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2ー48 祭

△▽△


「もしもーし。火竜殿、戻りたいのでおろしてもらえますかーぁ」


村のあったであろう場所は既に緑色の森に消えていった。

火竜は途中で降下した八方塞がり崖のような場所に降り立つ。


ギムは、拘束から解放されるが名残惜しそうに村の方を眺める。火竜の方を見つめると。適当なエサでも捕まえてきたのか大きなカエルを食べていた。


「して、火竜殿どちらへ?」


火竜は、意識伝達できるが面倒なので指さす。

ギムがその先を見ると恐れ山脈が(そび)え立つ。


「おお、あの頂きの一つに空中要塞バハムが設置されているがそこへ向かうのか?」


火竜は、首を横にふる。

地面に爪で文字を書いた。


『フォート』



は?


それマジですか? あそこは、あそこはヤバイでしょう。


「火竜殿は、知らぬやもしないが強者と言うものが必ずおる。よいか、立ち向かうだけに何の意味がある。静かにくらすのが一番だぞ。」


火竜がいう『フォート』こそ恐れ山脈で最も高い山の名前であり。

その頂には、『国死鳥』が住みかとしている。


例え、火竜といえどもちょっかいを出せる相手ではなかろう。

火竜が背に乗れとばかりに傾斜付く、まぁよかろう。


ギムは、何故かその一興を観てみたい気もした。


(くら)に登るとバンドを締める。馬用の鞍とは全く違う。揺り(かご)のような脚のない椅子が設置され振り落とされないように体をバンドで固定するような作りだ。


ギムが乗ったことを確認すると火竜は大空へまた飛翔する。

目指すは前人未到の世界最高峰とされる『フォート』の頂きへ。


△▽


火竜は一晩中、飛行を続けるようだ。

私は、快適な空の旅を満喫する。どこまでも海雲が広がり、満天の星空を眺める。


アル殿らしい。座席のサブスペースが物入れになっており。中を見るとハイアルの燻製肉をツマミにと一杯出来るように蒸留酒が小瓶でいくつも入っていた。


確かに、グラスについで飲める場所でもないか。

こんな場所でこんな景色を観ながら一杯やれるとは、、、。


ガァハ、ガァハーハー


ギムは、思いだしつつあった。自分が何に憧れ、何をしたかったのかを。



気が付くと朝になっていた。火竜も寝ながら飛んでいたらしい。話相手がいないので喋りかけていると意識伝達が出来た。


竜は、命が3つあるらしい。

1、頭。

2、心臓。

3、(あるじ)



