71.『ぼくがスカートをはく日』
『ぼくがスカートをはく日』
エイミ・ポランスキー 作
西田佳子 訳
まめふく 絵
学研プラス 出版
この物語の主人公は、グレイソンという男の子です。
グレイソンには、周りの人には言えない秘密があります。
それは、自分の中に「女の子として生きたい」という気持ちがあること。
女の子の服を着たい。
女の子のように過ごしたい。
そんな気持ちを持っているけれど、「男の子なのに」と思われるのが怖くて、ずっと自分の気持ちを隠しています。
学校でも、家でも、周りの目を気にしながら過ごすグレイソン。
でも、心の中では「本当の自分でいたい」という思いが、少しずつ大きくなっていきます。
そんなある日、学校で演劇をすることになり、グレイソンは女神の役に挑戦することになります。
これはグレイソンにとって、とても大きな出来事でした。
ただ演劇に出演するだけではありません。
自分が本当にやりたいことを選び、自分らしく生きるための一歩だったのです。
この作品を読んで印象に残ったのは、「スカートをはく」という行動そのものではありません。
そのスカートをはくために、グレイソンが悩み、怖がり、それでも勇気を出していく姿です。
私たちは普段、「男の子なら男の子らしく」「女の子なら女の子らしく」と、無意識のうちに人を決めつけてしまうことがあります。
でも、その人が何を好きなのか。
どんな自分になりたいのか。
それは、その人自身にしか決められません。
もちろん、自分とは違う考え方をする人を見て、戸惑うこともあると思います。
それでも、すぐに「変だ」と決めつけるのではなく、
「この人は、どんな気持ちなんだろう?」
と考えることが大切なのではないでしょうか。
『ぼくがスカートをはく日』は、男の子がスカートをはくことだけを描いた物語ではありません。
自分の本当の気持ちを隠して生きる苦しさ。
そして、それでも自分らしく生きようとする勇気。
その二つが丁寧に描かれています。
グレイソンの姿を通して、この作品は私たちにも、
「あなたは、自分らしく生きていますか?」
「誰かが自分らしく生きようとしたとき、あなたはどうしますか?」
と問いかけているように感じました。
自分らしく生きること。
そして、自分とは違う誰かの「自分らしさ」も大切にすること。
そんなことを考えさせてくれる一冊でした。




