最初の召喚獣
1日でブクマが20人増えてました!
ありがとうございます!
「うーん……この『設定時』とはなんだろう?」
「なにかお困りかね、少年」
俺が『召喚士の才能』の『設定時』という表記に困惑していると、不意に後ろから声をかけられた。
「あ、あの……どちら様でしょうか」
知らない人には敬語。これ鉄則。
「おっと、これは失敬。私はロッソーという。」
この人もプレイヤーなのだろう。
よく見ると、頭の上にネームタグが浮かんでいる。
危ない人ではないだろう。
「ええと、ではお言葉に甘えてひとつ聞いてもいいですか?」
「ああ、いいとも。私の答えられる限りで答えよう」
「僕は、『称号』というものを持っているのですが、そこに表記されている『設定時』という意味がよくわからなかったのです。」
そう俺が質問すると、ロッソーさんは少し考えるような仕草をとった。
「あの、すいません。失礼ですが、わかりませんか?」
「ん?ああ……いや、『設定時』の意味はわかるんだが、君は装備からしてベータテスターではないだろう?どうやってサービス初日で称号を獲得したのかと思ってね」
はぁ。やはり称号は簡単に手に入るものではないんだな。仕方ない………。
俺はこれまでの経緯を全て話した。
「なるほど。そんなことがあったのか。これは掲示板に………ごにょごにょ………」
「あの、大丈夫ですか?」
「あ、ああ、大丈夫だ。君が聞きたかったのは『称号』の『設定時』についてだったね」
お!教えてくれるのか!
「まず、称号には『所持型』と『設定型』の2種類がある。『所持型』は持っているだけで効果が発動するもの。『設定型』は設定して初めて効果が発動するものだ」
「先生ーどうやって設定するんですか?」
「……先生はやめてくれないか」
あはは、照れてる。
「こほん。設定するにはだな。使いたい『称号』の画面で設定と声に出すと、その称号を設定できる。1度には2つまでなら並行して設定できる」
なるほど。
「設定…………できた!」
「よかったな」
「はい!ありがとうございました!」
「ああ、じゃあまたな……いや……フレ登録しとくか?」
おお!初めてのフレンド!
「ぜひ!お願いします」
「そうか!なら名前を教えてくれ」
「はい。名前は……名前……………あれ?」
「どうかしたのか?」
ああ、エリーゼのやつ俺の名前、設定し忘れたな。
「名前、設定してないです。」
「何?それなら、早めに運営に連絡したほうがいいぞ。名前がないと、いろいろ面倒だからな。」
「はい。そうします」
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「どうだった?」
「迷惑をかけたから、と5000G貰いました」
「そうか。それで、名前は?」
「はい『クレイン』にしました」
月島透、最初の『つ』と最後の『る』で『鶴』英語にすると、『クレイン』、安直な考えだ。
「いい名前じゃないか。これからもよろしくな」
「はい!」
これから楽しくなりそうだ。
「あ、そうだ。召喚士なら契約屋んとこ行かなきゃダメだ。そうしないと召喚獣は呼び出せない」
「ええと、それは何処にあるんですか?」
まったく。少しは説明書読んどくんだった。
「マップのタマゴマークのとこだ」
タマゴ…タマゴ……あった。
「わかりました。このあと行ってみます」
「ああ、そうした方がいい。召喚士は召喚獣がいないと、どの職業にも劣るからな」
「は…はは、そうですね……」
はっ!しまった!思わず苦笑してしまった。
「じゃあ私はこれで失礼するよ」
「はい。また会いましょう」
「ああ、またな」
ロッソーさんはさんはさっそうと立ち去っていった。
さて、契約屋を目指しますかね。
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「ごめんくださーい」
店の人が見当たらなかったので、少し声を大きくして店の人を呼んだ。
「はぁまったく今日は客が多いのぉ」
少しすると、1人の長髭をたくわえた小柄なおじいさんが出てきた。
ネームタグがない。この人はNPCのようだ。
「あのぉ、すいません」
「んん?なんじゃおぬ…………ほうおぬし面白いのぉ」
「…面白い?」
「その『称号』、『召喚士の才能』を久しぶりに見たわい」
「俺以外にもいるんですか!」
「昔1度見たかのぉ」
「1度……」
でもその人、気になるな。
「で、おぬしは契約に来たんじゃろう?」
「はい!そうです」
アイテムボックスに『始まりの卵』という卵があるのは確認済みだ。
「契約にはまず、卵が必要じゃ。そしてその卵に『成分』を入れることで、契約完了じゃ」
「成分?」
「うむ。形を決める『型成分』属性を決める『属性成分』強化や特殊能力を決める『特殊成分』の3つじゃ。合わせて100個になるようにするんじゃぞ。強さやレア度で値段も変わるからのぉ」
「お金かかるのか……」
「で、どうするんじゃ」
お金かかってもやるべきだよな。うん。よし!
「やります!」
「そうかそうか」
強くて、かっこいいやつがいいなぁ。
「獣成分50、光成分25、王成分25にしよう」
「ほう、王成分を使うのか。進化が遅くなるかもしれんぞ?いいんじゃな?」
心は決まっている。
「はい!」
「そうか……なら卵に向かって『契約』と発するんじゃ」
ふぅ…初めての契約……よし!
「『契約』!」
そう俺が言うと、目の前が白い光に包まれた。
目を開けると、そこには黄金の毛に包まれた1匹の猫がいた。
「君の名前はもう決まっているんだ」
ーーーこれからよろしくな『ライガ』