この3つが同時に失われない限り寿命以外で死ぬことはないらしい。

そして、この3つ目の(あるじ)というのが反則的なのだった。主従契約により主をもった竜は死すらも主以外は、決められない世界の理に属するルールだという。


その為、主以外が従竜を殺すことは出来ない。つまり、無敵なのだと言う。

だが、言うほど万能でもないらしい。手足ほどなら数日すれば生えてくるが。全損するとマナだけが主の元に戻りまた幼体からやり直さないといけないらしい。


あんまり、死んでるのと変わらなくないか?と思ったが竜曰く、主への思いが残ればそれは死ではないらしい。


ほーぉ。中々の忠義だ。

「おお、そうだ帝国の私の書庫にあやつの親父が愛娘のエマが8才の時の激可愛ブロマイドがあったはずだ。今度、それをお前にやろう。」


‼️


<オッサン、まじデスか。ハム最高に嬉しいデス。今日はガンガン行くデス>


そう言うと、旋回しながらさらに上昇した。

数時間後。



海雲から頭を出した気高い山脈の頂きが3つあった。


『フォート』

『シングル』

『レア』


フォートが一番高いが、シングル。レアも相当なものだった。


フォートの頂きは、雲の上に常に有るため日当たり良好。

と言いたい所だがだいぶ寒いらしい。


ギムは、火竜が自分の周りの大気を常に温めているため寒さは全く感じない。万物の頂点に君臨する竜ともなればスペックが違うな。


フォートの頂きは、上から見るとすり鉢上になっていた。

こちらを警戒するように3羽の国死鳥が見上げていた。


<ちょっと話つけるデス。振り落とされないようするデス>


急いで、ギムは腰と脚のベルトをきつく締めなおす。

火竜は急降下すると挑発するように彼らのすれすれを飛翔し、また上に上昇した。

一番大きな1羽の国死鳥が羽ばたく。先ほどまで黒い羽だったものが青黒い輝きを見せて日の光で神々しくみえる。


火竜は上昇を続ける。

国死鳥もそれにならうように天高く上昇する。


もう、上がり初めて10分位だろうか火竜は高く上り続ける。そしてある所で止まった。

ジルが眼下をみると、、、。


‼️


息を飲む美しさである。

ここから見ると帝国も王国も国としての違いなどなく大陸が一つあるだけだった。

その周囲にもいくつかの大陸がみえる。


その中にひときわ輝く点が見えた。

「こんなにも高くからでも栄光が見えるのか」


彼の見る先には大陸の西側一帯が帝国領土であり。その中央で一際輝きをはなつ帝国の首都『ベルケル』であった。


ああ、あんなにも美しかったのか。

私は誰だったか。そうだあの美しい帝国の皇帝ではないか!


竜に乗り都に降り立つお伽噺(おとぎばなし)を昔、母から何度も聞かせてもらった。

その度に母は、皇帝になれば竜にも乗れると優しく答えてくれた。


今、どうだ!


私は、竜の背に乗っているではないか!


そうだ!。私は皇帝なのだ‼️


<ハムのミッションは完了したデス。では弾丸飛行でいざ帝都『ベルケル』へ行くデス>



△▽


国死鳥は、いったいさっきのは何であったのだろうと首を傾げたが。1羽が天高くから戻ってくるとクスクスと笑っていた。


あの竜曰く、眼下のいま人の世で一番偉い人が自分の帰る場所がわからなくなったから連れていってあげてるとの事だった。


降りてきた彼は、同情的だった。昔、人間と暮らしたことのある奴だった。

人間は、優しく汚いがあの人といた時がもっとも美しかったとよく言っていた。


いつか私もいってみたいかしら。1羽の国死鳥はそう思うのであった。


△▽



竜は、稲妻の如く急行落下する。そして眼下に帝都が見えてくると大きく咆哮(ブレス)する。

帝国の民全てが、上空に自分たちが崇める竜を確認するのである。


それも『火竜』。この帝国のほとんどの民はその造形を知っている。礼拝堂に刻まれたそのものだからだ。


竜は、ゆっくりと帝国の周りを旋回しながら降りてくる。そして、かの緑色の広場に降り立つ。こここそが初代皇帝が竜にのり降りてきた場所として言い伝えられ信仰の対象になっていた。


