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たまには本を読んでみない?(小説紹介)  作者: ボアの本棚


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68/84

68.『ほころぶしるし』

『ほころぶしるし』

川上佐都 作

ポプラ社 出版



今回紹介するのはこちら。

川上佐都さんの『ほころぶしるし』です。



あらすじ

主人公は、高校2年生の道田奈央。

ある日、バスツアーの途中で出会った少年・陸に心を惹かれます。

その後、偶然の再会をきっかけに少しずつ距離を縮めていく二人。

最初は、淡くて甘酸っぱい青春恋愛小説のように感じます。

しかし、親友の千恵里が陸の写真を見たことで、奈央自身が忘れていた過去と向き合うことになります。



感想

この作品が印象的なのは、「過去の失敗は消すことができない」という現実を丁寧に描いているところです。

誰にでも、思い出したくない言葉や行動、後悔している出来事があると思います。

自分にとっては些細なことでも、相手にとってはずっと心に残る傷になっているかもしれない。

奈央はそんな過去から逃げずに自分の間違いと向き合おうとします。

その姿は苦しくもありますが、人として成長していく強さを感じました。

恋愛だけではなく友情や罪悪感、許すことの難しさまで描かれた青春小説です。


「昔の自分を変えることはできない。でも、これからの自分は変えられる」


そんな大切なメッセージが込められた一冊でした。



推しポイント

この作品を読んで驚いたのは、登場人物たちが「自分は悪くなかった」と言い訳するのではなく、自分の過去や間違いと向き合おうとしているところです。


特に奈央の行動には考えさせられました。

人は誰でも、自分が傷ついた経験はよく覚えていますが、自分の何気ない言葉や行動で誰かを傷つけてしまったことにはなかなか気づけないものです。


奈央は、過去の出来事から目をそらさず、相手の気持ちを知ろうとします。

その姿は簡単にできることではなく、苦しみながらも一歩踏み出そうとする強さを感じました。


また、陸や千恵里もそれぞれ自分の抱えている思いや悩みがあり、単純に「良い人」「悪い人」と分けられないところが印象的でした。


登場人物たちが完璧ではなく、迷ったり間違えたりしながら成長していく姿に人間らしさを感じました。


「過去をなかったことにはできないけれど、そこからどう生きるかは自分で選べる」


そんなことを考えさせられる作品でした。



こんな人におすすめ

・青春小説が好きな人。

ただ甘い恋愛を描くだけではなく、友情や人とのすれ違い、過去の後悔など、心の揺れを丁寧に描いた作品なので登場人物の感情に寄り添いながら読む物語が好きな人におすすめです。


また、「人を傷つけてしまった経験」や「過去の失敗とどう向き合うか」というテーマに興味がある人にも合うと思います。

誰でも一度は抱える後悔や、自分では気づかなかった誰かへの影響について考えさせられる作品です。



逆に合わないかもしれない人、

・テンポの速い展開や大きな事件が次々に起こる物語を求めている人。

この作品は派手な展開よりも登場人物の心の変化や関係性をじっくり描くタイプの小説です。


・終始明るく楽しい青春ストーリーを期待している人。

少し重く感じる部分があるかもしれません。

過去の傷や罪悪感、人間関係の難しさを扱っているため読んでいて胸が苦しくなる場面もあります。


でも、登場人物の悩みや迷いを通して、自分自身の過去や人との関わり方を見つめ直せる一冊です。


「心に残る青春小説を読みたい人」には、ぜひ手に取ってほしい作品だと思います。



まとめ

主人公の奈央はバスツアーで出会った少年・陸との再会をきっかけに、少しずつ距離を縮めていきます。

一見すると淡い青春恋愛小説ですが、親友の千恵里が陸の写真を見たことで、奈央は忘れていた過去と向き合うことになります。


この作品の魅力は、「過去の失敗は消せないけれど、そこからどう生きるかは変えられる」というテーマを丁寧に描いているところです。


奈央は自分の間違いから逃げず、相手の気持ちを知ろうとします。

その姿から成長することの難しさや、人を許すことの大切さを感じました。


登場人物たちは完璧ではなく、迷いや悩みを抱えながら前に進もうとします。

だからこそ、とても人間らしく感じられる作品です。


青春、恋愛だけではなく、友情や後悔、人との向き合い方について考えたい人におすすめの一冊です。


一方で、派手な展開やテンポの速い物語を求める人には少し物足りなく感じるかもしれません。


過去の自分と向き合い、少しずつ変わっていく登場人物たちの姿が心に残る、温かくも少し切ない青春小説でした。





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