤもお世話になるかもしれないからよろしく」
「あ、よろしくお願いします!」
「はい、かしこまりました。お待ちしておりますね」
新しい防具に満足して、次は防具を着ての戦闘に慣れるために訓練場に行く。
ミヤと一緒に素振りをしたり模擬戦をしたりして使用感を確認していく。実際に使ってみても防具により動きを阻害されることがなくいつも通りの動きをすることができている。とても満足な結果だ。
いつも使っている剣で訓練をした後は他の武器でも訓練をする。カイラスからどんな武器でも戦えるようにしておけと言われているので、たびたびカイラスから武器を借りていろんな武器を使えるように訓練している。
ミヤはまだ槍の扱いがまだ基礎の段階にいるので、他の武器の訓練はお預けで槍の訓練に集中している。ミヤとのハードな訓練を数時間続けてしばらく、もう夕飯時になってしまったので風呂で汗を流して夕食にする。
休みのはずが狩りの日以上にハードに動いてしまったのでおなかがペコペコだ。宿で体力をつけるために大量の肉にかぶりつく。たくさん食べて満足したので部屋に戻って寝ることにしよう。
「ミヤ、ミヤが狩りに慣れて装備を整えたら、今よりもう少し森の奥に入ってみよ。そうすればもっと稼げるようになるし」
「そうだね、ハナビちゃんに追いつけるようにもっと頑張るよ。それにお金が貯まったら宿なんかじゃなくて、私たち二人の家が持てるかもしれないよ」
「私たちのおうち・・・・・・」
ハナビはそういうと少し顔を赤くして布団に潜って隠れてしまった。
_____なぁあああ、かわいいいいい!それに何言ってるの私!私たち二人の家なんて恥ずかしすぎるよ!
_____でもハナビちゃんも私と同じ感情を抱いてくれてたら・・・
いつもはくっついて寝ている二人は、今日は恥ずかしさからか少し離れて寝むった。
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今日は狩りに行く日だ。昨日手に入れた鎧を身に着けての初めての狩りというのもあって少し浮かれてしまう。気持ちを引き締めて今日も狩りに行こう。
ファングボアをあと一体も狩ればミヤが武器を新調するのに十分なお金が貯まるはずだ。だから丁度ファングボアが狩ることができればいいのだが_____
なかなかファングボアが狩れずに5日が経った。それでも他の動物を狩って薬草を採りお金は十分たまったので、ようやくミヤの武器も揃えられる。
ガンズの店に行って注文をする。ミヤはどちらかというと突きよりも横への薙ぎ払いの方を好んで使うので、それを生かせるように横への薙ぎ払い、切り付けの火力をより出せるように今のスピアーよりも柄の長いハルバードにする。そして木々の密度の高い森の浅いところで使うようにファルシオン、追加でダガーを注文した。
もともと中古というのもあってミヤのスピアーにもガタが来ていたが武器の新調はどうにか間に合いそうで良かった。この調子でお金を貯めて防具も揃えよう。
 