そこに火竜は降り立つ。

広場では、人々が祈りを捧げてる。


竜の背より舞い降りる一人の男あり。


「我が名は、ラグーン・ギル・ベルケル。皇帝その人である‼️」


どよめきと歓声が広がる。

すぐさま広場に事態を把握しようとレジュダと帝国騎士達がやってきた。


「これは! 皇帝陛下。」


そのまま、膝間付く。


「皆、面を上げよ。今日はよい。宮殿まで凱旋じゃ!。」


<サービス。サービスなのデス>


火竜は、皇帝を背に凱旋パレードのように大通りを進む。その前後を帝国騎手達が先導する。


驚く者。


目疑う者。 


神々しく見つめる者。


涙する者。


その全ての者がこの光景を脳裏に焼き付ける。

そして、自然と声があがる。


「帝国万歳!」

「帝国万歳❗」


それは、帝国中の大地を駆け抜け。一気に、噂が広がった。


皇帝がついに竜を従えたと。帝国に栄光あり。

事実はどうあれ、竜の背に乗り凱旋したのは紛れもない真実である。



余談だが、

竜と皇帝グッズがアルの会社から出回った。仕掛人は当然、レジュダの旦那である会社代表のレオだ。これが売れに売れる爆発的ヒットとなる。


新。竜とキングダム 全5巻

竜と王 全10巻

その為、キャラクターグッズや。

帝国公認をアピールしながら竜の紋様をあしらった宝飾品が貴族に大流行。


それと、飲食店もあやかる。10名様限定 10000組オリジナルワッペンを協賛店で食事をしてためると当たるようにしたのだ。


これ言い方の問題で、限定に弱いのが人間だ。10名限定の10000組とは言っていない。

正しくは、10名様単位で10000組発行しますと言いっているのだ。


詐欺ではない。



そうして、帝国は秋の訪れと冬を迎えようとしていた。



△▽△


「アル。ギムおじさん。無事に着いたみたい。いまハムから連絡があった。」


「ずいぶん、早かったね。復活したのかな」


「ハム曰く、俺は皇帝だ!って叫びながら凱旋してるみたい。大丈夫じゃないかしら。

ハムは、1泊してから帰ってくるって。何か皇帝とずいぶん仲良くなったみたいね。」


「火竜愛が伝わったのかな。そりゃ、帝国の神様みたいな存在だし。いま頃、ハムの奴は至れり尽くせりだろう。」


あ、息子のギルが泣いてる。あやしに行こう。

アルは、ニアの所に向かうのであった。




△▽



火竜ことハムのある1日。

今日は、オッサンの家にきた翌日の朝である。

オッサンの家は、ずいぶんデカイ。高台の真ん中にドカンと佇んでいる。

日の出から日の入り迄、ここの広いベランダでまったり過ごすのも悪くない。


そう言えば、お約束のエマ様のブロマイドはどうしたのだろう。


そんな事を考えていると、オッサンがニアニアしながらやって来た。

オッサンの後ろにはぞろぞろと、従者の人がついている。


「あれをもって参れ!」


オッサンが合図をすると金の首輪のようなものを従者が3人がっかりで前に出してきた。

人から見れば大きいだろうが、ハムから見ると首をギリギリ一周できるかどうかの代物だった。


「昨日から国中の宝飾職人を集めて一中夜かけて最高のものに仕上げた。是非、火竜殿に献上したい。」


うん、そんなにキラキラに興味はないんですけどね、、、、ん!


そうそこには美の化身がたたずんでいた。

首輪の裏側に裏打ちされていたエマ様の少女だったころの御身のお姿が‼️


<オッサン! いい奴デス。ハム、友達になってやるデス>


「おお、良いのか。好きな時に好きなだけ遊びにくるが良い。」


ハムは、首輪に金の首輪をつけてもらい。満足気に飛翔して帝都の上空を一周した。


昼頃になると、教皇と名乗るオッサンよりも老けたジイサンが目をキラキラさせながら会いにきた。ひたすら、崇めているような感じで悪い気はしないがジイサンに興味はない。


少し鬱陶しいので軽い感じのブレスを吐く、ちょっと唾入りです。

顔に竜の唾を飛ばされただけなのにジイサンは、神の祝福と勘違いして歓喜の内に去っていった。


このままいると、色々後でエマ様にお叱りを受けそうだ。うん、明日には帰ろう。

皇帝のオッサンにその旨を伝える。


次の日、まるで式典のように全員が立ち並ぶ中。ファンファーレが鳴り響く。

オッサンがわかりやすく目で合図をしてきた。


うむ、人は形式が多く大変に窮屈な生き方をするなーぁ。

と思いながらもオッサンは、友達だから顔を立ててやるか。


少し誇張ぎみに翼を広げ。ゆっくりと飛翔した。

歓声が上がるなか、帝都を2周ほど旋回したのちに恐れ山脈の方に向きをかえた。


△▽□▽






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