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たのしい温泉計画

「というわけで、私の大陸というか離れ島に温泉ができる事になりました」


ビシッと挙手をしながら唐突にシュミカが宣言した。

定時連絡会に3人とギルとネルが集まった瞬間の出来事である。


「んんんんん??あんた神の仕事は放棄したんでは?」


「いや~神様のここでの仕事はできないんだけど現地周りでは何でも屋みたいなのやってる!」


後の事はギルが!といつもの丸投げをやられて


「はいはい、説明は僕がしますよ・・・」


と、お困りごとを解決して回っていることと(大体ギルが苦労するハメになっていることは言わなくても伝わった)、先日火の精霊のお困り事を解決?したという事をざっくり説明した。


「それがねえ、アイリーンの例の妄想が火の精霊さんにまで届いてたっぽくてねえ~」


「!!!!!???」


あははは~と笑いながらシュミカが爆弾を投下する。

いつもの事である。


「ちょ、ちょっとシュミカ?」


「それでなんとなしにそこらへん掘ったらいいんじゃないか、って悩んでたのでお風呂と温泉を教えてあげたので今頃温泉めっちゃ掘ってると思いますっ!」


アイリーンの願いが強すぎて願望が大陸を超えた事もしっかり伝えておいたよ!というシュミカの言葉に

絶望的な表情を浮かべた後、その場に崩れ落ちて両手で顔を覆ってしまったアイリーンを見て

ネルが慌ててどうしたらいいのかとウロウロしている。「だだだだ大丈夫ですかアイリーン様」とか「お体の具合が!?」とかあわあわしている、かわいい。

そもそも神様はお体の不調とかないですよ。


ネルを宥める事で若干の落ち着きをアイリーンは取り戻した。


「はぁ・・・なんか迷惑かけちゃったみたいでごめんね・・・」


「それでね!温泉が無事に出来たら皆で来てもいいって精霊さんが言ってたので!アイリーンの使徒が目覚めたら温泉ツアーでもやろう!」


「温泉かぁ、いいわね・・・」


銭湯も自宅風呂もいいけど、やはり温泉は別格だ。天然の露天風呂に想いを馳せる。


「久しぶりに温泉もいいな」


「「えっ」」


「え?」


普通に会話に入ってきたコーマに二人は戸惑いの視線を向けている。


「まさか・・・俺だけ仲間外れにするつもりだったのか・・・?」


「え、だって女の子だらけのとこにコーマ来るつもりなの・・・?」


「でもギルも行くんだろ?ギルも男じゃんか?」


「「ギルは神様なので」」


「俺も神だよ!今は!!!!」


コントのようなやり取りを見つつ、助けに入らないギル。

ギルはシュミカの大陸に降りる行為を補助する役割があるので、お風呂目的で行くわけではないのだ。


「僕は別にお風呂入りに行くわけじゃないから」


ここはハッキリと言っておかないと、コーマの仲間(変態扱い)になってしまう。


「ギル!てめえ・・・!」


「友に裏切られたみたいな顔向けるのやめてよ、温泉に入りたいなら女性陣がいないときに連れてってあげるから・・・」


「そうだけど、そうじゃねえっ・・・!」


「コーマなんて部屋の風呂で十分です」

「良かったねえ、ギルに連れてってもらえるって~」

「二人で温泉楽しんできてね」


無慈悲な女性陣の言葉に、コーマは次の言葉を発することなくその場に崩れ落ちるのだった。


────────────────────────────────────────


*ウレイン大陸南端の島*


 「ふむ、このあたりが景観も良さそうだな!」


張り切って土木作業に勤しもうとしているのは火の精霊。

おんせんなるものを掘り当て、ここに神々のおんせんを作るのだ!


スコップなどの道具は一切ない、彼らは魔法の力を持っているのでそちらでちょちょいっとね。

と言っても、火魔法の「ファイヤボール」だとか「ファイヤランス」だとかそういうのは存在していない。

なぜなら武器という概念がウレインにはないからだ。

エルフと言えば弓みたいなイメージがあるかもしれないが、ここでは武器で狩りは行われず

罠を張って食肉を得ている。

なので”火”の力を使った純粋なエネルギーの塊をぶっ放すくらいの大雑把な魔法なのである。


ドゴォォォォォン


 早速目標としている地帯にぶっ放したようだ。当然露天風呂とかいうレベルのサイズではない、巨大なクレーターのようなものが出来上がっている・・・、その中心部分からコポコポとお湯のようなものが

湧きだしてきていた。


 「お?これがてんねんおんせんというやつか!待っていればそのうち溜まるだろうが・・・そうだな」


少し考えた後、周りに存在する土の小さき精霊に形を整えるよう手配した。意外と気を遣える奴である。

瞬く間にクレーターにお湯が張ってあるだけ状態の露天風呂が、それなりの形に整えられた。

中心に向かってすり鉢状になっているものは円形の階段のように整えられ、ぐるりと中心を囲むように

座って入る事ができるようになった。


 「流石は土の精霊たちよ、良い仕事をする」


 うんうん、と満足げに頷き仕事を終えた精霊たちを労う。


 「さて、次はいつ来られるかわからんが、ここを保っていつでも迎えれるようにしておかんとな」


こうして、天然温泉ウレイン南の離島が完成したのだった。




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