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たまには本を読んでみない?(小説紹介)  作者: ボアの本棚


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62/86

62.『推しとともに去りぬ』

『推しとともに去りぬ』

成田名璃子(著)

出版:講談社



こんにちは。

今回は成田名璃子さんの『推しとともに去りぬ』の感想を語ります。


【この本が好きそうな人】

・推し活をしている人

・腐女子文化に興味がある人

・「好き」という感情の暴走と痛みを描いた作品が好きな人

・青春小説が好きな人

・人間関係の距離感を丁寧に描く作品が好きな人

に合う小説だと思います。



主人公の小川千波は腐女子。

“推しカップル”を眺めながら妄想を膨らませるタイプの女子高生です。


正直、自分は実写の推しカップルで盛り上がる感覚までは分からない。

でも、誰かが夢中になって推し活している姿を見るのはすごく楽しい。

この作品は、そんな「好き」を全力で抱えて生きる人たちの熱量が詰まっていました。


しかも千波は、ただ推しを神格化するだけじゃない。

倫理観に反することにはちゃんと「それは違う」と言える。

そこがすごく良かったです。


推しカップルと同じクラスになる展開では、千波の妄想が止まらない。

昔ちょっと腐女子寄りだった自分としては、「分かる……!」とニヤニヤしてしまいました。


ただ、楽しいだけじゃ終わらない。


礼人に腐女子であることがバレた瞬間は、本当に心臓がギュッとなった。

読んでいるこっちまで汗が出るレベル。

しかも礼人の「這いつくばって謝罪しろ」は怖すぎる。サイコパス感がすごい。


一方で、女子たちに詰め寄られても平然としている千波のメンタルはちょっと羨ましかったです。


そして物語は、秀貴とのある事件をきっかけに大きく動きます。


千波が最後に出した答えには、思わず

「嘘だろ?!」

と声が出ました。


でも、


・傷つきたくない

・壊されたくない

・安心できる場所にいたい


そんな千波の気持ちもすごく分かる。


この作品は連作短編集になっていて、


・腐女子

・韓流アイドルにハマる老婦人

・それぞれ違う“推し”を持つ人たち


が主人公として描かれます。


世界線は繋がっているけれど、主人公が変わることで見える景色も変わる。

「推し」というテーマを、いろんな角度から描いているのが面白かったです。


特に印象的だったのは礼人。


千波にも秀貴にも恋愛感情がないはずなのに、なぜあんな煮え切らない態度を取るのか。

その理由が分かった瞬間、


「あ〜、そういうことか!」


と一気に腑に落ちました。


登場人物全員に“推し”がいる作品だからこそ、誰かを好きになる気持ちの尊さや危うさがリアルに描かれていたと思います。


そしてラスト。


千波と秀貴の結末。

新しい扉を開いた礼人。

最後は幸せな気持ちがじんわり溢れてくる終わり方でした。




推し活の楽しさだけじゃなく、理想を押し付けてしまう怖さや、人を勝手に物語化してしまう危うさまで描いていて、とても印象に残る作品でした。



まとめ

推し活を疑似体験しているようで凄く楽しかったです。

人でも物でも、好きな物があるというのは生きる活力になります。私の場合は"本"です。

推しの一冊に出会う感覚はやめられないですね。




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